「国民の党」は野党的‘鮮明性’競争より‘合理的な第3の道’を

                    柳根一コラム(朝鮮日報2016.04.19)

(2016. 4.22)


-総選挙(4月13日)は旧い枠組みを拒否した「自由な市民体」の反乱。「国民の党」は‘第3党’としての主体性をもってウェルビーイングの保守と旧い進歩を追い出せ-

 今回の総選挙(4月13日)の民心は一言で‘拒逆’だった。有権者たちは“棒を立てても当選する”といった旧い枠組みを拒否し、各々が好きなように投票した。光州-湖南の有権者たちは親盧(*盧武鉉残党)-親文(*文在寅系)-左翼野党を排斥し第3党を選択した。保守有権者の多くも政党投票で与党ではなく第3党に投票した。大邱(寿城選挙区)の有権者たちは伝統的な‘セヌリ党の牙城’であることを拒否して金富謙候補に投票した。釜山-慶南の有権者たちは5つの選挙区で非与党候補を選んだ。


 このように親野ではない親与党有権者らが大挙離脱して与党に決定打を加え、親与党ではない光州-湖南の有権者たちが親盧-親文-486運動圏に致命打を与えた。総選挙の民心はまさにこれだった。既存の‘特定地域=特定政党’‘特定性向=特定政党’‘特定集団=特定政党’であるべしという古い決まりを拒否した独立的個人たち、つまり自由な市民体(citizenry)の反乱だった。


 この反乱は“セヌリ党が果たして真の保守か”“彼らが果たして保守国民の代表の資格があるか”を問うたものだった。そして“親盧と親文が果たして真の進歩か”“彼らは果たして進歩国民と湖南道民の代表の資格があるか”を問うたのだ。この問いは結果的に第3党、「国民の党」を躍進させた。そして、両党の独占体制ではなく、3党鼎立体制を出現させた。有権者の意図がそうだったなら「国民の党」はこれから第19代国会のような‘最悪の国会’を後にして、より一歩進んだ政治コンテンツ-政治過程-政治文化を発展させる触媒にならねばならない。


 このためには「国民の党」は先に党の中心路線を明確に整理せねばならない。同じ党の中にいろんな意見はあり得る。だが、そういう状況の中でも中心はしっかりせねばならない。安哲秀代表は“経済は進歩、安保は保守”と言った。やや粗悪な表現ではあるが「国民の党」がこれほどの路線を設定してもその意味は十分評価される。ところで、野党的な鮮明性競争にばかり汲々として選挙が終わるや‘政治性の聴聞会’や‘セウォル号特検法の改正’を真っ先に言い出し、‘経済ポピュリズム’と‘安保宥和主義’へ傾くなら“そうやるなら、なぜ親盧や親文を別れたのか”と問われて当然だ。


 経済ポピュリズムは麻薬だ。指導層と国民が一度この味に浸るとその中毒から逃れる道はない。20世紀のアルゼンチンと21世紀のギリシャがそうして戻れない川を渡った。韓国でも一部の政治家が青年たちに現金を与えると言っている。そうしたら過去半世紀間、われわれが苦労して築き上げた塔が煙のように消えない保証がない。安哲秀代表などはこれに対してどういう見解を持っているか知りたい。


 ‘安保宥和主義’を警戒せよとのことは対話と協商の原則そのものを否定する意味ではない。南北間の平和-共存-交流-協力を誰が否定するだろうか。問題は金正日や金正恩がわれわれのそういう‘思い’を尊重どころか、完全に裏切ってきたという事実と真実を直視しようということだけだ。


 安哲秀代表は、朴槿恵政府の開城工団全面中断を正面から批判した。だが、ここで明確に指摘しておくべきことがある。開城工団の全面中断を含む‘強力な対北制裁’は朴槿恵大統領の意志である前に、全世界の意志であるということだ。それは米国、中国、日本、ロシア、国連安保理の一致した意志だ。したがって、それに反対することは朴槿恵政府への反対の前に、全世界に反対することになる。「国民の党」がそのように‘反世界’に進むなら、それが果たして合理的第三者の名分に合うものだろうか。国政歴史教科書方針も廃棄すると言ったが、では反大韓民国の歴史教科書で青少年を洗脳することに対してはどう対処するつもりか。


 「国民の党」が指向すべき道は自明だ。セヌリ党のように公心を離れて私心の格闘技場へと進んではならない。親盧や親文ような理念集団の‘統一戦線’の詭計に騙されてもならない。第3党としての主体性をもって‘ウェルビーイング保守’と‘旧い進歩’で行き詰まった国会を‘解決の国会’に変えねばならない。そうすれば、2017年の大統領選挙のときも、多くの保守有権者が「国民の党」に期待するかも知れない。今は産業化と民主化のフレームだけではできない、高度知識情報時代だ。‘ITマンの安哲秀’がこの時代を果たしてどう取り扱うか気になる。


柳根一の耽美主義クラブ

http://cafe.daum.net/aestheticismclub 2016.04.19. 14:24

更新日:2022年6月24日