朴槿恵被告の拘束を延長してはならない8つの理由

趙甲濟

(2017.10.10)

 

 検察は9月26日、ソウル中央地裁の刑事22部(金世潤裁判長)での朴槿恵前大統領に対する公判で“被告人の拘束期限(6ヶ月)である10月16日24時まで証人尋問がを終えられないと予想される”"と言い拘束期限の延長を要請した。

 

 検察は“被告人が控訴事実を否認するうえ追加証拠調査が必要な状況”と言い“拘束令状が発行されなかった賄賂部分に対して拘束令状を発行してほしい”と言った。検察が追加令状を要請した公訴事実は、SKとロッテ関連の賄賂の疑いだ。

 

 朴大統領の弁護人である柳栄夏弁護士は“拘束令状は捜査の必要性によって発行されるもので、裁判段階ですでに審理が終わった事件に対してなぜ追加令状が必要か”と反対意見を表明、裁判部は“秋夕以降の裁判で追加拘束についての意見陳述の手続きを進めたい”と両側に追加の意見提出を要求したという。裁判部は5月末から週4回公判を開いてきたが、証人が多いため裁判が長引いている。

 

 裁判部は検察の拘束期限延長の要求を拒否すべきだ。

 

1.朴被告人は住所が確実で、証拠隠滅の恐れがなく、逃亡の可能性もない。刑事訴訟法が定めた不拘束裁判の事由をすべて満たしている。拘束裁判自体が間違いだ。弾劾された前大統領だからこのように基本的人権を無視しても良いと思うなら、この裁判は革命裁判か人民裁判になる。チャーチルが言った通り、人気が落ちた政敵を刑務所に入れるより汚いことはない。裁判所が政治報復の協力者になってはならない。三権分立と裁判所の存在の意味は、個人の基本権を保障し、政治報復を牽制すること。

 

2.拘束期限の6ヶ月を超えるようになった責任は裁判部にある。週4日の裁判という前代未聞の強行軍でも宣告が下せないほど真実を究明できなかったら、裁判の進行に問題があったことになる。その責任を被告に転嫁して拘束期限を延長することは正当でない。

 

3.もし、裁判部が拘束期限を延長して朴被告が拘束状態で裁判を受けるようにすれば、そういう裁判部が下す判決は信頼を失うことになる。一方的に、朴被告に不利で検察に有利な方向の裁判をしてきた偏向的な裁判部の判決として受け入れられる。これは司法府全体への不信に拡散される。

 

4.朴槿恵を弾劾、拘束に追いやった勢力は‘ロウソク革命’という言葉を使う。選挙で大統領になった張本人までロウソク革命で権力を取ったと主張する。‘革命’とは憲法破壊の他の言い方だ。司法がこの革命勢力の圧迫を受ければ、憲法無視行動を正当化することになる。自称‘ロウソク革命’勢力は、ロウソク革命の正当化のため朴槿恵大統領に対する有罪宣告が必要だと考えているようだが、これは法治と民主主義を同時に破壊する報復政治に過ぎない。法院がこのような雰囲気に便乗すると大韓民国は反共自由民主主義という国家のアイデンティティを失うことになる。

 

5.朴槿恵被告人は韓国人を貧困と屈辱から救った朴正煕の娘だ。来たる11月14日は朴正煕の生誕100周年の日だ。彼の娘がこの日を刑務所で過ごすようすることは人間的に非情すぎる。朴正煕の娘であるため大目に見ようという話でない。朴正煕の娘であるため不利益を受けてはならないという話だ。

 

6.朴槿恵被告人が大統領として在任中、悪口を言われながら決定した主な政策が正しかったことが明らかになっている。THAAD配備の決断、韓日軍事情報保護協定、韓米連合司令部解体の無期延期、左寄りの教科書の改革などは憲法と国家守護の責務を果たしたものだ。これらの政策を批判した文在寅氏も大統領になってからはTHAAD配備、韓日軍事情報保護協定の延長措置をとることで、自分の判断が間違って朴槿恵の判断が正しかったことを間接的に認めたわけだ。国民の安全に関連する重大事案の適切な意思決定が朴被告の拘束延長の可否を判断するのに参酌されるべきだ。法は、数学公式のように適用されてはならない。そこには人間的配慮も必要だ。寛容と均衡の欠けた法執行は殺伐な世の中を作る。

 

7.裁判部は遠くを見なければならない。朴槿恵被告に対する便法的次元の拘束期限延長は3人の裁判官の不名誉になる。政権も世の中も変わる。そういう変化を超越して永遠に名誉を保存するためには、法と良心、そして常識に基づいて判断せねばならない。そんな特権こそ憲法が裁判官たちに与えた、法治守護のための権限の源ではなかったか。超人的な勇気が必要なわけでもない。常識レベルの勇気さえあれば良い。朴槿恵の弾劾、拘束、裁判は朝鮮王朝の‘士禍’と進行過程が似ている。朝鮮王朝の士禍で重要な役割をした人々は、メディアの機能をする司諫院、検察と裁判所の機能をする司憲府、学生示威隊の機能をする弘文館は、市民団体の機能をした士林だった。‘弾劾’という言葉も士禍を招いた朝鮮王朝のキーワードだった。21世紀の文明国で裁判部が権力闘争の真ん中にあった16世紀の朝鮮朝の司憲府の役割をしてはならない。

 

8.裁判部が拘束延長を許可すれば、この事件の本質は国政壟断ではなく朴槿恵人権弾圧に変質なるかもしれない。国際的関心事になるだろう。朴槿恵大統領はどの政治家よりも金銭的に潔白だった。いくら裁判を進行しても蓄財や請託目的のお金を直接もらった証拠はない。裁判部が、朴槿恵を人間的に、司法的に抹殺してこと我々が生きると考えている政治家たちの道具として転落すれば、血と汗と涙で築き上げた韓国の法治は、朝鮮王朝のレベルに後退するだろう。裁判部は30年、40年後の自分たちの姿を考えて判断せねばならない。

 

www.chogabje.com 2017-10-05 12:02

更新日:2022年6月24日