ただ一回の敗戰も許されない韓国とイスラエル

それで安保を米国や国連に任せられないのだ!

(2016. 2. 6)

趙甲済

 イスラエルは核爆弾を数百発も持った核大国だ。飛んでくるミサイルやロケットを90%の確率で迎撃、破壊できる‛アイアン・ドーム’という防御網もある。それでもガザのハマス勢力が挑発すると言い攻め爆撃をする。あまりにも弱い相手にあまりにも過酷な対応をするのではないかと思われるほどだ。イスラエルのこういう行動には理由がある。

 ユダヤ人は、頭は良いが尚武の精神は弱かった。ヨーロッパで何度も集団虐殺された理由も自衛力が弱かった点と関係がある。ユダヤ人が建てたイスラエルは尚武の精神が強い。それで、イスラエルに住むユダヤ人と他の国に住んでいるユダヤ人は違うといわれる。イスラエルのユダヤ人は国を建て、何回もの戦争を通じて国を護り抜いてくる過程で、ユダヤ人の悪い民族性を克服し新しい人々に生まれ変わったという。頭は良いが尚武の精神が弱く、ヨーロッパで袋叩きにされ迫害を受けた民族が、国家を建て軍隊を建設したら強い人々に変わった。‛われわれの運命はわれわれが決定する。われわれが信じられるのはわれわれしかいない。安保は絶対に他人に依存しない’というのがイスラエルの誓いだ。このような決然たる誓いはイスラエルの普通の人々さえ英雄のように見えるようにした。

 韓国人も朝鮮朝以後、文民伝統が強く尚武の精神が弱かった。その結果は国力の衰退と植民地化だった。1948年に国民国家を建て國軍を建設した後、韓国もイスラエルのように勇猛な国に変わってきた。李承晩-朴正熙-全斗煥-盧泰愚に続いた約40年間の大韓民国の歴史は、軍事文化が支配的な役割をなした、民族史上「例外の時期」だった。1993年以降、政権が文民統治に戻るや例外の時代は終わり、「正常の時代」になった。問題は民族史の「正常」というのが国防を外国に任せておいて政爭に没頭する変態的な権力闘争ということだ。

 イスラエルは軍隊と民間部門が一體化されている反面、韓国は軍隊が民間部門から疎外され政治家、特に親北左傾政治勢力から攻撃されている。軍事的伝統が脆弱な国軍の指揮部は、左傾化された文民勢力に屈従的な姿を見せながら自主国防の意志と戦争意志を自ら弱化させた。国民も米国に安保を任せてウェルビーイングにふける様子だ。

 一方、北韓政権は経済的、外交的危機の中でもイスラエルのように自主国防路線を堅持しながら、核兵器を開発し、南北関係において主導権を握っている。天安艦事態と延坪島で北韓軍の攻撃を受けてからもまともに膺懲できなかった韓国は、イスラエルとは反対の道を歩む国のように映る。

 韓国とイスラエルの最大の違いは自主国防意志の有無だ。筆者はその原因をいろいろ考えて見たが結論はこうだ。‛国家指導部の死生観と清廉さが核心’だ。私生活がきれいな指導者だけが危機の際、命をかけて決断を下すことができる。人間は生活が複雑だと複雑に考える。国家の指導層の素朴な生活が重要なのは、そうしてこそ勇気が生じるからだ。清廉なほど勇敢になれるのだ。

 イスラエル軍は独創的な組織と交戦守則および戦争教理を発展させた。‛イスラエルはただ一回の戦争でも負けられない’というのが基本だ。

 イスラエル軍が将兵らに教える交戦守則(Code of Conduct)は次の通りだ。

1.軍事目標に対してのみ軍事的行動をする。

2.軍事力の使用は比例的にする。

3.イスラエル軍が許容した武器だけを使用する。

4.降伏した敵は攻撃しない。

5.訓練を受けた人だけが捕虜を尋問することができる。

6.兵士たちは、パレスチナ人たちと逮捕された人々の人間的尊厳を尊重しなければならない。

7.敵軍も治療しなければならない。

8.略奪は完全に不法であるため絶対に禁ずる。

9.宗教的、文化的遺跡と文化財を尊重しなければならない。

10.国際救援活動家たちの財産と車両は保護せねばならない。

11.この守則に違反した行為に対しては報告しなければならない。

 

イスラエル国防軍の戦争教理(Doctrine)だ。

1.イスラエルはただ一回の戦争でも負けられない。

2.戦略的段階では防御的に臨む。われわれは領土的野心がない。

3.政治的手段と信頼できる抑制態勢を維持し、戦争を回避する。

4.戦争の拡大を予防する。

5.戦争の結果を迅速に、決定的に確定なる。

6.テロと戦う。

7.戦死傷者を最小限にする。

 

 韓国もただ一回の戦争でも負けられない国だ。北韓政権の無慈悲さ、共産主義の非人間さ、彼らが持っている核および生化学兵器の破壊力を考慮すれば、韓国はただ一つの失點も許されない国なのに、中国が嫌うから米国と協力するミサイル防衛網を作ってはならないと主張する野党が存在する国だ。実戦配備段階である北の核ミサイルを前にしても‛われわれは生きるべきですか、死ぬべきですか'と中国に問うている格好だ。こういう集団が国家指導部をなしている韓国は、生存そのものが奇跡で僥倖だ

www.chogabje.com 2016-02-01 23:00

更新日:2022年6月24日