北韓の今後の核実験は水素爆弾

韓国国防研究院が分析、“北は少なくとも3回以上の核実験を準備中”

金泌材

(2016. 3. 8)

 

 韓国国防研究院(KIDA)は3月1日、ホームページに掲載した『週刊国防論壇(作成者:李相敏研究員)』で“(北韓の)4回目の核実験の威力が8kt程度だと仮定すれば、増幅率を最大(5倍)にするための核実験(第5回目)が必要な状況”とし“少なくとも3回以上の核実験を準備中と判断できる”と発表した。

 

 李研究員は“5回目以降の核実験は試験用水爆実験ではなく本格的な水素爆弾実験が含まれると予想される”とし“試験用の意味が増幅核実験とした場合、増幅核実験が完成すれば次は水爆実験を実施するのが一般的な手順”と分析した。

 

 李研究員は“現在、豊渓里核実験場の準備状態のみを基準にして判断してみると、少なくとも三回以上の核実験が可能と推定される”と言い、以下のように書いた。

 

 <西側の坑道内にあると推定される枝坑道および3番と4番坑道を考慮すると、少なくとも3回以上の核実験を準備中と判断できる。可能性としては増幅核実験2回と水爆実験1回くらいが予想される。4回目の核実験の威力だけではまだ増幅型核兵器技術を完成したと判断するのは早い。20kt程度の威力まで増幅させられる枝坑道の耐久性の余地が残っているため、1〜2回程度の追加増幅型核実験を通しての増幅技術の向上を図るのが核能力の技術的進展のためにも望ましい。もし、西側(2番)坑道で遠からずある種の活動が観測されれば、5回目の核実験を枝坑道で実施するという意図として判断できるだろう。>

 

 李研究員は北側の4回目の核実験についても“当初から増幅核兵器を実験する目的だった可能性が高い”、“増幅核兵器は水素爆弾の部品として使用される点で、北韓が増幅技術(増幅型核兵器)実験を水爆実験であると宣伝した可能性が高い”と述べた。

 

 そして、“北側が増幅核兵器実験の威力を故意に低く設定した可能性に注目せねばならない”、“北韓側は(爆発力が)20ktを超えないよう意図的に低く設計し、結果的に約2倍の増幅技術を確保したものと推定される”と付け加えた。

 

 4回目の核実験の技術的な問題と関連しては、▲北韓は核兵器の小型化に不可欠な増幅技術を確保したものと判断でき、▲4回目の核実験で北側が2倍程度の効率を達成したとして核分裂技術や増幅技術が低いと評価してはならないと指摘した。

 

 李研究員はまた、▲北韓が“遠からず水素爆弾を確保できることを示唆している”、“増幅技術は水爆の核心技術であり、もし北韓がリチウム6のような核融合物質の確保と、追加の核実験を成功させれば水爆に挑戦できる”と分析した。そして“残念ながら▲北韓はリチウム6の確保が可能と判断され、これを使用した追加核実験も準備が進行中と見られる”と予測した。

 

 李研究員は、北側の“5MWeの黒鉛減速炉は三重水素とプルトニウム(Pu)の確保に核心的手段”と言い、その理由を以下のように説明した。

 <三重水素は半減期が短く(約12年)、安定的な三重水素の供給先が必要だ。12年が経過すれば三重水素の量が半分に減るため、一度確保したとしても貯蔵して置いて使えるのではなく、周期的に交替せねばならない。

 

 三重水素は輸出規制品目であるため密輸が難しく、非常に高価であるため北韓の立場では海外からの調達よりも自体生産が有利だ。北韓で三重水素を生産できる施設は、IRT-2000研究用原子炉と5MWe黒鉛減速炉だけで、2013年8月28日再稼働した5MWe黒鉛減速炉が2年間稼動して今ごろ燃料棒を取り出しているか、すでに完了したと推定される。

 

 そうだとすれば、5MWe原子炉から確保した三重水素を4回目の核実験で使用したかも知れない。多くの対北専門家たちが予想し、北側自身が核実験の可能性を示唆した2015年10月10日の労働党創建日という象徴性を利用せず3ヶ月も遅れて核実験を行なった理由が新鮮な(?)三重水素の確保が遅れたためであり得るという気がする。

 

 5MWe黒鉛減速炉は、核実験と核兵器製造のため今後も持続的に稼動すると予想される。今後、北側の核実験周期(3年)と5MWe黒鉛減速炉の再稼動(準備1年+稼働2年)周期(3年)が一致すれば、この二つの関係に蓋然性があると判断し得る。

 

 増幅核兵器に三重水素は必須で、半減期を考慮して周期的に交替が必要であるため、三重水素に対する持続的需要が発生する。したがって、5MWe黒鉛減速炉は協商用と見做すには、北韓にとってあまりにも効用性の高い核心施設であるため、これに対する特段の措置が必要であると判断される。>

 

 李研究員は、北韓の核問題の解決策として、“‛北韓封鎖’と‛5Mwe黒鉛減速炉の除去’を目標とした周辺国外交が切実だ”と言い、特に“4回目の核実験後の対北制裁や協商を通して少なくとも‛5MWe黒鉛減速炉の除去’は達成せねばならない。‛凍結’や‛無能力化’程度ではこのような事態が繰り返される可能性が高いため‛完全除去’を目標とせねばならない”と助言した。

 

www.chogabje.com 2016-03-03 15:03

更新日:2022年6月24日