朴大統領罷免決定に対する12の疑問

 

 朴大統領の行為が5年単任制というほぼ神聖不可侵の民主主義の大原則を毀損させるほどの重大な犯罪だったのかについて到底納得できない。

 

趙甲濟

(2017.3.10)


 国会が大統領弾劾訴追案を通過させた過程に対して憲法裁判所が審理しないのが判例として固まれば今後、国会は過半数の議席さえ確保すれば大統領の他には、いかなる国務総理や長官、大法院長、監査院長の裁判官なども弾劾訴追して一旦職務を停止させることができる。3分の2以上の議席さえ確保すれば、大統領を勝手に職務停止さられる。憲法裁判所が国会に独裁権を付与する格好だ。憲法裁が三権分立の原則を破壊することだ。


 今日、憲法裁判所が朴槿恵大統領の罷免を決定したが、決定文には以下の問題に対する答えがなかった。


1.国会の弾劾訴追状は国会が独自に調査もせず検察の控訴状と言論報道を剽窃したものだった。証拠収集努力がなかった。一旦、大統領を弾劾訴追議決で職務停止させておいて聴聞会や特検に証拠を収集させようとした。


2.このようにことの順序が狂ったため司法体系の乱れという重大な事態が生じた。1審は検察の起訴によって崔順実事件を裁判し特検は同じ事案について検察の起訴状と異なる犯罪容疑でまた起訴した。憲法裁判所はこの裁判の結果が出る前に同じ事案に対して判断しようとする。後に憲法裁判所の判断と異なる判決が出たらどうなるのか。大統領を罷免した後、大統領が不当に罷免された事実が確定されても大統領が復帰できないが、韓国の司法は致命的な打撃を受けることになる。

 

3.国会の朴大統領弾劾訴追状は法律文書でなく、政治的糾弾文か小説のようだ。決定文も法律文書ではなく政治的文書のようだった。メディアが誇張した‘100万ロウソク示威’が訴追の理由として適示された。憲法裁判所は、訴追状の要件を満たしていないと却下すべきだったのに、訴追状をまともに作ってくるようにコーチまでした。


4.訴追状の相当部分は朴槿恵大統領の故意的犯罪嫌疑ではなく、崔順実氏の行為を問題にした。民事事件でなければ崔順実の過ちに対して朴大統領が連帯責任を負うのはできない。憲法裁判で連帯責任を追及することは違法な連座制だ。決定文は朴槿恵大統領の収賄罪に対しては判断しなかった。権限濫用や国民の信頼に対する裏切りのような糢糊な表現を使った。


5.決定文は大統領の広範な統治行為(人事、請託、私人から諮問を受ける権利)は認めず、国会の裁量権は幅広く認めた。大統領が特定の企業の便宜を指示した請託をするのが果たして罷免の理由になるか。


6.果たして朴大統領が法治、民主主義、代議制民主主義を否定する故意があったか。社会主義独裁をする意志があったか。そういう朴大統領の故意は審理過程でも、決定文でも立証されていない。部分的な違法行為を法治、民主主義の否定へと拡大解釈したのはあまりにも大きな一般化だ。このように憲法裁判所が罷免を決定すれば、5年制大統領が正常に機能できない。


7.憲法裁判所はこのような重大な事案については9人の裁判官全員が審理に参加すべきなのに、8人裁判を続けた。李貞美代行は今日、これに対して納得できる説明しなかった。8人裁判の違憲性はこの決定文に纏い続けるだろう。
 
8.国会が大統領弾劾訴追案を通過させた過程について憲法裁判所が審理しないのが判例として固まれば今後、国会は過半数の議席さえ確保すれば大統領の他には、いかなる国務総理や長官、大法院長、監査院長の裁判官なども弾劾訴追して一旦職務を停止させることができる。3分の2以上の議席さえ確保すれば、大統領を勝手に職務停止さられる。憲法裁判所が国会に独裁権を付与する格好だ。憲法裁が三権分立の原則を破壊することだ。

 

9.憲法裁判所がこれくらいの事案で大統領を罷免すれば、大統領5年単任制は維持できない。次期大統領は就任してすぐ弾劾圧迫を受けるようになる。


10.憲法裁判所の今日の朴槿恵大統領罷免決定は、国会独裁の公式化、司法紊乱、大統領5年単任制毀損、三権分立破壊など憲政秩序の根本を揺るがしたものだ。法治国家の枠組みを解体させ兼ねない。


11.一連の弾劾過程は、企画暴露-企画捜査-魔女狩り-人民裁判-ロウソク扇動-拙速弾劾へと続き、憲法裁判所の審理もこのような雰囲気の延長線上で進められた。企画暴露の過程、メディアの扇動報道、検察の人権蹂躙と越権、国会の剽窃訴追などに対する検証なしに決定がなされた。事実関係の確認もおろそかにした。企画暴露者の高永泰に対する証人尋問もしなかった。


12. 8対0のスコアがこの決定の正当性を保証しない。国民が選んだ大統領を8人の裁判官が罷免するためには5年単任制を作るまでの歴史的、政治的、理念的な洞察と罷免以降の政局混乱、60日以内の選挙問題、次期大統領が直面する危機状況に対しても考慮すべきだった。朴大統領の行為が5年単任制というほぼ神聖不可侵の民主主義の大原則を毀損させるほどの重大な犯罪だったのかに対して到底納得できない。比例関係に合わない決定は、憲法の名で行われても承服できない。憲法裁判所が憲法の精神を果たして守ったのか。今からが始まりだ。


www.chogabje.com 2017-03-10 11:30

更新日:2022年6月24日