KDコーポレーションの真実-憲法裁判所は検察公訴状の事実関係も確認しなかった!


 KDコーポレーションは資金力も充分で技術力が優れた有望中小企業なのに、検察は公訴状で‘認知度や技術力もまともに検証されていない会社’と適示した。‘崔順実事件’に対する検察の捜査がどれほど杜撰なものだったかが端的に分かる。

 

禹鍾昌(趙甲済ドットコム)

(2017.3.13)


 現代自動車グループから今年の1月に発表したプレスリリースがマスコミで報道されたなら、果たして憲法裁判所が上記の内容を弾劾事由にしたのだろうか。そして、技術力が優れた有望中小企業を育てて欲しいと頼んだのが、果たして大統領を弾劾すべき事由なのか、記者は憲法裁判所に問いたい。


 憲法裁判所は大統領罷免の根拠として‘被請求人(大統領)は崔ソウォンからKDコーポレーションという自動車部品会社の大企業への納品を頼まれて、安鍾範に現代自動車グループとの取引を頼むようにした’という点を挙げた。


 憲法裁判所は、現代自動車グループがKDコーポレーションという会社の製品を購入したのが、‘崔ソウォンの私益追求に関与し支援した’証拠であり、このような‘被請求人の行為は崔ソウォンの利益のため、大統領の地位と権限を濫用したもので公正な職務遂行と言えず、憲法と国家公務員法と公職者倫理法等に違反したもの’と判示した。


 この内容は、憲法裁判所が検察の‘公訴状’を事実確認もせずそのまま引用したもので、これから検察の公訴状がなぜ事実でないのを検証する。崔ソウォンとKDコーポレーション関係の検察の公訴状内容はこうだ。


<Π。現代自動車グループ関連職権濫用と権利行使の妨害、強要


1.KDコーポレーション関連犯行


 被告人の崔ソウォンは2013年の秋頃から2014年10月頃まで娘の鄭ユラが卒業した慶福小学校の学父兄で親しくしてきた文ファギョンから、夫の李ジョンウクが運営する株式会社KDコーポレーションが海外企業および大企業に納品できるように助けて欲しいと言われて何回も大統領秘書室の鄭ホソン秘書官を通じてKDコーポレーションの会社紹介資料を大統領に伝えてきて2014年10月頃、文ファギョンからKDコーポレーションが製造する原動機用吸着剤を現代自動車に納品できるように支援して欲しいと要請されて大統領秘書室の鄭ホソン秘書官を通じてKDコーポレーションの事業紹介書を大統領に伝えた。

 

 被告人の安鍾範は2014年11月27日頃、大統領から‘KDコーポレーションは吸着剤関連技術を持っている素晴らしい会社なのに、外国企業から不当な待遇を受けているから現代自動車がその技術を採択できるかを確認せよ’という指示を受け、ソウル鍾路区三清洞所在の施設で大統領が一緒にいる場で、現代自動車グループの鄭夢九会長および同行した金容煥副会長に‘KDコーポレーションという会社が効用が高くコストも下げられる優れた技術を持っているそうだから現代自動車も活用が可能なら採用してほしい’と言った。


 金容煥は2014年12月2日頃、被告の安鍾範にKDコーポレーションの代表者の名前と連絡先を再度確認してから前向きに検討するという趣旨で答え直ちに現代自動車の購入担当の金廷勳副社長にKDコーポレーションとの納品契約を推進せよと指示し、以後、被告・安鍾範はKDコーポレーションと現代自動車の納品契約の進行状況を点検し続けながら‘特別指示事項関連履行状況報告’という文書を作成して大統領に報告した。


 鄭夢九と金容煥は上記の要求に応じない場合、税務調査をされたり許認可においての困難など、企業活動全般にわたって直接または間接的不利益を受けることを恐れて、KDコーポレーションは現代自動車グループの協力会社のリストに入っていない会社で、認知度や技術力も検証されていない会社にもかかわらず、協力業者の選定のためやるべき製品の性能テストと入札などの通常の手順を省略したまま随意契約で現代自動車と起亜自動車がKDコーポレーション製品の納品を決定した。


 その後、現代自動車と起亜自動車は2015年2月3日頃、KDコーポレーションと原動機用の吸着剤納品契約を締結し、KD・コーポレーションからその頃から2016年9頃まで合計1,059,919,000ウォン相当の製品を納品受けた。>
 検察の公訴状にはこのように具体的な犯罪事実が摘示されているがこれは次の理由から事実でない。


 第一に、‘起亜自動車が2015年2月3日頃、KDコーポレーションと原動機用吸着剤の納品契約を締結し’という点は事実関係において全部違う。起亜自動車はそれより5年前の2010年から原動機にKDコーポレーション製品を装着していたからだ。


 現代自動車グループは今年の1月26日、メディアが‘現代車が崔順実の知人会社の製品を高く買って、協力者に使用を圧迫’という記事を報道するや二日後、報道内容を全面反駁する資料を発表しました。


 このプレスリリースで、現代自動車グループは‘すでに2010年から起亜自動車がKDコーポレーションの原動機用吸着剤を使用している’という事実を公開し‘2011年に吸着剤に対する電力消耗数値を分析した結果、20 %以上のエネルギー効率が発生したことを確認した’と公表した。


 現代自動車グループはプレスリリースで“原動機の納品は公開競争入札方式によって透明に行われており、ドイツBASF社、米国アルコアなど海外メーカーの製品を国内で唯一の低温再生吸着剤を生産しているKDコーポレーションの製品に変更したもの”と言い“KDコーポレーションの製品を使用して輸入代替および国産化の効果を上げた”と発表した。現代自動車グループのこの報道資料は残念ながらすべてのメディアが報道せず黙殺したため知られなかった。


 第二に、公訴状は‘KDコーポレーションは現代自動車グループの協力社のリストに入っていない会社で、認知度や技術力も正常に検証されていない会社であるにもかかわらず、協力業者に選定されるためやるべき製品の性能テストと入札などの通常の手続きを省略して随意契約で現代自動車と起亜自動車がKDコーポレーション製品の納品を受けることに決定した’とされているがこれも全く事実でない。


 KDコーポレーションがどういう会社なのかは、信用評価会社が作成した‘企業分析報告書’を一度でも読んで見れば分かる。(株)ナイスディエンビが昨年の12月13日作成したこの会社の‘企業分析報告書’によれば、KDコーポレーションの企業信用格付けは優良企業に該当するクラスAだ。その前の信用格付けもAだ。


 KDコーポレーションは1996年11月1日、基礎無機化学物質メーカーとして設立された。シリカゲル、ケイ酸ソーダなどの化学製品を製造、販売、輸出入する会社だ。2016年12月末の基準で資本金が18億4800万ウォン、2015年の総売上高は186億4900万ウォンだが、純利益が20億2400万ウォンだ。


 KDコーポレーションは1998年の輸出有望中小企業として選定され、2000年には京畿道から有望中小企業に選定された。科学技術部指定の研究専門会社でもある。


 この会社の‘主要財務現況’は、2015年12月決算で売上186億4900万ウォン、純利益20億2400万ウォン、総資産371億7600万ウォン、自己資本272億1100万ウォン、監査意見は適正だ。
 
KDコーポレーションは5つの特許も持っている。


 このように資金力が十分で技術力に優れた有望中小企業なのに、検察は公訴状で‘認知度や技術力も検証されていない会社’と摘示した。‘崔順実事件’に対する検察の捜査がどれほど杜撰なものだったのか分かる。


 第三に、公訴状によれば、被告人の崔ソウォンは2013年の秋頃から2014年10月頃までKDコーポレーション社長の李ジョンウクの妻である文ファギョンから現代自動車に納品できるように助けて欲しいと要請を受けたというが、頼まれた時点も納得し難しい。


 なぜなら、KDコーポレーションが製造した原動機用吸着剤はすでに2010年から起亜自動車に納品されていたため、その前に崔ソウォン氏が納品を頼んだら理解できるが、納品が始まってから3年も経った後、現代自動車を指定して請託したというのは常識的に納得し難い。


 これは大統領と崔順実、そして大統領を単独対面したことがある現代自動車グループの鄭夢九会長など3者を繋げるための無理な捜査と推定される。


 そして検察の公訴状には崔ソウォン氏がKDコーポレーションからもらったという金品の内容が出る。引用するとこうだ。


 ‘一方、被告人の崔ソウォンは、上記のような契約の請託や契約成立の代價の名目としてKDコーポレーションの代表・李ジョンウクから2013年12月頃、時價1162万ウォン相当のシャネルバッグ1個、2015年5月頃、現金2000万ウォン、2016年2月頃、現金2000万ウォンなど合計5162万ウォン相当をもらい、2016年5頃は大統領のフランス訪問のとき李ジョンウクが経済使節団として同行できるように働いた。


 これで被告人に崔ソウォン、被告人の安鍾範は大統領と共謀して大統領の職権と経済首席秘書官の職権を乱用すると同時に、それに恐れを感じた被害者の現代自動車グループ副会長の金容煥などにKDコーポレーションと製品の納品契約を締結するようにすることで、義務のないことをさせた’


 この金品授受について崔ソウォン氏と崔氏の弁護人側は事実でないという立場だ。KDコーポレーションの代表の妻の文ファギョン氏が、鄭ユラが卒業した慶福小学校の学父兄だったため知り合いになり、その後、学父兄同士でお正月などに互いに贈り物を交わしたことはあるが、請託の見返りとして金品をもらったことはないという。


 検察は、文ファギョンが崔ソウォン氏に与えた贈り物の内訳を法廷で公開したが、カルビや魚のセットをはじめ、鄭ユラの履物などだった。その合計が5162万ウォンというのが検察の主張だ。


 文ファギョン氏は検察の調査で‘崔順実氏が大統領との関係に言及したり、偉い人をたくさん知っているなどの話をしたことのあるか’という質問に、‘大統領という言葉は一度も言及したことはなかったが、節日のとき一度青瓦台のロゴのある青瓦台の贈り物などを私にくれたことがありました。私が直接見たわけではなく夫の祖母にその贈り物を上げたら後で夫の祖母が言われることでそういう贈り物が含まれていたことが分かりまし’と陳述した。


 ‘青瓦台から出るのギフトセット、時計はいつもらったのですか’という検事の質問に、文ファギョン氏は‘時計はインドネシア歴訪に際してもらったようで、ギフトセットはその後の節日にもらったようですが、具体的に日付などはよく覚えていません’と陳述した。


 検察は文ファギョン氏を調査するときKDコーポレーションの原動機用吸着剤が2010年から起亜自動車に納品されてきた事実については全く問わずKDコーポレーション関連資料は一切記録に添付しなかった。


 公訴状は犯罪容疑に関連した検察の意見書に過ぎないにも関わらず(真実かどうかは3回の裁判を経て法院で確定する)、憲法裁判所は検察の意見書を確認もせずそのまま引用する愚を犯したと言える。


 もし、現代自動車グループから今年の1月に発表したプレスリリースがマスコミで報道されたなら、果たして憲法裁判所が上記の内容を弾劾事由にしたのだろうか。そして、技術力が優れた有望中小企業を育てて欲しいと頼んだのが、果たして大統領を弾劾すべき事由なのか、記者は憲法裁判所に問いたい。


www.chogabje.com 2017-03-10 17:53

更新日:2022年6月24日