北韓-中国-ロシアのデポドン・ミサイル開発コネクション
北韓側資料『激動の2000年』に掲載された北側とロシア軍事関係者間に交わされた話
金泌材
(2016. 1. 7)
北韓のテポドン-2ミサイルは、1段ロケットは中国ミサイルの改良型で、2段ロケットは旧ソ連のミサイルだ。北韓はミサイル発射のとき1段ロケット燃料が消尽すると空中分解させる。このため、北側のミサイル発射はいつも失敗したように見える。一般マスコミの報道とは違ってミサイル専門家たちは1段ロケットの打ち上げの成功に注目する。
1970年代から着実に進められてき北側のミサイル開発は初期段階から旧ソ連の支援を受けた。北韓側は1960年代末、ソ連との‛北韓軍現代化のための軍事援助の合意’を通じてミサイル開発能力の基本的能力を保有するようになった。
これによって、北側はSA-2A地対空ミサイルをワルシャワ条約国の外では中国やキューバに次いで3番目に配備した。1962年末から翌年初めまでSA-2A1個大隊が平壌近郊に配備された。ソ連は当時、システムの組み立てと点検および維持補修に対する基礎的教育訓練を提供した。
その後、ソ連と中国間の国境紛争やスターリン格下運動などソ連の国内政治状況のため北韓とソ連関係が悪化してソ連が軍事援助を中断した。
ところが、1964年フルシチョフの退陣後、両国関係が回復し、1965年5月と1967年3月に北韓とソ連の間で軍事援助再開に対する合意がなされた。
この合意に基づいて1965年からSSC-2B‛サムリト’沿岸防御巡航ミサイル、SS-N-2‛スチックス’対艦ミサイル、フロッグ(FROG)-5ミサイルなどが北韓に引き渡された。北韓とソ連の軍事協力関係は、ゴルバチョフが改革・開放を本格的に推進した1980年代の後半まで続いた。
しかし、北韓とソ連の友好的な軍事協力関係は1990年に韓国とソ連が国交を樹立して大きく悪化し、1990年代末まで両国関係が改善されなかった。
北韓側は、旧ソ連の崩壊で疎遠になったロシアとの軍事協力関係を改善し、国際的孤立を脱皮するため2001年4月、金鎰喆人民武力部長(当時)をロシアに派遣した。北韓とロシアは‛防衛産業および軍事装備分野の協力協定’と‛2001年軍事協力協定’を締結した。
当時、英国のマスコミは、ロシアが戦闘機、情報収集システム、尖端技術設備など総3億5000万ポンド相当の武器を北韓に販売すると報道した。
ロシアの武器取引に詳しい消息筋は、ロシアが短距離防空システム、ミグ-29戦闘機、Pchela無人偵察機(UAV)、先端レーダーシステム、小型哨戒艇などを北側に提供する予定だと具体的に言及した。
ところで、上記の二つの協定は北側とロシアの軍事協力関係の‛氷山の一角’に過ぎなかった。2000年7月、プーチンは北韓を訪問し金正日との会談で北韓のミサイル技術を確認し、北側とのミサイル技術交流を話し合ったと伝えられている。
イランは北韓側の技術支援を受けて世界で9番目に宇宙発射体の保有国になった。イランは北韓と同じく中国やロシアと軍事協力を結んでいる。
北韓側の資料『激動の2000年』には当時、北韓とロシア軍事関係者の間で交わされた話が記録されている。下に原文をそのまま紹介する。
≪▲プーチンの平壌訪問過程で朝・ロ共同宣言が採択された。宣言には、朝鮮民主主義人民共和国は自国のミサイル綱領が誰も脅威せず純粋に平和的な性格を持つことを確言する内容がある...(中略)
▲ロシア大使館のある関係者は、“私が今日、感動したのは共同宣言に対する金正日同志の明哲な解釈だった。金正日領導者におかれては、ミサイル問題と関連した条項でこれは純粋な平和な性格を持つという優れた文句を出すことですべての問題をその場で解決された。本当に、金正日領導者は賢明な方である”と言った...(中略)
▲ロシア国防相の反応もすごい。彼はもともとロシア戦略ロケット軍の司令官を務めた経歴を持っているためミサイルについては誰よりもよく知っているという。彼は、朝鮮のミサイル発展水準がすごい、いま米国のやつらがロシアと朝鮮を狙って戦域ミサイルだの国家ミサイルだのと言いながら数百億ドルを蕩尽している。しかし、強力なミサイルを持っているロ・朝の両国が力を合わせれば、米国のやつらをみすぼらしい格好にすることができると言った。≫
ミサイル開発においてロシアとの共通の利害関係を確認した金正日は2001年の夏、シベリア横断鉄道でウラジオストクからモスクワまで行ってプーチンに会った。
金正日はプーチンとの会談でシベリア横断鉄道と韓半島縦断鉄道の連結に合意し、北韓の‛ミサイル開発権利’を認められる、いわゆる「モスクワ共同宣言文」に合意した。
これで、北韓はロシアおよび中国と一緒に米国のミサイル防衛(MD)体制に対抗する、北韓-ロシア-中国‛三角ミサイル協力体制’を構築する共同戦略をたてることになる。この‛三角ミサイル協力体制’の構築を通して誕生したミサイルがまさに北韓のICBM‛テポドン-2号’だ。
www.chogabje.com 2016-01-01 08:03