‛統一教育’を抜本的に見直せ!
文化日報 (2015-09-23)
廉燉載(成均館大学客員教授、元国家情報院1次長)
ソウル大学の統一平和研究院が毎年発表する国民の統一意識調査はその結果が混乱そのものだ。北韓に対して否定的な認識が非常に高い一方、北韓を‛協力と支援の対象’と思う人があまりにも多い。去る7月1日〜24日に19歳から74歳の1200人を対象に調査した今年の調査結果も同じだ。北韓の武力挑発可能性があるという応答が70.5%、北韓は核を放棄しないが86.3%、北韓の核保有に脅威を感じているという回答が84%、北韓政権とは対話と妥協が不可能という応答が71.3%で、否定的な認識が圧倒的に高い。
ところが、‛北韓はわれわれにとってどういう対象か’の質問に対する応答を見れば話は変わる。協力と支援の対象との応答が52.3%で、警戒と敵対の対象との応答39.6%より多い。これも2013年に北韓の核実験で対北認識が悪化したためで、以前は協力と支援の対象という応答がもっと多かった。
この相反する結果に対してはいくつかの解釈が可能だ。北韓政権と住民を混同する人もいるはずで、平和と統一のためには北韓と和解し協力すべきだと信じるか対北支援が統一費用を減らせると考える人々もいるだろう。また、ヴィリー・ブラント元ドイツ首相の東方政策、和解・協力政策がドイツ統一の原動力になったという間違った認識のための可能性も大きい。
だが、根本的な原因は‛民族共同体統一方案’の欠陥とわが政府の間違った統一教育からもたらされたものだ。和解・協力の段階、南・北の連合段階、統一国家完成段階など3段階になっている今の‛統一方案’には二つの重要な欠陥が内包されている。北韓の3代世襲王朝、つまり民族間の合意を破って核兵器を開発し軍事挑発を続ける北韓政権も和解と協力の対象なのか、また理念と体制が違っても国家連合が可能なのかも不明だ。政府がここ問題に対する立場を表明したこともない。
しかも、政府の統一教育資料には‛北韓は民族共同体の実現のために宿命的に抱擁すべき存在’とされており、統一教育のときは和解と協力の重要性がまず強調される。したがって、わが国民が北韓を無条件和解と協力の対象と思うのも無理ではないようだ。
政府はもう間違った統一教育の枠組みを変えなければならない。まず、統一のためには無条件北韓政権と和解・協力すべきだという論理から脱しなければならない。また、われわれがいくら良い統一方案を準備しいくら和解・協力のため努力しても、北韓住民の自由意思が体制決定と指導者の選択に自由に反映されないなら、つまり、北韓の民主化がなされないと、統一は不可能であり、またそういう統一はしてもいけないという点を明確に教えるべきだ。
また、北韓を刺激しないという名分で国民の統一意識を誤導してきた統一教育も変えなければならない。これからは、北韓住民は包容と支援の対象だが、金日成-金正日-金正恩の3代世襲政権、恐怖の独裁政権は‛やむを得ない対話の相手’に過ぎず民族問題を一緒に解決していく‛統一のパートナー’でないことを、金日成世襲王朝は統一の障害要因であることを国民に明確に宣言し、学生にもそう教えなければならない。
政府が、われわれは吸収統一の意思もなく、北韓を和解と協力の対象として考えると言えば北韓がそれを信じるだろうと期待するのはあまりにも幼稚な考えだ。もう、わが国民を欺くばかりの‛粗雑な’論理から脱して、真実に基づいた、正しい統一教育をすべき時だ。