国軍捕虜は見捨て従軍慰安婦ばかりに気を遣う人々

趙甲濟

(2018.1.8)

 

 人であれ国家であれ、優先順位が混乱すれば物事がうまく行かない。従軍慰安婦問題で日本と20年以上葛藤してきた韓国は、国軍捕虜の送還問題は平壤政権を相手に一度も公式提起したことがない。だから対北政策がうまく行くはずがないのだ。韓国の歴代政権は従軍慰安婦問題が国軍捕虜問題よりもっと重要だと判断した模様だ。果たしてそうか。


1.国軍捕虜の送還問題は人の命がかかった問題だ。従軍慰安婦問題は名誉の問題だった。どちらがもっと重要か。従軍慰安婦の苦痛は過去のことで、国軍捕虜の苦痛は現在進行形だ。どちらがもっと火急な問題か。

 

2.北韓政権が不法抑留した国軍捕虜は約6万人、少なくとも数千人が生きている。従軍慰安婦の生存者より10倍以上多い。(*右写真は韓国戦争中の国軍捕虜)


3.韓国は北韓へ帰還したいと言った北韓軍捕虜は全員帰した。北韓は帰さなかった。戦争犯罪でかつ国際法違反だ。不法性が明白だ。国連も北韓人権報告書の中で捕虜抑留問題を反人道犯罪に扱ったが、韓国政府は関心がない。


4.(1990年代以降の)歴代の韓国政権と韓国のメディアらは、従軍慰安婦問題の解決なしには日本との関係正常化ができないと強硬な態度を見せた。左派政権は100億ドル以上の対北支援をしながら、一度も国軍捕虜の送還を条件としたことがない。国軍捕虜を従軍慰安婦より疎かにしたのだ。


5.従軍慰安婦問題は国家が存在しなかったとき起こった事案で、国軍捕虜問題は国家ができて、その国家が彼ら(国軍捕虜)の犠牲の上で素晴らしい発展を遂げ、捕虜問題を解決できる国力を蓄えたにもかかわらず、まったく自尊心と勇気の欠如で放置されている。どちらがもっと火急な問題か。


6.北韓政権が6万人以上の国軍捕虜を抑留した理由は、李承晩政府が韓米相互防衛条約締結を圧迫するため反共捕虜を釈放したことに対する報復だった。つまり、6万人は、祖国の自由と繁栄を保障している韓米同盟のために犠牲となった人々だ。彼らの犠牲の上でわれわれが豊かに暮らしながら、従軍慰安婦ばかりに気を遣うなら、今後誰が銃を持って祖国を護る戦争に出るだろうか。国家の倫理、国民の義理の問題だ。いや、国家の存在理由に関する問題だ。


7.韓国の国防部と統一部は、今まで国軍捕虜を帰せというのが罪にでもなるかのように行動してきた。友邦の日本に対する態度と敵である北韓政権に対する態度がなぜここまで違うのか。

 

 国際社会は、従軍慰安婦問題に対しては敏感で、国軍捕虜問題には鈍感な韓国政府を不可解な基準を持つ団体と見るかも知れない。同族が犯した戦争犯罪であると目を覆い、外国の犯罪行為だけを問題にするのは、民族主義でなく人種主義だ。


www.chogabje.com 2017-12-30 22:32

更新日:2022年6月24日