米国とNATOの図々しいNPT違反の事例

戦時に核兵器の管理権を他國に渡す‛核兵器共有制度’がNPTの違反ではない解釈!

(2016. 2.10)

趙甲済

 

 1970年発効された核不拡散条約(NPT)は、第1条と第2条で核保有国が非保有国に核兵器やその管理権を直接または間接的に渡してはならないと規定した。米国とヨーロッパの5ヵ国は(NATO体制の中で)1960年代からNPTの最も重要なこの規定を正面から否定する‛核兵器共有制度'(Nuclear Weapon Sharing)を運営している。

 ベルギー、オランダ、ドイツ、イタリア、トルコの米軍基地には160〜240個の戦術核兵器(水素爆弾)がある。平時には米軍が管理するが、戦争が起これば駐屯地国の戦闘機などに核爆弾が移轉されることでその使用に共同参与する。核を持たなかった国が核保有国になるのだ。

 これは誰が見てもNPT条約違反だが、米国とNATOはこう強弁する。

 “平和な時は米軍が核兵器を管理するためNPT違反ではない。戦争が起こったらNPTは無効になるため、その規定にこだわる必要がない。”

 図々しい恣意的な解釈だ。NPT条約のどこにも‛これは戦時には適用されない’という規定がない。

 NPT条約が米国、英国、ソ連の間で合意されて加入の手続きが進行中、米国で‛核兵器共有制度'は条約に背馳するという主張があった。当時の米国務長官ディーン・ラスクは詭弁に近いこのような要旨で反論した(NATOへ送った手紙の中で)。

 “NPTには何を許容するかの規定はなく、何を禁ずるという規定だけがある。したがって、明示的に禁じていないことは許容されていると見るべきだ。例えば、核保有国が核を持たない国に核兵器を配備するのを禁じた規定がないから配備できる。核保有国が核兵器を運搬する飛行機、ミサイルなどを非保有国に売ってはならないという規定がないため、売ることができる。NPTが戦時にも適用されるかどうかの規定がないから、NATOは戦時には適用されないと主張できる。”

 弱い国がこのような無理な解釈をしたらやられるはずだが、NATOに加入した米国などヨーロッパ諸国は都合の良い解釈をしては今まで‛核兵器共有制度’を維持している。交戦中の敵がNPTに違反して核兵器を保有するようになったのに、韓国は従順な模範生のようにNPTを尊重する。強盗が銃を持って押し入ったのに、主人が銃器の使用を禁止する法律を守ると言い持っている銃を取らず対応して強盗の銃に撃たれて死んだとしよう。死後に模範市民賞をもらったって何の意味があるか。国家が国際法を守って核爆弾の攻撃で消滅したら、国連はその国に‛模範国家賞'でも与えるのか。歴史は、おそらく‛奴隷根性賞’を与えるはずだ。

 核兵器不拡散条約(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons)

 第1条:締約国である核兵器国は、核兵器その他の核爆発装置又はその管理をいかなる者に対しても直接又は間接に移譲しないこと及び核兵器その他の核爆発装置の製造若しくはその他の方法による取得又は核兵器その他の核爆発装置の管理の取得につきいかなる非核兵器国に対しても何ら援助、奨励又は勧誘を行わないことを約束する。

 第2条:締約国である各非核兵器国は、核兵器その他の核爆発装置又はその管理をいかなる者からも直接又は間接に受領しないこと、核兵器その他の核爆発装置を製造せず又はその他の方法によって取得しないこと及び核兵器その他の核爆発装置の製造についていかなる援助をも求めず又は受けないことを約束する。

www.chogabje.com 2016-02-05 23:06

更新日:2022年6月24日