悪魔払いを呼んでいる時局


柳根一
(2016.11.4)

 

 呆れた。‘崔順実姉ちゃん’一人のため国中が震度8の地震だ。大統領の令が効かず、青瓦台の秘書室が開店休業で、政府がなす術もなくなり与党が空き缶となった。統治もなく政治もなく旗もなくリーダーシップもない。国家運営が乱れるのにわずか数日もかからなかったのだ。一部では“この際に覆そう”という。どうすべきか。破局を待つべきか。そうするわけにはいかない。統治システムの変動が避けられなくても、それを道理にかなうようにやるべきだ。破局的な方法はリスクがあまりにも大きい。


 だが、朴槿恵大統領は最悪の事態を想定すべきだ。政権が崩壊するのはそう難しいことでない。自由党政権、維新政権、5共和国政権も臨界点に達するやあっという間に傾いた。ネクタイ部隊、市場の商人、一般市民まで背を向ければ政権は崩壊する。そういう兆しがすでに見える。崔順実母娘のパワーハラ、無教養、放恣さに皆が呆れている。‘国民情緒法’だ。これが爆発すれば地滑りを止められる方法はない。このことが分かれば迅速に対処すべきでタイミングを逃したらそれさえも無効だ。


 朴槿恵大統領は何をどうすべきか。崔順実コネクションを聖域なしに捜査せねばならない。トカゲの尻尾を切るとか、免罪符を与えようとしたらもっと大きな禍を招く。崔氏一族との長い悪縁を断固として切らねばならない。禹柄宇、安鍾範、‘最側近3人組’や文化体育観光部などの崔順実人脈やプロジェクトも容赦なく抉らねばならない。大統領は外交・国防・対北に専念し、他の分野は総理に任せる案も傾聴に値する。金正恩の核ミサイルに対しては韓・米・国際協力で一貫して対応せねばならない。この側面では下野だの挙国内閣だのというのは妥当でない。THAAD配備賛成とTHAAD配備反対が同じ内閣に同居できるだろうか。朴槿恵時代が円満に終わることを望んできた陣営は‘護ってあげる名分’を与えねばならない。革新が遅滞するほどその名分は弱化する。


 与党はどうすべきか。親朴であれ非朴であれもはやエンジンは止まった。しかし、個人的にはまともな人がいる。この院内の人士らが院外の自由民主市民社会と協力して与党内の崔順実的な要素、火事場の泥棒のようなちゃっかり派、そして急進過激に対抗して新しい中心をなして欲しい。野党はどうすべきか。文在寅は‘崔順実の国政壟断’をもって‘宋旻淳回顧録’を糊塗しようとしてはならない。‘崔順実に聞いてみよう’としたのが国家紀綱紊乱の五十歩だったなら、‘北韓に聞いてみよう’としたのは国家紀綱紊乱の百歩だった。このスキャンダルが新聞・放送では‘崔順実効果’で覆われているが、大統領選挙のときは水面上に再び浮上する。浮上させねばならない。


 親盧・親文(*文在寅派)の左翼出身でない野党はどうすべきか。金鍾仁、孫鶴圭、安哲秀などが左翼野党より柔軟な道を進もうとしたのが事実なら、今日の核危機と政情不安こそそれを立証して見せる絶好の機会だ。彼らは左翼運動圏野党と同じく“この際に一気に処理しよう”という方を選ぶなら、彼らの‘第3の道’への名分はなくなり、「共に民主党」の手先に転落する。だが、彼らが“朴槿恵政権には反対だが、極端な打破-国政の空白-憲政中断にも反対”を闡明すれば、彼らは「共に民主党」を抜いて有力な代案勢力として浮上し得る。中道・保守の一部が激烈な野党よりは、彼らに目を向けるはずであるためだ。


 ところで、朴槿恵大統領の機敏な対応や与・野党の適切な対応はあくまでも希望であるだけだ。これが適時になされず時間ばかり費やせば、事態がどう急轉するかは誰も断言できない。4・19革命をもたらした‘3・15不正選挙’のとき、民心が悪化するや李起鵬副当選者は辞退を表明した。ところが、秘書室長が声明を書きながら‘辞退する’を‘辞退を考慮する’に変えた。これが火薬庫に火をつけた。クワで防げることを鋤でも防げなくなった。維新末期、5共和国末期にもそういう判断ミスがあった。金在原政務首席が“全員辞退しよう”と言ったとき禹柄宇・安鍾範が極力反対したのも炎に油を注いだことだ。理念的に左偏向した人々が大統領退陣を叫ぶのは当然だ。だが、中道・保守まで怒らせれば、その時はどうしようもない。朴槿恵大統領は周辺の邪気を遅滞なく退魔するか、できないのか。軟着陸か硬着陸かがそこにかかっている。


*本記事は朝鮮ドットコムで作成された記事です。
柳根一の耽美主義クラブ

http://cafe.daum.net/aestheticismclub 2016.11.01 09:20

更新日:2022年6月24日