意味深長な‛核ドミノ’発言、朴大統領は核武装を悩んでいるのか

<この地域の国々はそれぞれの生存と安全を図るための措置を取らざるを得なくなり、これは結局、核ドミノ現象にまで至り得るという憂慮があります。>

趙甲済

(2016. 2.16)

 

 洪容杓統一部長官が2月10日、発表した政府声明には注目すべき件がある。

 

 <北韓の核とミサイルの開発をそのまま放置する場合、韓半島はもちろん、北東アジアの安保地形に根本的な不均衡と脅威がもたらされ、この地域の国々はそれぞれの生存と安全を図るための措置を取らざるを得なくなり、これは結局、核ドミノ現象にまで至り得るという憂慮があります。>

 

 北東アジアの国々が生存と安全を図るため競争的に核武装をする可能性があるという指摘だ。北韓の核の脅威に最も赤裸々にさらされている韓国こそ日本、台湾、ベトナムよりも先に核武装をすべき国だ。朴槿恵大統領は、自衛の核武装を深刻に悩んでいるのではないか。

 

 数年前に出たラムズフェルド元米国防長官の回顧録には面白い箇所がある。彼は、中国が韓半島の非核化よりは北韓核問題を解決しようとする米国の努力を阻止することにもっと関心があるようだとしながらこう付け加えた。

 

 <もし、日本、韓国、台湾が北韓の核に対応するため核武装を追求する日が来たら、そのとき中国は自分たちの態度について後悔するようになるだろう。>

 

 米国は内心では日本と韓国が核開発カードを使うことを望んでいるのかも知れないという気がする。2002年10月、当時の米大統領ブッシュは、江澤民中国主席をクロフォード牧場に招待して会談したときこう言ったという(ブッシュの回顧録)。

 “米国は北韓に対して否定的影響力を、中国は肯定的影響力を持っている。両国がこれを結合させれば素晴らしいチームになるだろう。”

 

 江澤民は、北韓は中国の問題ではなく米国の問題で、北韓に影響力を行使することは非常に複雑なことだと述べた。

 

 数ヶ月を待ったが進展がなかったため、ブッシュは新しい論法を動員したという。2003年1月、彼は江澤民に‛もし、北韓が核開発を続ければ、私は日本が核武器を開発することを止められない’と通報しながら、外交的方法で解決できないと判断されるときは、軍事的攻撃も考慮せざるを得ないと圧迫したという。ブッシュは回顧録で、6ヶ月後‛6者会談’が開かれたのはこの圧迫のお陰だったというふうに言った。

 

 ブッシュとラムズフェルドの話は、“なぜ韓国は核開発を宣言しないか。そうしてこそ、中国と北韓の挑発に対応できるのではないか。韓国がNPTを脱退し自衛の核兵器を開発すると言っても、私たちは反対するふりだけをする”という暗示と解釈される。

 

 国際社会が北核の阻止に失敗し、今後も希望がないという事実が確実になった今、われわれは‛国家生存次元の核開発’のゲームをしなければならない。問題は大統領と長官たちがそれほどの想像力と勇気を持っているかだ。

 

 www.chogabje.com 2016-02-11 23:11

更新日:2022年6月24日