韓国は地上軍兵力を削減したら自由統一が不可能になる!
米ランド研究所、“北が崩壊するとき、米地上軍15万の増派が必要”
                                 金泌材

                               (2016.3.9)


 北韓が崩壊するとき、核兵器など大量破壊兵器(WMD)を除去するため、米地上軍15万人の増派が必要だという分析が出た。米国のランド研究所は2015年9月29日、ホームページで公開した“われわれに必要な陸軍を作る、Limiting Regret:Building the Army We Will Need”という題目の報告書で、“北韓崩壊のとき、米国の地上軍はWMD除去という特殊作戦に投入されねばならない...(中略)そのためには既存のアジア・太平洋地域に布陣した米軍よりも15万人が追加的に必要だ”と発表した。

 この報告書は今後、シクウェスター(自動予算削減)によって中長期的に40万人以下に減る可能性がある米陸軍の兵力が54万5000人に増えなければならないと分析した。


 ランド研究所は“もし、北韓が戦争や経済の失敗で崩壊した場合、米国の最大の懸念は核兵器をはじめとするWMDを探知し管理しこれを除去すること”とし、“韓国軍はソウルを射程圏に置く北韓の砲撃基地らを掌握し政治的に制御し、人道的災害などを解決する役割を担当するためWMDを除去する最も大きな負担は米軍が負うようになる”と述べた。


 ランド研究所はまた、北側が南韓の首都ソウルに向けて無差別の砲撃を敢行し、状況によってはWMDを使う可能性があるため、米地上軍を増やさねばならないと指摘した。


 ランド研究所は“韓国と米国の空中あるいはミサイル攻撃が(北側の)砲撃速度を落とすことはできるが、地上軍が地下要塞などに隠匿された砲撃基地を掌握する前には砲撃脅威を確実に除去するとは保証し難い”と指摘、“これは大規模の任務であり、米国と韓国の大規模の地上軍を動員する総攻勢が要求される”と強調した。


 そして、現段階でソウルに対する北韓の砲撃への米国の対応戦略が不十分だとランド研究所は指摘した。報告書は“北韓は現在約1万3000門の砲と多連装ロケットを保有しており、このうち8000門を休戦線から100マイル以内の地下バンカーなどに配備した状態”、“ソウルを射程に置いた北側の砲撃脅威は日々もっと危険になりつつある”と診断した。


 特に“このような砲撃脅威に加え、北韓は濃縮ウラン分離技術の開発によって、米軍が1956年に配備したW-33のような小型核兵器を作れる能力があると判断される”と言い、“これは8インチ砲から発射できる程度小さく、何と10kt(キロトン)の爆発力を持つため、もし北韓がこの武器を生産すれば、ソウルが北側の核兵器射程圏に入る”と強調した。


 ランド研究所は、ところが“米国の4年ごとの国防戦略見直し(QDR)や国家安保戦略(NSS)報告書はこのような脅威に効果的に対応する内容を盛り込んでいない”と批判した。研究所は、“米国は本土を脅かす北韓の核武装能力とミサイル開発を重要な安保脅威と見做している”、“だが、北韓は韓国と日本に向けて短距離ミサイルを発射する可能性がある。米国はこれだけでなく、ソウルに対する砲撃脅威も直接的に取り扱っていない”と言及している。(整理/金泌材)



[関連記事1] 陸軍兵力を削減すると統一が不可能になる!
                        (2014年3月7日/金泌材)


 国防部は(2014年)3月6日、‛国防改革基本計画'(2014〜2030)を大統領に報告し決裁を受けた。メディアの報道によれば、出生率の低下による兵役資源の減少のため軍構造の量的維持には限界があり、常備軍が減少する方向に兵力構造の改編が推進されるという。これによって、現在の63万3000人の常備兵力が2022年までに52万2000人に縮小される予定だ。兵力構造の改編は海軍と空軍の兵力はそのまま維持し陸軍兵力を削減する方向に進められる。


 現在、各軍の兵力は陸軍が49万8000人、海軍4万1000人、海兵隊2万9000人、空軍6万5000人だ。軍はこれから陸軍兵力を38万7000人まで削減するという。


 軍兵力の削減問題についての後で詳細は書く予定だが、結論から言えば軍兵力、特に陸軍兵力を削減すると、大韓民国主導の自由統一が不可能になり得る。北韓の急変事態や韓半島で戦争が勃発すると、陸軍主導の大規模の民事作戦を不可欠だ。


 そういう状況では、大々的な北韓軍に対する武装解除およびゲリラ戦への対策を行う可能性が高い。また、中共軍の韓半島介入(侵入)を阻止するため、大規模な陸軍兵力を中国との国境線に展開せねばならない状況が発生し得る。参考までに、アジアで有事の際、中国軍と地上戦が可能な国家の軍隊は、大韓民国陸軍(米軍の支援を含む)が唯一だ。したがって軍兵力、特に陸軍を減らす方向に国防改革が進められてはならない。兵役資源の減少が問題なら、女性も軍服務をしなければならない。

 


[関連記事2] 北韓は小型戦術核兵器に関心が多かった
北韓核の爆発力に関心を寄せすぎるのは無意味
                        (金泌材、2013年2月12日)


 米国の著名な北の核専門家・D氏は1990年代に北韓の核関連報告書を通じて、2010年の北韓の核弾頭が最小「XXX」発に達すると予想した。この量はイスラエルとインドに匹敵する膨大な量だ。

 北韓側が米国に核軍縮を主張する理由は、核兵器に関する自信からくるものだ。韓国の国防白書は北韓の核弾頭を12基程度に見ているが、これは北韓の核能力を過小評価したものだ。


 黄長燁元北韓労働党書記は2006年10月11日の講座で、“北韓は核兵器を使って余るほど生産した”、“(これは)彼ら(労働党幹部たち)がよく言う話”と言った。つまり、北韓に非常に多くの核兵器が存在するということだ。


 北韓は今この瞬間にも、北韓全域の地下核施設で膨大な量の核爆弾を製造している。米国の情報機関がこれを知らないはずがない。


 そのため、米国はブッシュ政権の末期に北韓をテロ支援国から解除し、守勢的対北政策に転換して今まで非公式ルートで韓国政府を排除し北韓当局者たちとの対話してきたのだ。


 北韓は多様な形の核兵器開発に総力を傾けてきたが、特に小型核兵器に大きな関心を持っているようだ。韓国内の大半の北核専門家や、ほとんどのメディアが北韓の核能力を過小評価しているが、これは国の将来のため望ましい姿勢でない。


 北韓が2006年10月核実験したとき、ロイター通信は“(北韓の)核実験に使われたのが中性子弾”と報道しながら“北韓が中性子弾を実験したなら将来、米軍や韓国軍と戦争するとき戦術核兵器として配備する可能性が高い”と指摘した。


 当時、英国王立‛合同軍事研究所(RUSI)’の軍事専門家であるリー・ウィレットは“核弾頭は重量が違うため、在来のミサイルと核弾頭を組み合わせる過程が非常に複雑だ”と言い、こういう点から、北韓の核実験の武器が‛中性子弾’という仮説がかなり説得力を持つと述べた。


 同じ頃、香港の軍事専門家の昭鴻は、<香港明報>とのインタビューで“核実験の成功を爆発規模で判断するわけにはいかない”、“北韓がもっと精密な核技術を確保したと判断される”と言った。


 彼はまた、“爆発の規模で核実験の成否を決めるのは非常に間違って観念”と言い、“北韓の核技術は相当低く評価されており、すでに第3世代核兵器である中性子弾を開発中のはず”と推定した。


 この専門家たちが同時に中性子弾を言及した理由は、1998年にパキスタンで水爆実験を目撃し、2004年9月8日の夜11時と9月9日の午前1時に実施した中性子弾の実験を経験したからだ。この情報は今や公然の事実で、もはや秘密でもない。


 北側の核実験のとき小さな地震波が感知されたが、核爆弾実験の地震波としては非常に弱い波動を記録した。これに対して国内外のメディアは北韓の核実験が失敗したという内容の記事を一斉に掲載した。だが、筆者の意見を違う。


 金正日は韓半島で有用に使える‛小型の核兵器’に関心を持ち、開発を督励していることを念頭に置いているなら、これまでの北韓の核実験は失敗ではなく‛小型の核実験’をしてきたと考えた。


 北韓は現在、野砲やミサイルにも容易に装着・使える小型の核兵器を欲しがっているようだ。近い将来に師団・軍団級ではない大隊・連隊単位の部隊でも戦争のときは核兵器が使えるという意味だ。


 西側のメディアはよく死亡した金正日を‛無謀な狂人’と描写した。だが、金正日は核開発の分野においてだけは‛理性的な過程’を追求してきたと思われる。


 北韓は近い将来に途方もない量の核弾頭を保有することになる。北韓の核は大韓民国の未来を脅かす致命的な脅威だ。この脅威に対処するためには米国と日本など友好国間のより積極的な軍事協力体制の構築が必要だ。


 北韓の3代世襲が成功するか失敗するかを‛甲論乙駁’するのは時間の浪費であるだけだ。今は大韓民国の生存のための‛独自の核武装’を論じるときだ。

 

                        金泌材(趙甲済ドットコム)

 

www.chogabje.com 2016-03-06 17:55

更新日:2022年6月24日