大韓民国は北韓解放で危機を乗り越えよう


統一日報社説20161102日付

(2016.11.4)


 朴槿恵大統領のリーダーシップが崩壊した。朴大統領が国民的憤怒に押されて最側近補佐官5人を解任し、セヌリ党が挙国内閣を大統領に要求した。検察が青瓦台を家宅捜索した。今回の事態は、朴槿恵大統領がもたらしたものであるため、朴大統領が責任を負うべきだ。


 だが、挙国内閣は、野党が拒否すると不可能だ。なのに、大統領に問題の側近たちの整理と挙国内閣を要求した野党は、いざ与党が野党の提案を受け入れるや、彼らの提案を取り下げ政局収拾への協力を拒否している。野党の政略的で狡猾な態度を糾弾せざるを得ない。


 朴大統領の過誤はあまりにも大きく多い。最も赦され難いのは、国民に嘘をついてきたことだ。信頼と約束を誰よりも強調してきただけに赦し難い。さらに、大統領の教養と分別力を疑うしかないのが国民を悲しくし、もどかしくし、絶望させる。いずれにせよ、朴槿恵大統領は、自分の行為とその結果について責任を負わねばならない。当然、調査を受けるべきだ。


 問題は、朴槿恵大統領に責任を問うことで、今回の事態を終わせられないことだ。いわゆる「民主化」された第6共和国の6人の大統領が皆、程度や性格に差はあっても、側近たちのため、任期末に致命傷を負った。違法や権力乱用、不正蓄財で糾弾された。


 しかし、この大統領たちの違法や反逆行為が在任中はもちろん、退任後も断罪されたのは、ごく一部だ。政治的論理と扇動を動員して法的裁きを封鎖したためだ。甚だしくは、憲法を蹂躙し、北韓の核武装を助けた大統領とその支援勢力まで法の裁きを受けていない。


 「崔順実事態」は、6共和国の大統領制の恥ずかしい歴史の決定版だ。したがって、これを契機に、今の大統領制に対する徹底した反省が必要だ。まず、有権者がなぜこのような者たちを選んだのか、なぜ大統領の暴走との脱線を牽制できなかったのかを省察すべきだ。


 次は、これら大統領たちが国民を不安にし、国家力量を消耗させた実状を直視すべきだ。国家力量の消耗原因は簡単だ。指導者の判断錯誤、誤った政策優先順位、ポピュリズムに屈服した集団的堕落が主な原因だ。


 何よりも、法治の崩壊を指摘せざるを得ない。6共和国の「民主化」という放縦が法治を決定的に後退、無力化させた。法治の崩壊はつい先週、惨憺たる形で明らかになった。法院が出した、故白南基氏の司法解剖令状を遺族などの抵抗で警察が執行を放棄した。しかも、野党が公権力の執行を妨害した。公権力が崩壊した社会は、不正と暴力が支配することになる。


 6共和国の歴代政府と同様に、朴槿恵政府も北核阻止努力より、福祉や「文化隆盛」などを強調してきた。だが、北韓の核ミサイル実戦配備が秒読みという現実が示すように、大韓民国は生存の岐路に立っている。こんな状況で安保よりも福祉がもっと重要か。福祉や文化が北核より、北韓人権より、北韓解放よりも緊急の課題か。


 戦争中の国家で安保より、勝利より重要なものはない。戦争に敗れれば、福祉と文化も存在できなくなる。今、大韓民国が国家安保から目を背けて、極度の利己的ポピュリズムにエネルギーを費やす余裕があるか。


 今、多くの先進国が景気後退から抜け出るため貨幣を蒸発し、マイナス金利まで採用している。他の政策手段が枯渇したためお金を刷るのだ。だが、大韓民国は違う。北韓を解放すれば、韓半島には新たな機会が開かれる。青年失業など心配する必要がない。北韓を解放すれば、安保と経済が共に解決される。


 大韓民国の政治が、大統領たちが、この善の目標、この正義の戦略、緊急の政策優先順位から離脱した結果が、極端な社会的葛藤と「崔順実事態」として現れたと言える。休戦以来、最も戦争の可能性が高くなった今、大韓民国のリーダーシップが崩壊した危機に瀕している。この非常状況をどう克服すべきか。大韓民国の安保現実に対する国民の覚醒と朴槿恵大統領の決断、そして堕落した政界を牽制することのみが、この危機を克服できる。

更新日:2022年6月24日