決戦の瞬間に立たされた韓民族

[開城工団の総合整理]いつかはバラが咲きだす

金成昱(社)韓国自由連合代表

(2016. 2.16)

 ‛開城工団事態’を通して確認された事実はこれだ。

 

 1.開城工団など対北支援は北韓の核兵器と長距離ミサイルの高度化に使われる。核兵器と長距離ミサイルが高度化されれば韓半島の軍事的均衡が崩れ、韓国は北韓の政治的人質に転落しる。2月11日、洪容杓統一部長官の発表はこうだった。

 

 “(北韓に対する)支援と韓国政府の努力は結局、北韓の核兵器と長距離ミサイルの高度化に悪用された結果となりました。今まで開城工団を通じて北韓に計6,160億ウォン(5億6000万ドル)の現金が流入され、昨年だけでも1,320億ウォン(1億2000万ドル)が流入されて、政府と民間から1兆190億ウォンの投資が行われたがそれが結局、国際社会が望む平和の道ではなく、核兵器と長距離ミサイルを高度化するところに使われたと見られます。”

 

 言論報道によれば開城工団で支払われるドルは、前は朝鮮労働党39号室、現在は党軍需工業部と人民武力部に100%流入される。開城工団の労働者は給与を北韓貨幣と商品のクーポンでもらう。

 

 ドルが金正恩の統治資金管理部門と軍部に入ったのは軍事的轉用の明白な証拠だ。左派メディアはこの事実を反駁する報道をするが根拠がまったく無く(インタビュー程度)、‛先軍政治’という北韓の現実から流入されたドルの軍備専用は避けられない。

 

 2.韓国の歴代政権は、開城工団の軍費転用事実を知りながら黙認したと見なければならない。69億5千万ドルの物資を支援した金大中・盧武鉉政権はもちろん、李明博政権も責任を免れ難い。

 

 2009年7月ポーランドを訪問中の李明博大統領(当時)は、ワルシャワの迎賓館でヨーロッパの有力ニュース専門チャンネル‛ユーロ・ニュース(Euro News)’とのインタビューで、“去る10年間莫大なお金を(北韓に)支援したが、そのお金が北韓社会の開放を助けることに使われず、核武装に利用されたという疑惑が起きている”と言った。

 

 李明博は2010年3月の天安艦爆沈後、5・24措置を通じて北韓に対する人道的支援は減らしたが、開城工団を通してのドルの支援はむしろ増やした。李明博政権の5年間、開城工団の支援が大半を占める南北交易は9兆ウォンを超えた。これは金大中政権の2兆ウォン、盧武鉉政権の4兆ウォンの数倍だ。

 

 3.アメを通じて北韓を変化、あるいは制御できるという‛太陽論’ないし‛宥和論’は現政府でも政界・言論界・知識人社会で強力な力を発揮してきた。このような論理は、北核は韓国に対する攻撃用ではなく米国に対する防禦用、または自衛用だ。北韓と韓米の対話と協商を通じて、いわゆる北の体制を保障せねばならないという主張に要約される。対話と協商が北韓核問題の解決と韓半島の平和と統一のための唯一の道だという主張だ。

 

 対話と協商を通じての接近は、北韓の要求を受容れることを意味する。北側の代表的な要求は、いわゆる‛平和体制’の締結だ。北側が言う平和体制とは、韓米軍事訓練中止と駐韓米軍撤収および国家保安法撤廃、さらに連邦制統一だ。韓国の從北ないし親従北は、駐韓米軍撤収は主張していないように煙幕を張るが嘘だ。北韓の要求は明確かつ明瞭で一貫している。一般国民が北韓の宣伝・扇動を正しく知らないことを狙っての政治的詐欺だ。

 

 4.北韓は体制崩壊やそれに準ずる状況に追い込まれない限り、核を放棄しない。2月11日の「祖平統」の声明も“開城工業地区を破綻させてわれわれの核武力強化と衛星打ち上げに影響を及ぼし得ると考えるなら、それほど愚かなことはない”と明らかにした。結局、圧迫して挑発を抑制し、政権交替を追求すること以外には核を廃棄する手段がないのが、われわれが直面している真実だ。

 

 5.北韓は今後、韓国内部の葛藤、つまりいわゆる‛戦争と平和’のフレームで韓国社会を分裂させる心理戰に総力を傾けるはずだ。北韓の肩を持つ從北ないし親従北が政界の4割、国が滅びても関心のないウェル・ビーイング族がまた4割以上を占める現実ではこれが核爆弾以上の危険要素だ。

 

 「祖平統」の2月11日の声明は“南朝鮮傀儡一味は、開城工業地区を全面中断させた代価がどれほど酷烈で手痛いものなのかを身震いするほど体験するだろう”と言った。韓国社会を酷烈で手痛くする‛分裂の心理戦’は、開城工団地域を‛軍事統制区域’に宣言しながら始まった。いわゆる和解と協力と平和の象徴だった開城工団地域を、南侵の先鋒部隊である6師団、64師団、62砲兵旅団などが軍事基地化し、これを映像や写真などを通じて宣伝するはずだ。

 

 ソウルの特定地域を想定して作った北韓の寧辺地域の衛星写真も自由アジア放送(RFA)で報道された。すべてが緊張を高めて南韓を分裂させる典型的な恐喝だ。

 

 開城工団に入居していた124個の南韓企業は‛支援’ではなく‛補償’を要求する。野党と連合した彼らの怨声が北韓の恫喝と共鳴すれば、収拾し難い状況にもなり得る。

 

 6.ハンス・モーゲンソウ(Hans J. Morgenthau)は“核武装した敵国と戦う国は、日本のように立ち向かって死ぬか、それとも降伏するかのどちらか”を選択する状況に置かれると述べた。国の‛死’と‛降伏’の岐路に立たれた韓国が生存できる道は闘争だ。北韓はもちろん、韓国内の執拗な從北と親従北フレームとの戦いだ。

 

 問題は、市民社会の力量が脆弱、いや事実上無力な韓国で、善の闘争と義の戦いの主体は政府や与党になるしかないという点だ。政府・与党の戦闘的体質改善はまさに制度圏の外の自由の闘士たちに一定の権力を与えることを意味する。政府・与党の既得権勢力が見るには、これは国家の降伏や死よりも恐ろしいことであり得る。もしかしたら、韓民族全体が望む‛バラ‛は、北韓・從北・親従北が連合した韓半島の左翼によって国全体が蹂躙された灰の中から咲き始めるかも知れない。だが、確かな事実はいつかはバラが咲きだすということだ。

 

http://libertyherald.co.kr 2016.02.13 0:09

更新日:2022年6月24日