朴槿恵大統領弾劾訴追案の国会可決で民衆革命の蓋も一緒に開けられた!

 

ロウソク示威で圧迫し続けて来年1月に朴槿恵を強制下野?
韓国社会には体制変革の‘民衆革命’を阻止する力がない。

 

趙佑石(メディアペン主筆)

(2016.12.12)


[2回連続コラム】-‘建国68年の大韓民国が崖に立った’①


 韓国社会が結局、ルビコン川を渡った。渡ってはらない道を踏み出したのだ。今回の弾劾表決は、憲法第4条に規定された自由民主的基本秩序に反する点から明白な違憲で、大衆の盲目の狂気に韓国社会全体が屈服した点で悲劇的な事件だ。
圧倒的に可決された12月9日の国会の表決結果に対してある人々は楽しかった市民革命の余波を語り、‘ロウソクの民心’を賛美するだろうが、筆者(私)は決して同意できない。むしろ、朴槿恵大統領弾劾は現代史の巨大な失敗であると主張する。今まで警告してきた‘暴民政治’が体制変革の民衆革命へと走るはずだという可能性からなおさらだ。これはどこへ向かうだろうか。
 嬉しい顔をする馬鹿たちとは違って、今回の弾劾は反憲法的な暴挙であるという指摘が正しい。また、今まで新聞や放送に出た噂やゴシップ程度を集めて弾劾訴追を強行したから明白な違憲ではないか。憲法には内乱または外患の罪でなければ、在任中訴追はないと規定しているのではないか。


ぞっとする三つの予測


 このような暴挙と違憲を強行した国会が問題だが、セヌリ党の中では珍しくも精神が正常な金鎮台議員が表決の前に指摘した通り、大統領は裁判を受けず、調査もされていない状況だった。また、特検は始まったばかりの状況だ。そのため、今回の弾劾は無罪推定の原則を無視したまま強行されたという点で手続き上の決定的な問題がある。


 もっと大きな問題がある。弾劾起訴に熱狂する大衆の反応とは違って今日付で建国68年の大韓民国が事実上瓦解局面に入った厳重な事態であると筆者はあえて言いたい。今まで何度も警告してきた通り、左翼勢力が夢見てきた体制変革の民衆革命が、弾劾によって事実上成功したという点でそう言える。


 “革命勢力は、彼ら同士では既にわれわれの革命が成功したと話し合っているかも知れない。この革命の本質は、韓国の自由民主主義を1980年代の左翼運動圏が標榜した‘民衆民主主義’あるいはそれに似た似非民主主義体制へ転換させる革命だ。”


 上の引用は、弾劾の前日に政治学者の梁東安名誉教授(韓国学中央研究院)が文化日報に出した意見広告‘革命前夜の韓国、どこへ向かうのか’の一部だ。私もその診断には100%同意するが、3つのぞっとした予測からそう予測する。
第一、引き続き朴槿恵大統領を引き下ろすための狂乱が始まる。それを要求するロウソク集会は今回の弾劾起訴で止まるどころか年末を経て来年初めまで続く。その場合、朴槿恵大統領は来年1月に前に実質的に追い出されるもう一度の革命的状況に直面し得る。


 またある。怒った大衆を操る背後の革命勢力は、弾劾起訴後6ヶ月以内に憲法裁判所の決定、その後60日以内に大統領選挙という政治日程を正面から無視しようとするはずだ。このような超憲法的、反憲法的行動を統制できる公権力と正常な政治力が韓国にあるのか。ない。それで非常に心配だ。

朴槿恵大統領弾劾訴追案が可決された12月9日、国会の前に弾劾派デモ隊の‘市民革命委員会’という旗。 /写真=メディアペン


彼らが言う新しい体制というもの


 第二、革命勢力は大統領選挙という既存の政治的手順をほぼ無視するかも知れない。すでにソウル市長の朴元淳などは‘非常時局会議’という超憲法的機構を構成しようと提案した。新しい体制、新しい国を作るべきだというビジョンも提示したが、それは体制変革・民衆革命の夢とほぼ一致する。


 そのため、中央日報を含む制度圏のメディアらが予測する桜季節の大統領選挙(4〜5月)や初夏お大統領選挙(6月)は、彼らだけの虚しい期待に終わって革命勢力に引き摺られていく悪い状況も考えられる。物理的に準備されなかった大統領選挙の結果が韓国の状況で果たしていいだろうか。決定的に左翼の革命プログラムを克服できるカードがあるのか。ない。それで恐ろしい。


 韓国社会を1980年代以降、事実上支配してきた左翼勢力のこのような実力行使が、親北-従北勢力に友好的な3野党の協力の下、順調に進む場合、韓国社会はあっという間に公権力の瓦解はもちろん、自由民主的基本秩序の枠組みそのものが崩れるのが明白だ。断言する。この衝撃と進行過程は、革命の前夜を超えて‘革命そのもの’だ。


大韓民国はこのまま終わるのか


 第三に、言うことすら恐ろしいが、最悪の混乱と内乱の可能性さえあると私は思う。自由民主的基本秩序の枠組み自体が壊れるのが明白な状況で、今まで大韓民国を支えてきた勢力が果たしてどう動くか。


 革命勢力の跋扈の前で勢不足を痛感するまま、事実上降伏ないし黙認すれば、大韓民国を明け渡す最悪の状況が演出される。建国70年も経たない大韓民国が終わるのだ。このような流れに対抗する組織的活動が展開されるなら別の変数が登場する。その場合は解放後かつてなかった最悪の混乱に発展しないという保障もない。


 本当に言い辛いが内乱だ。これが未だロウソク集会と大統領弾劾を‘楽しい市民革命’や‘素晴らしいベルベット革命’とばかり思っている政治的阿保たちグループ、あるいは偽善リベラルリストグループに聞かせたいメッセージだ。次回は、体制変革・民衆革命の具体的な方法と内容を国内外の事例を挙げて説明するつもりだ。繰り返す。大韓民国は今崖に立っている。(つづく)


www.mediapen.com 2016-12-09 17:43

更新日:2022年6月24日