このタイミングに潘基文国連事務総長が金正恩に会いに行く?
趙甲済
(2016. 1. 7)
訪北説が囁かれている潘基文国連事務総長は去る16日(現地時間)、ニューヨークの国連本部での記者会見で、“北韓官吏たちと私の訪朝について話しており、早期に訪問時期を合意することを望む”と言ったと報道された。潘総長は、先月平壌に行くことにしたが計画が保留された理由を質問した記者たちにそう答えた。
彼はまた、“まだDPRK(北韓)当局と話し中”と言いながら“両方が互いに便利な日付をできるだけ早く決めることを心から望む”と話したという。続いて“韓半島の平和・安定と和解のため国連事務総長職を活用して如何なることでもやる準備ができている”と既存の立場を再強調した。
潘総長が今のような時期に北韓に行くということは、彼が大統領に出馬する考えを固めたという解釈を生む。人間は政治的野心を持つ瞬間、普段はしなかった行動をするか無理をする場合が多い。選挙を意識すれば、すべての行動が票を得るか、支持度を上げることに集中される。
国連事務総長がいま北韓に行くべき理由はない。国連総会が最近、圧倒的な票で金正恩一党を国際法上の反人類犯罪集団と規定、責任者たちを国際刑事裁判所に付託するよう国連安保理に建議した状態だ。国連はまた、多数の国々と一緒に北韓の核とミサイル開発を膺懲するための制裁措置を取っている。喩えるなら、国連は刑事で北韓政権は逃避犯だ。
潘基文事務総長が国際犯罪集団である北韓政権に訪北を懇願する格好を見せれば、金正恩はこれを逆に利用しようとするはずだ。独裁者は、任期のある選出職の政治家を操縦しやすい。独裁者は任期に縛られないが、選出職の政治家は任期中得票に有利な行動をせねばならないという強迫感に駆られる。われわれは、北韓の独裁者がこの点を活用して韓国の二人の大統領を平壌へ招待し、韓国の安保を切り崩す合意をなしたことを見たことがある。
潘基文総長も金正恩に利用され得る。それとも恥を掻くこともあり得る。北は、潘総長の訪北と金正恩との会談を約束しても、いつ約束を破棄し潘総長を困境に落とすか分からない。北韓に行って金正恩に会えないと、行かないよりまずい。金正恩は国連事務総長を‘会ってあげること’を最大のカードとして活用しようとするはずだ。
会ったとしても金正恩が潘基文総長に核の放棄を約束するだろうか。強制収容所の閉鎖を約束するだろうか。約束しても信じられるだろうか。末子の息子ほどに若い世襲独裁者と、国際平和機構の代表が会って握手して笑顔で別れたら何が良いことでも起きるだろうか。対北制裁をしている国々は、そういう状況をどう受け止めるだろうか。
金大中と盧武鉉元大統領が金正日に会った後、國益が增進どころか損をしたことをよく憶えている韓国の有権者たちが‛会談ショー゛に騙されるはずだと計算するのも、国民の水準をあまりにも甘く見ることだ。いくら考えても潘基文総長の訪北は得より失が多いと思われる。刑事が逃避犯に会うために低姿勢になるような姿勢を取ったら、政治行路に致命的になり兼ねない。
www.chogabje.com 2015-12-17 10:36