北韓内閣総理・朴鳳珠に予告された粛清

文化日報 2016.05.17

黄晟準(文化日報論説委員)

 

 朝鮮労働党7次党大会は「正常への復帰」のためのそれなりの苦闘だった。いくら奇形的体制とは言え、非常戦時権力である「国防委員会体制」をいつまでも維持するわけにはいかないのだ。また、権威とカリスマを相続されていない金正恩としては形式的でも自分の権力を承認してくれる「戴冠式」が必要だった。36年間も党大会を開かなかったのは共産主義の歴史でも類例がない。最も類似したケースが1939-1952年の13年間、党大会を開かなかったソ連共産党の事例だ。1941年6月、ドイツがソ連に侵攻するや、ヨシフ・スターリンは国防委員会を組織して委員長になった。そして、国防委員会を党の上に置いた。そうするうちに、スターリンの健康が回復不能に至るや1952年10月、19次党大会を開催して党の権力を回復させる。そして、スターリンは翌年の3月に死ぬ。

 

 北韓の第7次党大会とソ連の19次党大会は類似点が多い。まず、カリスマとイデオロギーの統治から恐怖とテクノクラートの支配に変わる。以前の粛清は主に党の指導路線をめぐる理念闘争の性格を帯びた。しかし、理念と路線は消え、個人的恐怖だけが残るようになる。第二に、先軍政治が先核政治に変わる。軍事力を核武器と弾道ミサイルを中心に再編し、野戦軍よりは技術官僚への依存度が高くなる。第三に、労働者の党、あるいはインテリの党から官僚の党へと転換される。党は革命性を喪失し一つの行政機関に転落する。もちろん、違う点もある。まず、当時、ソ連は恐怖の秘密警察総帥のラヴレンチー・ベリヤと、テクノクラートの代表格のゲオルギー・マレンコフの連合政権だった。しかし、北韓は金正恩1人統治体制だ。第二に、何よりもベリヤを除去した宮中クーデターを起こしたニキータ・フルシチョフが北韓にはまだ見えない。

 

 今回の党大会を通じて最も出世した人物の一人が朴鳳珠内閣総理だ。朴鳳珠は政治局常務委員になっただけでなく、武力部門の出身でないのに中央軍事委員に選ばれた。ところが、北韓で最も眠れない人も朴鳳珠であるはずだ。金正恩は党大会後の初の公式日程として機械設備展示場を視察しながら“自強力第一主義だけが生きる道で、万能の宝剣だ”と強調し、“輸入病を根絶し終止符を打て”と指示した。だが、今の北韓経済状況を見れば、それは事実上不可能だ。「自力更生」の経済は1990年代の「苦難の行軍」を経ながら完全に破壊された。現在、北韓の生活必需品経済は中国からの輸入に依存している。旧ソ連は、石油の輸出で稼いだお金で生活必需品を輸入して配給することで持ちこたえられた。ところが、北韓の石炭輸出はソ連の石油輸出ほどのものでもなく、それさえも国際社会の制裁で止められている。結局、朴鳳珠は遠からず、すべての責任を問われて処刑される可能性が高い。

 

 北韓の1%の特権層の生活相からも明らかになったように、北韓のエリート層の性格に変化が起きている。体制が保てる理念的・物的土台が揺らいでいる。理念的土台はすでにかなり崩壊したと見られ、物的土台も経済制裁が続けば打撃を受けるしかない。問題は大韓民国だ。「分断管理」ではなく「統一」を追求する意志と戦略があるかが疑わしいからだ。

更新日:2022年6月24日