JTBCの‘2次解明報道’の誤謬


“金行政官(注:金ハンス)は検察の捜査で、自分がそのタブレットPCを購入したのは事実で、李チュンサン補佐官(当時)を通して崔順実氏に渡されたと聞いたと陳述したことが確認されました”と言ったが、金ハンスの陳述調書にはそんな内容が存在しない。


趙成豪(趙甲済ドットコム記者)

(2017.1.23)


 JTBCが“金行政官(注:金ハンス)は検察の捜査で、自分がそのタブレットPCを開通(購入)したのは事実で、李チュンサン補佐官(当時)を通して崔順実氏に渡されたと聞いたと陳述したことが確認されました”と報道したが、確認して見たらこの部分は検察が作成した金ハンスの‘陳述調書’にはない。

 

 崔順実(崔・ソウォン)事件の発端は、JTBCが入手して報道した(崔氏が使用したかどうか異論がある)タブレットPCだ。JTBCは崔氏が青瓦台から朴槿恵大統領の演説文などを事前にもらってこのタブレットPCで修正した情況があると報じた。問題のタブレットPCを購入した人が金ハンス青瓦台先任行政官(青瓦台広報首席室のニューメディア政策秘書官室所属)であることも暴露した。このタブレットPCをめぐり‘崔順実のものでない’、‘捏造された’という主張が提起されている。


 JTBCは昨日(1月11日)、タブレットPCの入手過程について解明報道した。昨年12月8日に続いて二回目だった。JTBCがタブレットPCの入手過程を1カ月間に二度も報道したのは、それほどタブレットPCをめぐる議論が高まっているのはもちろん、この問題が崔順実事件の発端でかつ核心争点の一つであるからだ。記者は、JTBCの1月11日のタブレットPC入手過程に対する2回目の解明報道(便宜上2016年12月8日付の報道を1次解明報道、2017年1月11日の報道を2次解明報道とする)から2つの矛盾を発見してこれを検証してみた。


1.JTBCのシム・スミ記者の金ハンス関連説明内容は本当なのか
 1月11日の‘JTBCニュースルーム’で、孫石煕アンカーは、沈・スミ記者に“四番目のルーマー、タブレットPCを最初に開通した金ハンス行政官をJTBCが意図的に報道しなかったということですが”と尋ねる。シム記者は昨年10月26日、JTBCが金ハンス行政官が問題のタブレットPCの所有者であることを最初に報道した映像を見せてから次のように言った。

 

 “金行政官(注:金ハンス)は検察の捜査で、自分がそのタブレットPCを購入したのは事実で、李チュンサン補佐官(当時)を通して崔順実氏に渡されたと聞いたと陳述したことが確認されました”


 趙甲済ドットコムは金ハンス行政官の検察‘陳述調書’を入手した。全19枚のこの陳述調書は、金行政官が昨年の10月29日、ソウル中央地方検察庁1515号検事室で陳述した内容をもとに作成された。陳述調書を読んでみると、金行政官はタブレットPCの購入と開通経緯、崔順実と最初会った過程などを陳述する。


 結論を先に言えば、シム記者が言った内容は金ハンス行政官の陳述調書と全く違う。陳述調書を見れば、金行政官は、▲李チュンサン補佐官と初めて会った時期と目的、▲李チュンサン氏から頼まれて自分が運営していた会社(注:マレイ・カンパニー)の名義でタブレットPC1台を購入、開通した事実、▲李チュンサンを随行したとき見た崔順実などにたいして検察に具体的に話した。しかし、問題のタブレットPCが李氏を通して崔順実氏に渡ったと言った(シム・スミ記者が言った)記録は陳述調書にない。金行政官の陳述の眞僞を離れてそういう内容がまったくないのだ。李補佐官がタブレットPCが必要だと言ったため(李補佐官に)開通してあげたと金行政官は陳述調書で言っただけだ。陳述調書の問答内容中、李チュンサン補佐官に触れた重要部分をいくつかを原文通り抜粋して紹介する。(*原文は省略)


2.シム・スミ記者が言った‘数百件の機密文書’は正確な表現だったか


 シム・スミ記者は1月11日、タブレットPCの中のファイルを説明しながらこう表現した。


 “私たちがその日、集中したことは崔順実氏が数百件の機密文書ファイルをもらってきたという点を強調して見せたもので。”


 趙甲済ドットコムが検察の公訴状と李炅在弁護人側の説明を確認した結果、シム記者のこの説明は事実上、誇張に近い。検察公訴状36〜39ページの‘犯罪一覧表3’を見ると、崔氏に関連する計47個の犯罪リストがある。これはジョン・ホソン前青瓦台付属秘書官(拘束)が崔氏に流出した文書だ。昨年の12月11日、検察の特別捜査本部(本部長・李永烈ソウル中央地検長)は、崔順実事件関連の捜査を終えて関連資料を特検に引き渡した。この日、盧承権ソウル中央地検1次長は記者団にブリーフィングし、次のような要旨を発表した。


 “押収された180件の中で公務上機密性が認められると判断したのが前回の起訴した47件だ。文書の確保経緯を申し上げる。10月26日、崔順実の住居を家宅捜索して外付けハードを確保した。青瓦台文書119件が保存されていた。10月28日、Kスポーツ財団で勤務した部長の自宅を家宅捜索して大統領歴訪日程案の文書5件を確保した。11月7日、ザー・ブルーケイの職員から大統領の海外歴訪日程案1件を任意提出された。JTBCが10月24日提出したタブレットPC。その中にあった文書が50件だった。TV朝鮮が10月30日、青瓦台教育文化首席室が作成した体育特技者文書など5件を任意提出した。JTBCのタブレット入手経緯について異議が多かった。JTBCが提出したタブレットPCに50件があると言ったが、この中で‘公務上の秘密漏洩’が認められたのは3件だ。(下略)”


 つまり、検察が裁判部に正式証拠として提出したのただ3件ということだ。言い換えれば、他の文書は公務上の機密漏洩と言えないという意味になる。検察の公訴状の犯罪一覧表に添付されたものであっても、裁判で証拠として採用されないとその時から効力がない。では、シム・スミ記者が言った‘崔順実氏が数百件の機密文書ファイルをもらった’と言ったのは誇張としか言えない。シム記者の上記説明だけを見れば、恰も(崔氏のものと推定される)タブレットPCから出た数百件のファイルが全部‘公務上の機密漏洩’に該当するものと視聴者が誤認する可能性が非常に高い。


www.chogabje.com 2017.01.12 14:11

更新日:2022年6月24日