来年総選挙の話頭は「運動圏」審判論
[予測]次期総選挙と大統領選挙の行方
金容三(未来韓国編集長)
<注>この記事の出所は<未来韓国>です。
386運動圏たちの思考の核心は反大韓民国-親北韓、既得権打破、反企業・反市場・親労働。彼らを審判して大韓民国の価値を回復せねばならない。
○野党の内紛原因は「全大協」幹部中心の運動圏主導権論対正統野党復活論の激突
○湖南は「親盧(親盧武鉉)運動圏」と決別し独自勢力化する可能性が高い
○オープンプライマリーは朴槿恵親衛勢力の戦略公認を阻止するための金武星代表の盾
○次期大統領選挙の行方は、金武星-潘基文(與)vs. 文在寅-朴元淳-安煕正(野)の対決構図が予想
○与党圏の大統領候補は‛コンクリと支持層'を持つ朴槿恵大統領と同じ船に乗ってこそ成功可能性
政界に激震が走った。6ヶ月後に迫った総選挙、そして2017年12月の大統領選挙というスーパー台風のためだ。
有権者たちは野党の分裂、与党の公認権をめぐっての熾烈な主導権争い、暴露戦、誹謗戦が小説のように展開されている様子を見みながらもびくともしない。政治に関する限り、海千山千を経験した韓国国民たちだから、政治で想像可能な応酬程度は全部押さえている。ちょっとした小細工では有権者たちを眩惑させるか誘惑できない。
それにもかかわらず、誰もが知りたがる質問は、まさに“2016年の総選挙と2017年大統領選挙の主人公は誰か”、“総選挙と大統領選挙の話頭は何か”ということだ。最近、野党の荒っぽい動きから推測すれば、来年の春の総選挙は比較的に容易に予測できる。新党結成を準備している無所属の千正培議員の発言が適切な事例になりそうだ。
“新政治民主連合(以下、新民連)の現役議員の中で再当選が容易だと思う方はほとんどいない。80席の話が出ていたが、80席って何が80席か。それも難しいと思う。”(中央日報9月25日付)
分党の危機に直面した野党
9月30日現在の国会議席分布は、在籍議員298人のうち、セヌリ党159席(比例代表27)、新民連128席(比例代表21)、正義党5席(比例代表4)、無所属6議席だ。新民連の選挙区の議員は比例代表を除けば107席だが、千議員の予測通り27席が減ればこれは惨敗だ。
千正培議員をはじめ、全羅南道知事を三回務めた朴晙瑩知事、朴柱宣議員など野党人士たちが新民連を離党して新党結党の意思を表明することから、近いうちに野党陣営は分党事態が避けられないと思われる。
総選挙で首都圏選挙区の場合、当落がわずか2〜3%の僅差で決まる超薄氷の接戦地域がほとんどだ。現行の選挙区を基準として全地域区(246席)のうち、ソウル(48席)、京畿(52席)、仁川(12席)を合わせれば112議席だ。19代国会は、ソウルの場合はセヌリ党が17席、新民連が31席、京畿道はセヌリ党22席、新民連27席、正義党1席、無所属2議席、仁川はセヌリ党6席、新民連6席を占めた。
新民連が首都圏で得た票の50%以上が、その地域に居住する湖南出身有権者のものと推定される。したがって、首都圏の湖南出身有権者たちが背を向ければ新民連は決定打を蒙る可能性が高い。この渦中での野党の敵前分裂は、総選挙での敗北と同義語であることがよく分かる状況で、野党はなぜこのように分党を辞さない、奇異な歩みをするのだろうか。
政治の世界で通用する用語は一般的な用語とは随分違う。最近、野党で起きている泥仕合を一般用語で整理すれば、次のような図が現れる。現在、野党分裂の本質は、あらゆる修飾語を除去すれば、文在寅代表を中心とした親盧(親盧武鉉)勢力と、湖南を基盤とした親金大中勢力の対決だ。
文在寅代表を頂点とした‛全大協幹部出身を中心としたNL主体思想派学生運動勢力(以下、386運動圏と表記)’が党の革新や改革という外皮を被って党権力を掌握するため超強硬手段を駆使するや、金大中勢力が‛離党と新党結成'の背水の陣で立ち向かいながら生じた戦線だ。
‛主思派運動圏政治’復活の信号弾
386運動圏たちが主導する野党改革論に対して、親金大中勢力は湖南を基盤とした地域政党を結成することで対抗している。湖南の政治家たちの‛正統野党復活論’は、親盧386運動圏勢力との決別を意味するが、果たして湖南と386運動圏勢力の決別が総選挙と大統領選挙の政治地形にどういう波長をもたらすだろうかが興味津々だ。
新民連から湖南勢力が離党して独自の党を作れば、新民連は386運動圏が主導する‛主思派運動圏政党’に変貌する。新民連はその前身だった民主党のとき、統合進歩党(以下、統進党)と一緒に2012年の総選挙のとき‛野党圏連帯’の看板を掲げて選挙区の公認を共同でやった。
その結果、統進党は総13人(選挙区7、比例代表6)が院内進出に成功した。李石基も民主党のおかげで国会議員のバッジをつけた。金大中・盧武鉉政権は李石基を含む3538人の公安事犯を大統領特赦で釈放し赦免・復権させた。文在寅新民連代表は李石基の赦免(2003)と復権(2005)の実務責任者だった。
金泌材記者の報道によれば2015年現在、新民連議員の中には国家保安法と反共法違反で実刑判決を受けた人が21人だ。彼らのうち、反国家団体事件の連累者が4人だ。現在、新民連の中に1980年代の代表的な大学生運動圏団体だった全国大学生代表者協議会(全大協)出身の政治家は金太年、李仁栄、林琇卿、呉泳食、禹相虎、鄭清来、崔宰誠、朴洪根議員など8人だ。
全大協は駐韓米軍撤収、国家保安法撤廃、平和協定締結、連邦制統一など、北側の対南路線を追従して、1992〜1993年に核心部署である「政策委員会」などが大法院から利敵団体と判決された。
金泌材記者は、全大協出身議員8人のうち禹相虎議員を除いた7人が国家保安法違反の前歴があり、李仁栄、呉相虎、金太年議員は全大協1期の議長と副議長、常任運営委員、呉泳食議員は2期全大協の議長を務めたと指摘した。
林琇卿議員は3期全大協の代表として1989年、平壌世界青年学生祝典に参加して国家保安法違反で拘束され、朴洪根議員は6期全大協で議長代行を務め、鄭清来議員は‛全大協決死隊’の一員として1989年に駐韓米大使官邸の奇襲占拠に加担した。
全大協幹部出身をはじめ、386運動圏人士たちが党の中核を掌握し、来年の総選挙に主体思想派運動圏出身を大挙公認する場合、総選挙と大統領選挙の話頭は自然に‛運動圏審判論’に焦点が合わせられる可能性が高い。政界の中堅として浮上した386運動圏出身の核心スローガンおよび思考は、一貫して大韓民国を貶め、金正日と金正恩と北韓に対する肯定的思考、葛藤と対立、既存の価値破壊、既得権の打破、自由民主主義と資本主義に基づいた市場経済への挑戦で象徴される。
彼らが主導して創出した盧武鉉政権の5年間の歩みを見れば、彼らの政治的歩みや路線が明快に現れる。盧武鉉時代に386運動圏のスローガンだったソウルから地方へ、江南から江北へ、米国中心の外交から脱米国中心の外交に、政府部署中心の政策決定から委員会中心に、保守から進歩への変化は、大韓民国の根本を改造するための一種の社会革命だった。
全大協386運動圏政治の本質:反大韓民国、親北韓
革命のためには前衛隊が必要だ。盧武鉉政府のとき大挙国家要職に任命された386運動圏は‛参与’という名の下で大衆(ほとんどが左派市民団体や彼らを支持する左派勢力)動員方式の国政運営をした。
市民団体と政治を動員して軍と警察、検察と情報機関などを民主化、脱権力化するという名目で活動を制約しながら法治が深刻な脅威を受けた。さらに、国家保安法をはじめ、私立学校法、過去事真相究明法、言論改革のための言論関係法など‛4大改革立法’を目論み、韓米同盟の再調整問題にまで手を付けた。
彼らは日和見主義的で腐敗した既得権勢力(保守政治勢力、財閥、メディア、官僚、金持ちなど)が歴史を間違った方向に導いてきたと言い、これを打倒せねばならないと主張した。既得権勢力の政策路線である反共と安全保障、経済成長、親米路線は打破の対象だった。
彼らは45兆6000億ウォン(新行政首都研究団の試算)の天文学的な予算を投じて‛行政複合都市’という名前の世宗市を建設した。表面上は国土の均衡発展と首都圏の過密解消、国家競争力の提高と偽装したが、彼らは行複都市を建設した核心哲学は“首都移転を通じての一つの時代と支配権力の交替のため”が本音だった。
全大協を中心としたNL(民族解放)主思派運動圏勢力がもたらした最も深刻な害悪は、大韓民国の正統性を否定し貶め攻撃したことだ。亡国の歴史については李完用と乙巳五賊などの外部に責任を転嫁し、成就の歴史に対してはその主役たちを否定する没歴史的態度は、国家のアイデンティティと市民意識の弱体化を招いた。
彼らは和解や相生よりは、建国と護国、産業化時代に対して憤怒を表出し批判と非難に集中して断絶と報復の懲罰的なアジェンダを見つけることに没頭した。
反企業・反市場・親労働を標榜する左翼運動勢力は、機会さえあれば‛財閥解体’、‛労働者が主人になる世の中を作ろう’と主張してきた。国民たちが喜ぶ政策ばかりを施行し、国民に汗と涙と苦痛を要求する政策や改革アジェンダは回避した。その結果、国家と社会の効率性や生産性、競争力は著しく退歩した。
反面、彼らは核とミサイルを開発して、韓国に対する挑発を続ける北韓に正統性を付与し柔和的に対した。2003年1月10日、北韓がNPTからの脱退を宣言するなど、第2次北核危機の渦中に大統領に就任した盧武鉉は2005年2月、北側の核保有宣言にもかかわらず、開城工団事業の拡大、対北肥料支援、北韓核問題の国連安保理付託に反対を宣言した。
消えた‛政権審判論’
2006年10月9日、北側が核実験を強行するや“北韓の核兵器開発によって韓半島の軍事バランスが壊れてはいない”と主張した。国連安保理が核実験に対する制裁として北韓に対する軍事装備の輸出を全面禁止する決議1718号を採択するや“北韓の核は防御用”と北韓を庇護した。
金大中と盧武鉉政府の10年間、南北協力基金で9兆3000億ウォンを造成して8兆2000億ウォンを執行した。このほかにも金剛山観光、開城工団事業、民間レベルの対北支援、金大中政府の5億ドルの秘密送金などを合わせると膨大な金額が北韓へ流れた。金正日政権はこの資金を南韓と国際社会を脅かす核兵器と長距離ミサイルの開発に使用し、韓国の国家安保が決定的な脅威を受けるようになった。
このような特性を持つ従北運動圏が湖南の政治勢力を‛腐敗した政治家’たちに決めつけて虐殺し、党の主導権を握るため乗り出したのが今の野党事態の本質だ。
歴代の選挙を見れば、現職大統領の任期中に選挙が行われると野党は‛政権審判論’を持ち出して容易に雰囲気を主導することができた。ところが、新民連の‛386運動圏’政治勢力は来年の総選挙と再来年の大統領選挙で‛政権審判論’を利用できない状況になった。なぜなら、失政の主人公が朴槿恵大統領ではなく、自分たちであるためだ。
これまで新民連は‛国会先進化法’を武器として朴槿恵政府を揺さぶり続けた。公務員年金の改惡、国会法改正案などがその典型だ。昨今の国家の乱脈ぶりは朴槿恵政府の無能というよりは朴大統領の就任直後から‛政権退陣’を叫び、財閥を攻撃し、国政に意欲を持った大統領と行政府の足を引っ張った野党のためだったと思っている有権者が多数だ。このような社会雰囲気の中で‛政権審判論’を取り出した、むしろブーメランになって自分たちの首を飛ばし兼ねない。
湖南の有権者たちももはや‛386運動圏’の改革論に嫌気がさしたほどだ。湖南地域の最近の情緒は、朴槿恵政府が良くやったこともないが、代案もなく‛女性大統領’を集団リンチするように噛み付く姿を見て、左翼運動圏政治に背を向けている。
金大中大統領のため湖南地域の有権者たち好きでなくても‛386運動圏’の政治家たちに無批判的な支持と声援・激励を送ってきた。だが、金大中大統領は去って、386運動圏は湖南の政治勢力を‛改革’を名分に粛清している。今まで彼らを物心両面で支えてきた湖南の有権者の立場から見れば、到底赦せない恩知らずである。
来年総選挙を契機に湖南は正統野党復活論の旗を持ってNL主体思想派386運動圏に背を向ける可能性が高くなっている。湖南という地域情緒が決定的な武器である上、旋風が吹けば首都圏でも善戰できるという計算が立てば、新党結成の烽火が上がる可能性が高い。
湖南は正統野党の復活を通じて、政府を助けるときは助け批判すべきときは手厳しく鞭を打って、大韓民国という枠の中で湖南の発展と国家発展のための代案を模索する道へと進むと展望される。
セヌリ党の悩み:「オープンプライマリー」と「戦略公認」の対決
与党のセヌリ党も騒がしいのは同じだ。党が‛親朴’(親朴槿恵)、‛非朴’に分かれた状態だからだ。悩みの核心は2016年の総選挙後も朴槿恵大統領の任期が22ヶ月も残っていることだ。
来年の総選挙が終われば権力の重心は次期大統領選候補に急激に移るのが政治の常識だ。中途半端にタイミングを逃せば朴大統領は植物大統領になる可能性が高い。これを防ぐ方法は積極的に総選挙に介入することだ。2年も近い残余任期中に国政を円滑に運営して目に見える成果を創出するためには、朴槿恵大統領は今回の総選挙で自分の忠誠派を大挙公認して当選させることで、強力な親衛勢力を形成しなければならない。そのためには戦略公認が不可欠だ。
問題は党代表の金武星だ。党代表に挑戦したとき‛オープンプライマリー’を打ち上げた金武星代表が、秋夕連休期間中、釜山で文在寅新民連代表と会って、オープンプライマリーを想起させるため頑張った。
オープンプライマリーと戦略公認をめぐる政治的用語を分かりやすく翻訳して見よう。オープンプライマリーは知名度が高く、活動ぶりが多く知られている現役議員に圧倒的に有利な制度だ。
したがって、オープンプライマリーを強行するというのは、現役議員の既得権を認めると同時に、朴大統領の希望である戦略公認を源泉封鎖して朴槿恵親衛勢力の登場を阻止する妙策になり得る。さらに、“大統領と党指導部が掌握してきた公認権を国民に返す”という名分も尤もらしい。
これこそが“戦略公認はしない”と言いながら青瓦台と派手に対立している金武星代表の本音だ。彼は内心オープンプライマリーを期待している現役議員たちの支持を背景に総選挙後の大統領選挙候補としての位置を確保するという青写真まで描いているのだ。ところが、人生はいつも予定された公式通りに進むものではない。
金武星代表は、これまでの総選での公認権と党運営問題をめぐり、青瓦台と数回パンチを交わした。第1ラウンドは6月25日の国務会議で朴槿恵大統領が国会法改正案に対する拒否権を行使して行われた。
当時、セヌリ党は‛非朴系'人士(⋆朴大統領と距離を置く人々)である金武星、愈承旼が‛親朴系’に勝って党代表と院内代表になって強力な権力を行使した。非朴系セヌリ人士が新民連と組んで、青瓦台と対立しながら内閣制だの二元執政府だのと改憲論をぶち上げた。
また、人事聴聞会を通じて大統領の人事権に対して強力な制動をかけ、朴大統領は長官1人も自分の意で任命できない‛植物大統領’の状態になった。まさしく国会独裁が始まったのだ。
だが、朴大統領は冷酷な勝負師だった。愈承旼院内代表を狙って“裏切りの政治を国民が審判してほしい”と宣言し、世論を背負って愈承旼を簡単に倒した。そして国会に集中していた政治的リーダーシップを一気に回収する過程で金武星代表の存在感は無惨に踏みにじられた。
第2ラウンドは9月7日、朴大統領の大邱・慶州訪問のとき行われた。この日、大邱を選挙区とする議員たちは一人も大統領の行事に招待されず、朴大統領はこれ見よがしに大邱や慶北地域から出馬が予想される青瓦台参謀陣を同伴した。数日後、朴大統領が仁川を訪問した際は、その地域の国会議員たちが招待された光景を見ながら大邱出身のセヌリ党議員たちは驚愕した。
大邱・慶北地域は朴槿恵大統領の政治的故郷だ。この地域では朴槿恵大統領が‛ひどい国会議員たちのためまともに仕事ができない気の毒な大統領’として刻印される。か弱い女性大統領が公務員年金の改革、労働改革などを解決するため苦労しているのに、仕事もせず歳費ばかり食っている国会議員たちが悉く牽制しているという世論が強く形成されていた。
この地域で起きている尋常ではない‛朴大統領への同情’世論が釜山・慶南を経て首都圏に北上する場合、朴大統領に反旗を翻した愈承旼議員や金武星代表は不味い状況に置かれ得る。“仕事がしたい。助けてくれ。仕事もせず足を引っ張るばかりの裏切り者を審判して下さい”と、朴槿恵大統領が柄を握っているからだ。
2017年の大統領選挙の行方
2016年の総選挙の結果は2017年の大統領選挙の行方と直結している。野党の場合、新民連が善戦して現在ほどの議席を確保すれば文在寅代表が大統領選候補になる可能性が高い。一方、分党して現在の議席よりも大幅に減った成績を出した場合、文在寅代表は用途廃棄される可能性が濃厚だ。
政治評論家たちの予測を総合すると、敗北した場合は朴元淳ソウル市長と安煕正忠南知事が競争体制を構築するものと見られる。NL主体思想派運動圏出身たちが主流をなす党内状況から見れば、安煕正知事が有利だが、世論では朴市場が有利な局面だ。
朴市長は、市民団体や一般人からの支持が強みであるが党内の基盤は脆弱だ。左翼運動の系譜では朴市場はアウトサイダーだったので主流勢力との連帯に障害が多い。彼が全大協の核心だった任鍾晳をソウル市政務副市長に任命したのも運動圏の主流勢力との円滑な疎通のためと見られる。
安煕正知事は過去、NL主思派学生運動の主流として華麗な経歴、忠南知事になってから中道と右派に向けての変身努力を通じて左翼出身のイメージをある程度脱色することに成功した。したがって、安知事は自由民主主義と資本主義に基づいた市場経済の長所と、社会主義の長所をまとめて‛第3の道’という旗を持って出ることのできる候補としてのイメージづくりが可能な状況になった。
しかし、‛第3の道’は左右合作を意味するが、韓国の現代史をはじめ戰後世界史の流れから見て、左右合作は必然的に共産化に帰結したという歴史の教訓を有権者は覚える必要がある。
セヌリ党の場合、大統領候補として党内で独走してきたような金武星代表の存在が悩みだ。党内では、候補としてのイメージは確固とするが、誰もが彼の本選での競争力については楽観していない不思議な雰囲気だ。
第6共和国発足以来、歴代大統領の当選事例を分析すると‛軍政終息、文民政府’の熱望で金泳三が当選し、‛準備された大統領’のイメージで金大中が大統領になった。‛庶民大統領’で盧武鉉が、‛左派の10年間で駄目になった経済を復活だせるため'で李明博が当選し、‛左派は駄目'という熱望で朴槿恵大統領が当選した。時代的熱望を充足させるイメージを持つ候補が当選したのだ。
では、次の大統領選挙が行われる2017年末に、時代の要求が市民社会の役割増大や福祉になれば朴元淳が有利な状況になる。適切な分配と庶民、進歩コードに没入されれば‛第3の道’の安煕正が登場できる道が開かれる。反面、経済回生、‛左翼運動圏’への審判、北韓急変事態と統一へ雰囲気がまとまったら、セヌリ党の候補が優位に立つことができる。
与党で経済回生のイメージを得られる候補群としては崔炅煥経済副首相、運動圏への審判論が強まったら黄教安国務総理、北韓急変と統一イメージは潘基文国連事務総長が浮かぶ。では、金武星代表が立てる空間はどこか。金代表は自分の象徴するイメージが何なのかを真剣に考えるべき時だ。
与党を支持する一部では崔炅煥経済副首相や黄教安国務総理に対する待望論も提起されるが、政界で奇跡はない。大統領選挙候補、特に与党候補の場合、大統領選挙を2年ほど前にした現在の状況で意味のある支持率を確保していない候補者が彗星のように登場して大統領選挙で勝利する可能性はほとんどないと見るのが科学的だ。もし、両人が大統領選挙に意志があるなら、今でも自家発電をしてでも意味のある支持率を確保して可能性の火種を起こさねばならない。
野党支持勢力の一角では安哲秀の可能性を言う意見も存在するが、韓国的状況では安哲秀や高建のように支持基盤が明確でない第3勢力に支持される候補(あるいは無党派候補)は成功の可能性が極めて低いことが既に歴代の大統領選挙を通じて証明された。
朴槿恵大統領の選択は?
今回の秋夕連休期間中、興味深い世論調査結果が発表された。SBS放送が秋夕連休を控えた9月23日と24日、TNSに依頼した次期大統領選候補の世論調査で、潘基文国連事務総長が21.1%を記録して、金武星セヌリ党代表(14.1%)と文在寅新民連代表(11.2%)、朴元淳ソウル市長(10.1%)、安哲秀新民連議員(6.3%)などを大差で引き離した。セヌリ党の立場では金武星代表の代案として検討できる支持率を見せたのだ。
もう一つ注目すべきファクト(fact)がある。いかなる状況があっても朴槿恵大統領を支持する24〜28%の‛コンクリート支持層’の存在だ。これは朴正煕・陸英修への支持の変異と見られるが、この支持層は朴大統領の任期末や退任後も揺らがない可能性が高い。したがって、与党の大統領候補は何があっても朴槿恵大統領と同じ船に乗ってこそこの支持層の支持が得られる。
今まで金武星代表は打っては逃げるように身を処して朴槿恵大統領と大きな摩擦なしに巡航してきた。金代表が確実な大統領選候補になるためには朴大統領との関係を友軍化、中立化、敵対化の中でいずれかを選択せねばならないが、これが毎日混乱する。
もし、金代表は朴大統領と同じ船に乗ることにしたら(友軍化)、率先して国会を陣頭指揮して労働改革関連法を断固として通過させ、朴大統領が残った任期中に業績を残せるように協力体制を確固たるものにしたいという点を直接話法で示さねばならない。
金代表は朴大統領との関係設定がまだ終わっていない様子だ。彼は秋夕連休を利用して野党代表と会合する形で‛安心電話国民公認’方式のオープンプライマリーカードを再燃させた。だが、時点が悪かった。よりによって朴大統領が国連演説のため出国中の後頭部を殴るように合意したのだ。
‛冷酷な勝負師'の朴大統領の対応が興味深い観戦ポイントだ。世論調査1位に浮上した潘基文カードは朴大統領の立場では(囲碁の)花見劫だ。朴大統領が金代表のオープンプライマリー攻勢に対して‛これは違う’と思えば、金代表を狙った強力な攻撃が展開され得る。
金代表も黙って死ぬ目を待つわけにはいかない。総選の公認権、任期後半の国政主導権を置いて行われる第3ラウンドは、互いに相手の急所を狙った致命的な攻撃になるはずだ。
金代表は、いわゆる‛ヒロポン娘婿’事件を通じて見た目よりは体力が落ちることが赤裸々に露出した。彼が‛非朴議員たち’という既得権勢力の保護膜をうまく活用して攻撃に耐えながら逆転に成功すれば待望の機会が来るし、転び倒れると終わりだ。
www.futurekorea.co.kr 2015.10.07 06:37