従軍慰安婦に対する愛情と国軍捕虜に対する無情


6万人の将兵を敵地に捨てて置いて問題提起もしない国が国なのか。


趙甲濟

(2016.10.11)


 人であれ国であれ優先順位がおかしくなれば物事がうまく行かない。日本を相手に従軍慰安婦問題で葛藤してきた韓国が、北韓政権には国軍捕虜送還問題を一度も公式提案したことがない。だから対北政策がうまく行くはずがない。政府は従軍慰安婦問題が国軍捕虜問題よりもっと重要だと判断した模様だ。事案の本質を見てみよう。


1.国軍捕虜の送還問題は生きている人命がかかった問題だ。従軍慰安婦問題は過ぎ去った時代の記憶と生存者の名誉の問題だ。どちらがもっと緊急な問題か。従軍慰安婦の苦痛は過去のことで、国軍捕虜の苦痛は現在進行形だ。どちらがもっと緊急な事案か。

2.北韓政権が不法抑留した国軍捕虜は約6万人、少なくとも数千人は生きている。従軍慰安婦の生存者より多い。規模が違う。


3.韓国は北韓に帰還すると言った北韓軍捕虜は全員送った。北韓は帰さなかった。戦争犯罪で国際法違反だ。不法性が明確だ。


4.韓国はかつて従軍慰安婦問題の解決なしには日本との関係正常化ができないと強硬な態度を見せた。歴代の韓国政府は100億ドルを超える対北支援をしながら、一度も国軍捕虜の送還を条件にしたことがない。国軍捕虜を従軍慰安婦よりも冷遇したのだ。


5.従軍慰安婦問題は国家がなかったとき起こった問題で、国軍捕虜問題は国家があり彼らの犠牲を土台にして立派に発展したその国家が今や捕虜問題を解決できる国力を備えたのに、自尊心と勇気が足りないため放置されている。どちらがもっと緊急の問題か。


6.北韓政権が6万人の国軍捕虜を抑留した理由は、李承晩政府が韓米相互防衛条約締結を圧迫するため反共捕虜を釈放したことに対する報復だった。つまり、6万人は祖国の自由と繁栄を確保している韓米同盟のために犠牲になった人々だ。彼らの犠牲を土台にしてわれわれが良い暮らしをしていながら従軍慰安婦ばかりを大事にすれば、今後誰が銃を持って祖国を護る戦争に出ようとするだろうか。国家の倫理、国民の義理の問題だ。いや、国家の存在理由に関する問題だ。


7.韓国の国防部と統一部は、今まで国軍捕虜の送還要求をするのが罪でもあるように行動してきた。友邦の日本に対する態度と、敵である北韓政権に対する態度がなぜこのように違うのか。


 従軍慰安婦問題には敏感で、国軍捕虜問題には鈍感な韓国政府を、国際社会は理不尽な基準を持った団体と見るかも知れない。同族が犯した戦争犯罪と言って覆って、外国の犯罪行為だけを問題視するのは民族主義ではなく人種主義だ。


www.chogabje.com 2016-10-05 11:06

更新日:2022年6月24日