‛開城工団稼動の全面中断’は夢から覚めたという意味

‛共に民主党’はいま、強盗を非難するのか、強盗の被害者を非難しているのか。加害者でなく被害者だけを咎める‛国民の党’は一体何者か。

柳根一

(2016. 2.16)

 開城工団の全面中断措置に対して‛共に民主党’と‛国民の党’は“対決だけが存在して交流、協力は存在しない冷戦時代への回帰”、“実効性のない自傷的制裁”云々しながら反対した。しかし、これは加害者でない被害者、強盗でなく警察を咎める真似だ。事態をここまでした張本人はわが政府でなく金正恩集団だ。‛共に民主党’は強盗を非難するのか、強盗の被害者を非難しているのか。

 

 ‛自傷的制裁’って、騙され裏切られて殴られた側の立場では、悔しいため‛自傷’ではなく喉を刺しても腹の虫がおさまらないのに、加害者はおいたまま、被害者だけを責める‛国民の党’は何者か。これが彼らの言う中道か。

 

 野党が今やるべきことは“過去、民主党-ヨルリンウリ党の執権期間に対北無条件支援をし、バラ色の楽観論にとらわれた私たちの失策を認め自壊する”と反省すべきだ。その反省どころか、われわれの最低限の怒りの表示に対してすら“対決だけがあって交流はない...”云々して何の罪もないわれわれの方を責めることは、戦場で味方に向かって銃口を向けるのも同然だ。二つの野党は明確に言え。南北関係をこのようにしたのは、北の金正恩集団か、大韓民国政府か。

 

 平壌の金正恩集団は、南の与・野党の政権らが追求した南北間の平和共存、相互不可侵、交流協力、北韓の改革開放に全くその気がないというのが今は完璧に立証された。したがって、北韓が応じられるという前提で追求したこれまでの盧泰愚、金大中、盧武鉉、李明博、朴槿恵政府の‛韓民族共同体方案’‛太陽政策’‛非核開放3000’‛信頼プロセス’などの政策はすべてが片思いや空振りだったことが天下に明らかになった。

 

 それで、もう無駄な幻想と適実さのない仮説をやめてありのままの事実と真実を直視しなければならない。事実と真実は何か。金日成-金正日-金正恩の‛世襲天皇制ファシズム’の消滅なしには、北韓の肯定的変化、あるいは南北関係の肯定的変化はあり得ないという厳しい悲観的情勢がそれだ。

 

 “では、戦争しようという話か”と左翼の輩は反問する。一部の‛江南の太陽論者’らもそう尋ねる。この詭弁に対する正解はこれだ。“戦争を望まないなら、戦争をする覚悟をせねばならない”‛戦争をする覚悟’の一つが北に無駄金を与えないことだ。そして、そのうちの一つが開城工団の閉鎖だ。気が狂っても限界がある。強盗にわれわれのあの貴重なお金を、開城工団を通じて毎年1億2000万ドルずつ与えたのが一体正気の沙汰と言えるのか。これまではそのお金がどこへ行ったのか。核とミサイルを作るのに優先的に使われたと見るしかない。お金はそもそも最も急用なところに使うものではないか。

 

 子供たちは熱いやかんに触って見てから“あっ、熱い”というものだ。われわれの歴代政権がまさにそうだったわけだ。‛世襲天皇制’の北は、改革開放、統制緩和、市場、自由を許すと、必ず滅びることになっている。北がその滅びる道を選択するはずがあるか。平壌の権力層が馬鹿か、そうするはずが...。

 

 それでも理論家や政策屋たちは左翼であるため、そして、一部の‛江南の太陽論者'たちは、自分たちが外国大学の国際政治学科で‛勉強したもの’を使って見るため、あらゆる精巧な仮説を立て、それを現実に適用しようと必死もがいた。左翼は革命と変革のため、‛江南の太陽論者'たちは、自分たちの‛有識’を売り込むため、歴代大統領たちの参謀として入り、“こうすれば大当たり、ああすれば勝ち...”として、結果的には数多くの浪費をしてきた。そうすればいいって?結果として何が残ったの、この野郎や。

 

 脱北同胞たちに訊ねるとだいたいこういう答えが帰ってくる。“それで、統一はなりそうですか”“いいえ”“なぜ?”“(北の特権層は)自分たちの住み心地は良いということです。そしてその周辺の奴らも同じです。なのに、なぜ統一する必要があるの?”統一はつまり開放であるため、開放すると滅びることを彼らがなぜやるのかという話だった。彼らは外国の大学で博士号を受けたことがなくてもこのように正確に言う。脱北同胞たちは学識があるのがかえって憂いをもたらすわれわれ社会の一部の左・右派知識人よりも事態をはるかに正しく捉えている。

 

 筆者は、いつか統一準備委員会というところから招待されてパネルとして参加したことがある。そこである教授が発題をしたが、その仮説があまりにも有識で精巧だったため、“おおっ、勉強した人は、やはり違う”と感心(?)したことがある。そうしながら、このような話が飛び出してくるのを抑えられなかった。“北が馬鹿か、あのようにやってくれるとは...”この話は私が討論のとき明確に言った話であることを言っておく。有識な語り部が数千人を集めて‛合理的な’言葉の饗宴を行なって何の意味があるか。北が狂ったか、その‛合理’に合わせてくれるって...。

 

 それで夢から覚めねばならない。夢から覚めた状態でわれわれがやるべきことは軍事的抑止力の確保だ。外交もそれのための外交をしなければならない。中国までわれわれの味方にしておいたというとんでもない幻想外交や外華外交ではなく、である。

 

 開城工団の閉鎖は、その夢から目覚めの始まりであり得る。ふらふらの夢遊病から目覚めて冷徹な現実感覚に透徹すべきときだ。

 

 柳根一の耽美主義クラブ http://cafe.daum.net/aestheticismclub 2016.02.10 20:59

更新日:2022年6月24日