“正気を失ったのは金正恩ではなく、韓国だ”


“金正恩は、核とミサイル実験を続けて核保有国になれば、国際的制裁を回避でき、そうなれば様々な戦略を駆使して韓国を従属させることで共産化統一へと進むという確固たる戦略意志を見せている”

趙甲済

(2016.9.21)


 政府の中で北韓核問題を長く取り扱った前職高位関係者は、韓国社会が金正恩を‘正気を失った奴’と評価するのは錯覚だと言った。彼は“金正恩の立場から問題を捉える努力をしてこそ誤判を減らせる”と言った。金正恩の立場から見た問題の核心はこれだ。


* 在来式軍事力で北韓軍は韓国軍に比べてあまりにも劣勢だ。多くの兵士たちは建設労働者だ。金正日時代から核兵器がなければ軍事的に韓国に対抗できないと考え核兵器開発に執着するしかなかった。核兵器のない北韓にどの国が関心を示すだろうか。したがって、金正恩の核戦略は狂気の沙汰ではなく、体制守護のための最も理性的な選択だ。


* カダフィが核を放棄したため反乱軍に捕えられて死んだ事件を忘れないはずだ。金日成と親しかったルーマニアのチャウセスクが東欧共産圏の崩壊の風の中での軍反乱で死んだのも反面教師となった。

* 実績のない金正恩はリーダーシップに自信がない。脆弱な権力を強化するためには、核とミサイル実験を通じて権威を高める道しかない。米国を相手に渡り合う姿を見せるのが対内的に最も効果的な政権安定策だ。


* 北韓軍は韓半島の統一を目指す攻勢的軍隊だ。攻勢的であるため戦略の駆使において想像力と創意が必要で視野が広くなければならない、守備型で官僚的かつ受動的な韓国軍より勝る点がある。


* 金正恩は、核兵器で米国だけでなく中国を圧迫できると思う。金日成が中国とソ連の間で綱渡りをしたように、核兵器をもって米・中の間で綱渡りをしながら延命を図るだろう。米国に“我々を核保有国として認め修交してくれれば、親米に回る”というメッセージを送ったこともある。


* 北韓の当面目標は核保有国として認められることだ。核爆弾を多様化、大量化、小型化し、ミサイルの能力を極大化して核大国の能力を確保すれば、米国は核保有国として認めざるを得ないと信じている。同じ方式で核保有国の地位を得たインドとパキスタンの事例を参照する。


* 核保有国になれば国際的制裁を受けない。そうなれば、核と経済の竝進路線が可能だ。


* 北側は核弾頭の管理やミサイルの管理を分離している。弾頭の管理は金正日が労働党を通じ直接し、ミサイルは戦略軍司令部が担当する。先軍というものの、実際には先党だ。党が軍を統制する。金正恩はチャウセスクとカダフィが軍の離反で没落したことに注意する。


* 金正恩は、画期的な政策を推進し難い米国と韓国の大統領選挙期間を利用して核とミサイルの実験を続ける。名実共に核保有国の地位を確保した後は、核を背景にあらゆる戦略を駆使し、韓国を従属させ、共産化統一へと進もうとするはずだ。


* したがって、金正恩の行動は正気を失っておらず、た計算的かつ実利的だ。体制の生存をかけすさまじい闘争をしているという点で合理的ともいえる。
 この専門家は、北韓が2〜3ヵ所のウラン濃縮施設を持っているため核爆弾の大量生産体制を稼動していると述べた。2010年に北韓の寧辺核施設を訪問して濃縮施設を見た米国のジークフリート・ヘッカー博士は、“現在、北韓が保有したHEU(高濃縮ウラン)は約300〜400㎏、プルトニウムは約32〜54㎏と推定され、ここに年間生産可能なHEU150㎏が加われば、年末に20個核爆弾を製造するのに十分な量のHEUが蓄積だろう」と評価した。


 事情がこうであるなら、正気を失ったの方は南韓ではないか。


* 隣接する敵が核武装をしたのに‘私たちも核武装をやろう’という話が無視される世界唯一の国だ。 ‘われわれも生き残ろう’という主張が軽蔑される国は自殺衝動に駆られた存在であるはずだ。


* 韓国は敵が核武装をしたのに、防御網であってもまともに作ろうとした軍隊を誹謗し、さらに国防長官を監禁する国民たちがいる国だ。彼らを膺懲できない国が狂った国か、それとも在来戰力の弱体化を補完するため核武装する国が狂った国か。


* 敵の核武装にお金を提供し敵に対する制裁には反対しながら“それでも、われわれは平和のため核ミサイルの前で裸でいなければならない”と主張する者らが監獄へ送られるのではなく、大統領官邸入りを窺う国こそが‘狂気の沙汰’ではないか。


* 正気を失ったのは金正恩ではなく韓国だ。


www.chogabje.com 2016-09-13 22:02

更新日:2022年6月24日