“北韓の政治犯、裁判から死刑まで一時間”


人民保安部傘下の平安南道北倉18号管理所を担当した匿名の脱北者の証言。

 

RFA(自由アジア放送)
(2016.12.12)

 

 国際弁護士協会などが12月8日、米国ジョンズホプキンス大学で開催された北韓の政治犯収容所内の反人道犯罪に関する国際模擬裁判。RFA PHOTO /ヤン・ヒジョン

 

 アンカー:北韓で政治犯に対する形式的裁判から死刑執行まで一時間で終わるという証言が出ました。ヤン・ヒジョン記者が伝えます。


 北韓の政治犯収容所内の反人道犯罪(An inquiry on Crimes Against Humanity in North Korean Political Prisons)を主題に12月8日、米国ワシントンのジョンズホプキンス大学国際大学院で開かれた国際模擬裁判で、北韓は政治犯の裁判開始から死刑執行までわずか1時間で終わるという証言が出ました。


 通訳:公開裁判が始まって、つまり裁判場に入って実質的に処刑されるまで時間がどれくらいかかりますか。


 脱北者:一時間程度で十分だと思います。


 身辺保護のため匿名を要求した北韓人民保安部傘下の平安南道北倉18号管理所を担当したある脱北者は、国際弁護士協会(IBA)などが共同開催した模擬裁判でそう証言しました。この脱北者は、有罪判決から処刑までは即決、つまり10分以内に処理されると付け加えました。


 また、中央党組織指導部の検閲2課長だったシン・チャンホと高麗奉仕指導局長の朴・ドゥナムの場合、高麗ホテルで金正日国防委員長に対する不適切発言で革命化区域に送られたが、金正日に無実を訴える申訴の手紙を上げて、逆に裁判もなしに処刑されたと説明しました。当時、金正日国防委員長が“私のそばにいなかった人々”と返事し、11歳のシン課長の息子と朴局長の30歳の息子や嫁まで一家11人が銃殺されたということです。


 唯一思想体系10大原則に違反した政治犯に対する即決処刑などを承認した最終責任者は誰なのかという質問に対して、この脱北者は自分が18号管理者として務めていた当時、最高指導者の金正日国防委員長だったと答えました。


 通訳:処刑の承認を上部から受けると言ったが、上部とはどこでしたか。


 脱北者:最終的な上部は金正日でした。


 この日の模擬裁判には、ナビ・ピルレイ元国連人権最高代表、マーク・ブライア・ンハーマン(Mark Brian Harmon)旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所判事などが判事として参加して耀徳収容所出身の脱北者の姜哲煥北韓戦略センター代表と国家安全保衛部出身の脱北者の崔・ヒョンジュン氏などの証言を聴取しました。
 この行事は米国の人権団体の北韓自由連合、北韓人権委員会、ヒューマン・ライツ財団などをはじめ、延世大学校ヒューマンリバティセンターなどが後援しました。


www.rfa.org/korean 2016-12-08

更新日:2022年6月24日