韓国の歴代政権の対北政策はなぜ失敗したのか

柳根一

(2016.10.11)


朝鮮ドットコム入力:2016.10.04 03:11


われわれが核災難に追い込まれたのは、北韓権力の本質・属性・意図を誤判し安易に見たためであり、保守と進歩と一緒に歴代政府の対北政策の失敗原因から自省してこそ核とミサイル挑発に答えが出る

 

 大統領も、政治家たちも、オピニオンリーダーたちも今は非常時局だと言う。今日の北韓の核ミサイル事態に対しての評価だ。なぜ非常時局なのか。核保有国と非核国はゲームが成り立たないからだ。しかし、このことよりもっと深刻な非常事態がある。なぜこのような状況に至ったのかに対して国民的、普遍的認識がないことだ。これがないため、超党派的に合致した危機診断がないため、国を挙げての危機処方も出ないのだ。


 われわれがこの核災難に追い込まれた理由は一つだ。われわれが北韓権力の本質・属性・意図を誤判し何事に対しても安易に見たためだ。私たちは、北韓の権力の本質と属性との意図を誤ってついてマサチューセッツすぎる安易に見たせいだ。この失敗をめぐり、政界と理念の世界では“それは太陽政策のせいだ”、“違う、強硬路線のせいだ”と言って擦り付ける論争をしている。


 だが、‘強硬’と非難される方も金日成・金正日・金正恩と頂上会談を焦ったことだけでは‘太陽’側も否めないはずだ。‘強硬’と言っても盧泰愚・金泳三・李明博・朴槿恵政権も皆‘統一業績’を残すため会談・交流・和解・協力の試みをしなかったわけではない。この努力においては保守政権も進歩政権と差がない。意図は違いがあり得たが両方が打ち出した大前提も同じだった。薫風を吹き込み、物質的インセンティブを与えれば、金日成・金正日・金正恩政権の態度が変わり得ると前提したのがそれだ。


 数多くの社会科学者、官僚、政治家、大企業、文化人、報道機関らが保守や進歩を問わず、皆が北韓にお金の味を教えれば、優しく宥めれば、狼藉を働くたび支援すれば、ご機嫌を取れば、頂上会談と協商を重ねて見れば、やがて彼らの心と行動が緩和されて共存・交流・協力へのプロセスを開くだろうという展望にかけた。この時流に便乗しないと‘反統一’の烙印が押されるところだった。進歩の方は当然だが、勘のいい金匙やリムジン保守らも争って平壌にコネづくりや金正日謁見にこだわった。


 だが、このような左・右の‘太陽全盛期’は完全に空くじだったのが明確になった。われわれは、われわれが設定したバラ色の仮説に北韓が結局は乗ってくる根拠なしに過信した。夢が大きすぎた。しかし、北韓が馬鹿か、われわれの期待通りにやってくれるか。北韓の改革・開放は、われわれの立場では合理的だが、北韓側はそれを自分たちを滅ぼすための策略と見たはずだ。


 それで、北韓はわれわれのいろんな‘太陽政策’をひっくり返す戦術に出た。北側は会談と交流を通じてわれわれの要求は受け入れずお金だけをもらった。南韓内部を分裂させ、核ミサイル開発の資金と時間を稼いだ。われわれは、頭のいい秀才が自分の計略に自分がはまった格好になった。いつか現政府の‘統一準備委員会’という機構のセミナーに行ったが、そこでもある教授が共存・交流の青写真を本当に精巧に作って問題提起をしたのでその腕前は本当に感心した。だが、心中ではこうつぶやいた。“北韓があのシナリオに応じてくれないと、そのすべてが何の意味があるか”


 北側は韓国のシナリオに絶対合わせてくれない。そうしたら、彼らの世襲天皇制-疑似宗教体制が揺らぐからだ。あの体制は北韓住民の目と耳と口と魂を統制してこそ維持される。共存・交流・改革・開放は、その統制を緩め兼ねない。それで、北韓は南韓のシナリオを受けたくても受けられない。北にとって重要なのは世襲天皇制-疑似宗教体制の永続化であって、われわれが望む‘文明韓半島’ではない。


 ここまで来たら、韓国も米国ももう目覚めねばならない。南北対話も、6カ国協議も、オバマ大統領の‘戦略的忍耐’も、対話による北核廃棄を導けなかった。それで出たのが北韓‘レジームチェンジ(政権交代)’論だ。米国の一層強化された金正恩の資金締め上げと朴槿恵大統領の‘反人倫的統治の終息(建軍68周年記念辞)’論がそれを物語る。これが100%有効だとは予断できないが。


 金正恩の核とミサイル挑発と韓米同盟の‘北韓レジームチェンジ’の対応が衝突するこの状況は、それで‘死ぬか生きるか’だ。こうであるにも、わが社会の一部は、金正恩の核・ミサイルには‘天下泰平’でありながらその防御手段には反対だ。核ミサイルを持った相手は‘死ぬか降伏か’と攻撃するのに、われわれの内部は意思統一もなされていないわけだ。それでは、今までわれわれは何が間違ったのかを真剣に振り返って見なければならない。歴代のわが政府の対北政策はなぜ失敗したかから、保守も進歩も素直に自省することだ。そうしてこそそれなりの答えが出る。


柳根一の耽美主義クラブ

http://cafe.dfaum.net/aestheticismclub 2016.10.04 12:50

更新日:2022年6月24日