南侵用「サイバートンネル」
サイバー侵攻路になっている中国ルートを遮断する外交的・技術的代案が急を要する。
文化日報(2015年10月06日付け)
黄晟準(文化日報論説委員)
突然地下鉄が衝突し、ミサイルが誤作動を起こし、原発が爆発したらどうなるだろう。このような災殃が空想科学映画ではなく実際の状況に近づきつつある。ソウルメトロのコンピュータサーバーが北韓偵察総局と推定されるサイバー組織によってハッキングされて少なくとも5カ月以上掌握されていた事実が最近明らかになった。この事実は昨年8月、国家情報院によって把握されたが、10月4日ソウルメトロが国会国土交通委員会に提出した資料によって知られた。後からでも発見されたのは幸いだが、1日420万人が利用する地下鉄がテロの危険に置かれていたことは考えるだけでもぞっとする。
地下鉄だけでない。国軍機務司令部が国会国防委員会に提出した資料を見ると2013年5月、三星SDSなどの防衛産業2ヶ所の電算システムがやられて、軍の戦術網ネットワークシステムと戦術指揮統制自動化体系(C4I)関連情報がハッキングされた。軍の作戦指揮および通信体制が撹乱・麻痺し兼ねない状況だったのだ。また、大学病院の電算網が昨年8月から今年4月まで掌握されたこともある。警察サイバー安全局によれば、北側が情報セキュリティ企業であるハウリの業務用PCをハッキングし、これを利用してソウル某大学病院の中央統制システムと管理者のPCを完全に掌握した。実は、北側のサイバー浸透は相当以前から始まった。2013年3月、主要報道機関と金融機関の電算網を麻痺させた‛3.20サイバーテロ’、そして昨年末には韓国水力原子力をハッキングして原発の稼働を停止させると言った脅迫などがすべて北側の仕業と確認された。報道されただけでもこの程度だから、まだ把握していないことまで加えれば途方もない数にのぼるだろう。
それで多くの人々がサイバー戦争に備えるよう主張している。だが、備えようという主張は現実を正確に把握したものでない。前述した事例が示すように、サイバー戦争は韓半島では現在進行形だ。もはや未来のことと考えてはならない。では、何をすべきか。まず、サイバー戦争を遂行する総合司令部を建設せねばならない。現在、国情院・軍・警察が各自の領域で奮戦しているが限界が多い。これらを統合・指揮するコントロールタワーが必要だ。個人情報侵害への対応が主な任務である政府合同捜査団では対応できない事実がすでに原発ハッカー捜査などで立証された。第二に、サイバー侵攻路になっている中国ルートを遮断する外交的・技術的代案が急を要する。サイバー攻撃は瀋陽などを経由している。歴史的に南ベトナムを崩壊させた「ホーチミン通路(Hochiminh Trail)」の韓国版のサイバーバージョンが作られている。第三に、サイバー戦は思想戦であることを忘れてはならない。原発や地下鉄だけでなく、韓国の若者たちの脳を誤作動させることを警戒せねばならない。北韓側がインターネットを通じて心理戦を展開している事実はもはや秘密でもない。
問題は政界だ。‛壬辰の乱'(⋆文禄慶長の役)直前の党派の戦いを見ているようだ。国の運命がかかっている問題は放っておいて、自分たちのゲームのルールにばかり関心を注いでいる。そして党派の利益のため虚偽の報告をした朝鮮王朝の‛東人’のようにサイバー戦を陣営論的観点で捉える場合もある。だからといって‛西人’がましなわけでもない。口先だけで備えを叫び、実質的に備えなかったからだ。 文化日報 www.munhwa.com