忍び寄る米・中、米・北ビッグディールの惡夢


核武装国らが核のない韓国を排除して韓国の運命を決定する。核のない韓国は米国に裏切られて独りぼっちになり、朝鮮王朝とチェコ共和国の運命をたどる。 2017年12月に從北・従中候補が当選すれば、韓国は自主と自由を失う道が開かれる。


趙甲済

(2016.9.27)


 韓国は自衛の核武装をするか米国の戦術核を再配備すべきだと主張すると、「核人從勢力(北の核開発を助け、人権弾圧を幇助し、従北と組んだ勢力)」はいきなり親米的になる。‘オバマ大統領は核のない世界政策を推進するのにそれに逆行することだ’と。オバマのメンツのため韓国は敵の核爆弾にさらされる。米国には政策の問題だが、韓国には生存がかかった問題だ。

 すでに米国の指導層では、北韓に対する軍事的措置と同時に、それが不可能な状況に備えて米・中のビッグディール、米・北のビッグディール案が議論されている。北韓の核保有を認め北韓の要求を呑むという話だ。北韓の要件は当然、韓国の安全と自由を弱体化させる内容だ。米・中のビッグディール、米・北のビッグディールは、協商過程で韓国を見物客にしてしまう。核のない韓国を、何のカードも持っていない厄介な存在と見做す。


 金泳三大統領は1994年、米国が北韓の寧辺核施設を爆撃する計画に反対した。米国は金泳三の韓国を排除し、ジュネーブで北韓側と直接談判した。ジュネーブ条約で韓国はカモになった。北韓の核発電所建設などの負担をほとんど韓国が負ってしまった。これは軍事的措置に反対して卑屈な平和を選択し代価だった。ジュネーブ合意が北韓の核問題の解決方法を‘協商’によるものにしたため結局、北韓の核武装を許してしまったから韓国としては自業自得だ。


 韓国が核武装をしないと、中国、北韓、ロシアだけでなく米国も韓国を無視する。米国の指導部は、表向きは韓国の核武装に反対するが、内心では‘自衛の核武装もできない国、THAADの配備も決断できない同盟国をこれ以上配慮する理由がない’と考える。韓国はすでに米国から軽蔑される国となった。


 * 1938年、ナチスドイツがチェコ共和国内のドイツ人居住地域を取り戻すため進駐すると言ったら、ヨーロッパの4大強国はミュンヘンで会談を開き、チェコ共和国の運命を決定した。この会談にチェコ共和国は出席もできなかった。同盟国であるフランスがいくつかの理由をあげて、ドイツ軍がチェコ共和国を攻撃しても、軍隊を派兵できないと通報したのだ。同盟国に捨てられたチェコ共和国は、フランスとイギリスが自国をドイツに引き渡すのを見るだけだった。米国から捨てられる韓国がこのような運命になるかも知れない。核兵器のない韓国、反米的な韓国、分裂された韓国、親中化された韓国を、米国に協調的な日本のように待遇する理由がない。韓国は核武装カードを放棄すれば、中国や北韓はもちろん、米国に対しても圧迫手段がなくなる。

 *日露戦争の講和会談を斡旋した人物はセオドア・ルーズベルト米大統領だ。彼は日本贔屓と呼んでもいいほど、アジアの新興強国が好きだった。米国男性美の象徴であるルーズベルトは、日本の尚武精神を尊重したようだ。米国の斡旋でポーツマスで開かれた講和で朝鮮の運命が決まった。講和条約の第2条はこういう内容だ。


 <ロシア帝国は日本帝国が朝鮮において政治・軍事・経済的な優越権があることを認め、また、朝鮮に対して指導・保護・監督に必要な措置をとることを認める。>


 この条約が結ばれる二ヶ月前の1905年7月、米国は日本と桂-タフト密約を結び、日本が朝鮮に対して支配権を確立することを諒解した。朝鮮(大韓帝国)はこの二つの会談によってチェコ共和国のように地図上から消える国家になったのだ。


 核兵器のない韓国は、北韓の人質になるだけでなく、米国と中国の玩具になる可能性が大きい。韓国が疎外された米・北、米・中間のビッグディールで、韓国の國益は致命的に損なわれる。中国は韓国の中立化を、北韓は駐韓米軍の中立化を要求するはずだ。それを平和協定として公式化するだろう。米国は韓国人たちの反米、親中、親北性向と内部の分裂、そして地政學的条件などを総合して米国が核戦争を覚悟してまで護るにはあまりにも負担になる、そして憎たらしい存在だと判断する。‘敵が核武装をしても自衛の核武装もできず、しかも、われわれが配備しようとするミサイル防衛網まで反対する人々を、なぜわが若者たちの血をもって護らねばならないか’という世論が米国内で形成されるだろう。そうして、韓米同盟は形骸化し、米日同盟の強化を急ぐだろう。


 韓国の2017年の大統領選挙で核北・従中候補が大統領に当選すれば、韓米同盟は決定的に弱化する。両国の国民同士、政権同士の信頼が崩れれば、核兵器のない大韓民国は核武装した強国らに囲まれ、北韓の人質に転落し、主権国家としての自主と民主共和国としての自由を失う道に入る。富國强兵に失敗していた朝鮮王朝、同盟国に裏切られたチェコ共和国の運命を辿るだろう。来年の大統領選挙は屈従か自由かの選択になる。


www.chogabje.com 2016-09-23 08:41

更新日:2022年6月24日