大韓民国は政治革命が進行中
[深層分析]野党の分裂と与党の堕落- 未来韓国 2015.10.08 13:08
朴誠賢ニューデーリー主筆
古いものをばらばらに打ち壊し、新しい秩序を生み出す巨大な政治変化が進行している
2015年の韓国政治は野圈分裂と與圈の堕落と特徴づけられる。分裂は解体であり堕落は腐敗だ。解体であれ腐敗であれ、ともに“既存のものが崩れる”ことを意味する。
2015年の政治は一つの時代の終焉であり、新しい時代への(潜在)だ。2015年は韓国の政治文化において、韓国人の政治意識において、時代を区分する里程標(mile stone)で、境界石(boundary stone)だ。今年、2015年がなぜこのような意味の深い時点なのか、その様相と原因を見てみよう。
今、新政治民主連合(新民連)で起きている現象は“全大協386独走体制の登場”だ。彼らの行動はほぼやくざの水準だ。(⋆「全大協」=全国大学生代表者協議会は主体思想派が主導して1987年8月に結成した左翼運動の大学生団体。「386」は全大協の主軸だった1960年代に生まれ1980年代に大学生時代を過ごした30代の世代のこと。今や「586」と言われる。)
“出たいなら出て見ろ!君ができることなどあるの?”
全大協386出身たちは党の元老たちを一挙に殉葬させると乗り出した。地方自治団体長たちを確実に掌握しているため、また朴元淳と連帯しているため、このような暴力が使える。しかし、彼らに対する反発も手強い。朴智元まで党を離れる状況だ。
安哲秀は“党が滅びる道に走っている”と泣き叫んだ。趙慶泰は“環境が整えば文在寅代表とぶつかることもあり得る”と言って。金ハンギルは“下放、下方と言うから、よし、元の選挙区である九老に行くよ”と突っ放した。
全大協出身386の独走体制の登場
彼らはなぜここまで極端な行動に出たのだろうか。彼らの目標は“党を掌握すること”であるだけで“選挙で勝つ”ことではないからだ。
“我々の386全大協世代の同志たちが一糸不乱に党を掌握しなければならない!”
これが彼らの戦略目標だ。なぜこのような荒唐な目標を設定するようになったのか。まず、平壌が崩壊しているからで、第二に、どうせ来年の総選挙で野党が得られる票が減っているためだ。平壌が崩壊したら‛從北の黒歴史’が暴露される可能性が高いが、そういう状況では、身分が国会議員であるか、国会議員に出馬して2等で落選する、あるいは党僚であるほうが絶対に有利だ。
ちゃんとした政党政治家であるため身分が保障される。来年の総選挙で野党が期待できる票がどんどん減っている理由は2つだ。疎通-文化覇権がなくなり、そのため国民が「太陽迷信」から解放されたためだ。
今回(2015年8月)の木箱地雷による軍事緊張局面で韓国民は二つを見せてくれた。一つは一戦を辞さずという剛気、もう一つは武力圧倒の自信感。
“あの気違い連中は到底対話、交流、協力のパートナーになれない。いざとなったら踏み潰して自由統一を成し遂げねばならない。われわれの世代にそういう事態が起こったら幸いだ。気狂いのごろつきらに引きずられる状況を子孫に残すわけにはいかない。”
疎通-文化覇権と太陽政策という迷信
20〜30代の若年層を含む国民の大多数は、上のような一戦を辞さずの剛気を見せてくれた。1990年代半ばに金大中が復帰した後、20年間ほど韓国国民を支配してきた太陽政策という迷信が力を失ったことが明確になった。なんと20年ぶりのことだ。
国民はブータンガスやラーメンやミネラルウォーターなど何も買い溜めなかった。武力を使用すれば、瞬く間に一方的に終わらせることができることを本能的に知っていたことを証明した。
2010年には“天安艦は米軍と韓国軍による自作劇であり得る”という怪談および“延坪島砲撃は、われわれが北韓を圧迫し過ぎて招いた事態だった”という詭弁に惑わされた国民だった。そういう国民が5年後に“いざとなったら踏み潰して自由統一すべきだ”と考えるようになったのはコペルニクス的な意識変化だ。なぜこのような変化が起きたのだろうか。
その間に統進党解散と全教組の不法化など司法措置がなされた点もあるが、より根本的には‛空き缶進歩’あるいは従北-親北-ロウソク群衆の混合勢力(「従・親・群」)が享受してきた疎通-文化覇権が崩壊したという理由がある。天安艦のルーマーが猛威を振るった2010年4月に戻って見よう。
国内の主なインターネットの掲示板は全部彼らの‛所有物’だった。ツイートも彼らの‛縄張り’だった。孔枝泳や曺国のような人がツイートで咳をするだけで朝鮮・中央・東亜日報がこれを競争的に掲載した。SNSの完成版と言えるFacebookはまだ広く普及していなかった。50代以上はスマートフォンをほとんど使用しなかった。KT(⋆移動通信会社)がAppleのiPhoneを普及し始めた頃だった。映画をはじめとする文化分野は‛空き缶進歩’の専有物だった。
疎通と文化を独占すれば大衆の政治意識を操作することができる。1990年代後半から何と20年間の空き缶進歩と「従・親・群」は疎通と文化を独占してきた。その独占は彼らがインターネットの掲示板だけでなく、ツイートなどSNSも独占していた2010年にピークに達した。
それで天安艦まで、“米軍ないし韓国軍の陰謀である可能性が高い”という凶悪な観念を絶対多数の国民に注入することができた。しかし、SNS(ツイート、Facebook、カカオトーク)は本質的に個人親和的疎通方式だ。個人親和的というのは次の三つを意味する。
1)個人が自分の趣向によって友達を構成し、
2)その友達たちの投稿(例えば、フェイスブックの‛ホーム’)が‛私が見る世の中の姿‘となり、
3)掲示板の権力者(システムオペレータ)は当初存在しないため各自はただ自分の考えや気持ちを書けば良いのだ。
個人は真実親和的だ。150年前、現代のキリスト教哲学の父キルケゴールはこう言った。“群れ(群衆)は偽りだ。ただ、個人であるときにのみ真実を直視することができる。”
SNSに隠されているこの使用者-行動心理学的真実(a truth about the SNS users' behavioral psychology)は、筆者によって2010年最初に提示された。筆者と見解を共有する人々はこの発見に基づいて団体、教会、知人が集まる機会に上記のような‛SNS教育’をしてきた。技術的教育ではなく心理的、哲学的真実を伝える教育だった。
2010年と2011年に、低く見ても10万人以上がこのような真実に接することができた。SNSとスマートフォン自体の特性に、このような‛目的意識的な努力’が加えられて、2012年の大統領選挙政局では、「従・親・群」が享受してきた疎通覇権はすでに消滅し、インターネットとスマートフォンにおいての力のバランスが5:5に迫るになった。
今ではむしろわれわれ、つまり自由民主主義-自由統一-世界市場を支持する市民(自・自・世)陣営の疎通力量が「従・親・群」より大きい。今、空き缶進歩と「従・親・群」が偽りの扇動と大衆動員(人々が暴徒になるよう誘導する行為)をいくら試みても、世論は騙されない状況になった。
疎通環境において、真実が一方的に踏み潰されるトポロジーではなく、真実が偽りに対して一戦を交えられるトポロジーになったのだ。疎通環境がこのように変わるや文化が変わった。映画‛国際市場'および‛延坪海戦’の成功は、大韓民国に対する真実、生に対する真実を盛り込んだ文化コンテンツこそ、商業的に大成功をおさめられることを証明した。要約すればこうなる。
1)国民が太陽(政策の)迷信を完全に克服できるようになった最大の理由は、空き缶進歩と「従・親・群」の疎通-文化覇権が崩壊したためだ。
2)今、われわれは生に対する真実、大韓民国に対する真実に対して互いに考えを分かち合える疎通-文化トポロジーを確保した。
3)もはや「従・親・群」はこれ以上偽りの扇動と大衆動員ができなくなった。
4)疎通-文化トポロジーが政治意識を決定するため、今はわれわれ「自・自・世」の市民陣営が磨き確立する政治哲学が国民的共感を持つことができるようになった。
▲与野党は国会法の改悪試図、オープンプライマリー推進など既得権の維持に安住して国民に失望を与えた。このような状況でも古いものを打ち壊し新しい秩序を生み出す巨大な政治変化が起きている。写真は9月28日、金武星セヌリ党代表と文在寅新政治民主連合代表。
滅びる兆しが見え始めると駄目なことばかりをする
このような根本的変化が日々深まり加速している状況で、新民連を掌握してきた386のグループは、党内の大物を粛清ないし無力化し‛386独走体制’を固める戦略目標を立てたのだ。彼らの戦略目標は必ず‛2016年の総選挙での敗北’に帰結するしかないが、その敗北の幅は2つの変数によって決まる。
一つは、今進行中の朴元淳-朴ジュシン(⋆朴元淳の息子)兵役不正疑惑の行方だ。もし、これが組織的兵役不正であることが明らかになる場合、空き缶進歩のメンタルだけでなく、野党の固定支持層のメンタルが崩壊する。なぜなら空き缶進歩は道徳と正義を恰も‛独占所有物'であるかのように喋ってきたためだ。朴元淳こそ空き缶進歩の‛道徳と正義’を象徴するアイコンであるからだ。
また、朴元淳は386全大協の大物たちの相当数に物質的基盤を提供してきたからだ。もし、朴元淳が組織的兵役不正を犯したことが判明したら、空き缶進歩の道徳と正義は、事実は不道徳と不義だったとされる。朴元淳に一身を委託し強力なグループを形成してきた386大物たちは皆が散らばってそれぞれが生きる道を求める境遇に追われる。
二番目は、湖南圏の分離(spin off)だ。ところで、この二番目の問題もやはり上の一番目の問題と密接に繋がっている。今、湖南の政治意識は両面的だ。一つは“我々がなぜ親盧(⋆親盧武鉉)386覇権体制や空き缶進歩の飾りになるのか”という自ら恥じる感情で、もう一つでは“湖南自民党のようなもの作られると、他地域の人々から‛湖南人同士が固く団結した’と後ろ指をさされるようになる”という恐れだ。
ところが、もし、朴元淳が兵役不正を犯したことが明らかになれば、湖南圏の分離を抑えていた心理的な恐れよりもっと大きな恐怖が生じる。どうせ空き缶進歩と同じ船に乗って見ても‛無道徳と不義’というレッテルが貼られる状況なら、いっそ“湖南人同士で固く団結した”という後ろ指を指される方がましになる。この場合、湖南の分離は堤防が決壊した洪水のように政界を襲うようになる。
セヌリ党の堕落
湖南の分離がこのように猛烈になれば強力な‛386全大協の隊伍'すら維持されるという保証がない。新民連が首都圏や忠清圏で獲得する票の50%以上が、その地域に定着している湖南有権者から得られると推定されるためだ。
首都圏と忠清圏の湖南有権者まで 新民連に背を向ければ、新民連はもう一つの統進党になる可能性すらある。統進党と違うことは宿主がないという点だけだ。寄生体である統進党が死ぬや、宿主である新民連が寄生体の属性を持つ存在に変わる奇異な変態(metamorphosis)が起きているわけだ。
ここ2年間、セヌリ党は徹底して堕落した歩みを見せてきた。
まず、国民の共感帯も形成せず、まるで“国会議員が決めれば改憲ができる”という行動を見せながら、二院執政府制の改憲を打ち出した。改憲の提案は国会がするが、改憲の決定は国民がする。したがって、改憲論議は国民と共にやらねばならない。
第二に、国会法を改悪して、三権分立の憲法改正なしに‛国会が国家運営を独占する体制’を試みた。厳密に言えば、これは反乱行為だ。改憲をもって処理せねばならない問題を法律で迂回しようとした変則だったからだ。“違憲の素地があっても、国会議員たちが決定すれば問題にならない”と言った金武星の発言こそ、このような反乱のメンタルを加減なしに表わした。
第三に、オープンプライマリーを名分に現役の国会議員と党員協議会長(旧地区党委員長)が永久に権力を享受する‛階層的社会’を試みている。オープンプライマリーをするためには、2つの条件が満たされなければならない。
第一に、国民の政党政治文化が成熟して地区党がなくならねばならない。オープンプライマリーは、地区党が存在する限り、地区党委員長に絶対に有利なゲームであるためだ。今の政党は(名目上は地区党が存在しないが)事実上地区党体制だ。‛地区党委員長’という肩書きが‛党員協議会長’に変わっただけだ。
第二に、地域政党政治に熱心に参加している市民たちが、特定の政治家に忠誠するのではなく、党に対する所属感とアイデンティティを明確に持たなければならない。ところで、実際に地域で活動する人々は、党への所属感とアイデンティティを持っているのではなく、‛誰それの人’という、特定の政治家に対して忠誠する場合がほとんどだ。
この二つの条件が満たされない状況では、オープンプライマリーは結局、現役の国会議員たちを地域盟主にする結果をもたらすだけだ。大韓民国は三権分立に基づいた自由民主共和国ではなく、246個の選挙区の聖骨一族が支配する‛骨品制の寡頭支配体制’になってしまう。
しかも‛386独走体制’に変身している新民連は、既存の‛大物’政治家を排除せねばならないため、金武星一派が主張するオープンプライマリーを到底受け入れられない。それでも金武星一派は新民連と一緒にオープンプライマリーを貫徹させようと必死に頑張っている。
二元執政制の煽り、国会法改惡試み、(オープンプライマリーによる)既得権の永久化企図...。セヌリ党の指導部のこのような行動はセヌリ党が深く堕落していることを意味する。
波頭が白く見える海面
海の荒い波風が吹けば海面が真っ白に変わる。波が高くなりながら方向が一定でないため、波頭が互いにぶつかり飛沫を飛ばすためだ。これを白い兎が飛ぶ(白頭波)という。
2015年の韓国政治は真っ白な兎が飛んできた。まず、国内だけを見ても、三つの相互に独立したダイナミックが作用している。まず、今回の木箱地雷事件で明らかになった国民意識や、朴元淳-朴ジュシンへの圧迫で現れたように、国民の政治意識が凄い勢いで覚醒している。
第二に、‛386独走体制’を目指す勢力が新民連を掌握したため、新民連の力が急速に弱化しており、湖南の分離が次第に現実化している。第三に、二元執政制への改憲誘導、国会法の改悪企図、オープンプライマリー試図などで明確に現れたように、セヌリ党の指導部の堕落と混迷がますますひどくなっている。
さらに、国際的には北韓の暴悪ぶりの悪化および韓中関係の劇的な改善など、北東アジア秩序の変化が進行しており、米国はこれ以上中東の石油に頼らないようになって、米国の地位が日々強化される‛ネオ・パックスアメリカーナ’が定着しつつある。
この5つのダイナミックで構成された荒い風浪がアンシャン・レジーム(ancient regime)を襲っている。結果は?古いものをばらばらに打ち砕き、新しい秩序を生み出す巨大な政治変化が起きる。真実を分かち合える疎通と文化体制を確保したわれわれ「自・自・世」の市民陣営が望む価値を盛り込める政治秩序に向けての急速な移行が起きる。
大韓民国は今、真実を尊重し自由統一を核心的価値とする、名実相伴う共和国として誕生する時がきた。
www.futurekorea.co.kr 2015.10.08 13:08