中国を直視し夢から覚めよう

 柳根一
(2016.6.6)

 

 中国社会科学院の‛アジア太平洋国際戦略研究院’の王俊生は、北韓の李洙墉(*労働党政務局外交担当副委員長)の中国訪問についてこう言った。“李副委員長の今回の中国訪問を通じて中朝関係がまだ堅固であることを示した”、“韓国は‛朝鮮併合’のような方法で統一するという幻想を捨てねばならない”

 まことに怪しからんことだ。幻想を捨てるかどうかはわれわれの勝手だ。中国側に言われる問題でない。韓半島が統一されるのは自由統一か赤化統一のどちらかで第3の方式はない。恰も第3の道でもあるかのように、北韓が“連邦制で統一しよう”、“制度統一は駄目だ”と言うが、‛連邦制’は大韓民国の武装解除を通じての赤化統一の他の表現すぎない。“制度統一は駄目だ”というのは分断固着を通じての北側の‛世襲君主制ファシズム’の永久化を意味する。

 なのに、中国の官辺学者の王俊生が北韓の主張に公然と肩を持った。われわれの自由統一の理想を‛幻想’と言い、そんなものは希望も追求もするなと言い放った。これはつまるところ、われわれに分断固着に満足するか、米-北平和協定の締結による韓米同盟の解体、そしてその後の赤化統一の道を受け容れろという話だ。これは、中国の最高指導層の意中を表わしたものと見るべきだ。

 王俊生のこの発言は、一言でわれわれの今までの‛中国への期待’がいかに捕らぬ狸の皮算用で片思いのラブレタでかつ幻想だったのかを雄弁で物語る端的な事例だ。中国は絶対にわれわれの友人になれないこと、中国は北韓の味方であること、中国はわれわれと北韓の間で第3の調整者にもなれないという事実が改めて確認されたわけだ。中国が対北制裁に参加するのはそれが彼らの国家利益に合致すると考えるからで、それを見て中国がわれわれに味方すると拡大解釈するのは妄想だ。

 大韓民国の自由人たちの生命と財産と生活様式と体制と国家を守護する道は、結局1940年代後半〜2000年代に至るまで一貫して持続してきたわれわれの生の大道、つまり、われわれは海洋-西側文明圏と同盟し親善して協力してこそ生存できることを改めて確認せねばならない。もちろん、中国とは隣接する国としてうまく付き合っても、彼らはわれわれを自分たちの辺境の地方政権や野蛮人(東夷)程度に見縊っていることも忘れてはならない。
 
 そのような中国の前で堂々であり得るためには、われわれは韓米同盟、海洋勢力の多くの国々と友好親善関係を結ぶこと、インドとの緊密な関係を結ぶこと、アセアン諸国と緊密に接することなど、われわれなりの‛味方’を作らねばならない。そうしてこそ中国がわれわれを軽視できない。中国は無礼な国だ。景福宮にまで馬に乗って入った清の総督・袁世凱- 今日の中国指導層もちょうどその通りだと見れば違いない。THAAD配備が議論になったとき、中国大使と者が金鍾仁「共に民主党」委員長を訪ねて下品なことを吐いたのがまさにその通りだったではないか。そんな振る舞いがどうして一国の外交官がやれることなのか。

 こういうとき羨ましいのがベトナムの対中原則主義だ。彼らは米国と戦争をした国なのに、今日の北京の覇権主義に対抗するため、昨日の敵だった米国と手を握った。どれほど頼もしい態度なのか。われわれがその半分でもやれば、中国がわれわれを無視できないはずだ。個人でも国家でも自らの自尊を守ってこそ相手が私とわれわれを無視できないものだ。われわれが中国へ軽い秋波を送るほど、中国はわれわれを馬鹿にする。

 政府-与党-野党-国民がもう一度冷静に計算せねばならない。われわれが近年、中国に対するわれわれの‛一方的期待’外交で何を得たのかを。貿易は貿易、安保は安保だ。韓米同盟でも護らねばならない。ドナルド・トランプが米国大統領になり、韓国で反米・親中勢が再び勢力を伸ばしたとき、韓米同盟は果たしてどうなるだろうか。独りぼっちの孤立が他人事でない。

柳根一の耽美主義クラブ

http://cafe.daum.net/aestheticismclub 2016.06.02  22:47

更新日:2022年6月24日