張成沢・呉克烈失脚

佐藤勝巳

(2010. 9.30)

 

 1ヵ月近く延期されていた朝鮮労働党の代表者会が開かれた。私の予測とは違って、金正日の三男キムジョンウンが、党中央委員と党軍事委員会副委員長(新設)として登場した。

 

 この代表者会前に、ジョンウンの後見人として喧伝され、金正日に次ぐ、金正日の妹の夫、張成沢、軍の実力者呉克烈の二人が、党政治局常務委員、政治局委員にも選ばれていないことに気づいた。正直言って驚いて、天眼鏡を取り出して発表された名前をもう一度仔細に確認したら張成沢の名前が、かろうじて党軍事委員の末席にあった。

 

 張成沢と呉克烈は、これまで最高権力機関である国防委員会の副委員長である。党政治局は党の執行機関である。なぜ彼らの名前がここから消えたのか。代わりに政治局常務委員、政治局員ポストに、総参謀長の李英浩の名前が現われた。一体、何があったのか。 

 

 詳しいことは後日、洪熒(ホンヒョン)氏と検討するが、代表者会延期の間に、朝鮮労働党政治上層部、特に金正日と張成沢、呉克烈の間に、また、張成沢と呉克烈の間に何かが起きたのだ。〝政変〟があったと見て間違いない。政治は従来の先軍政治で行きそうだが、経済は待ったなしだ。改革開放を望む中国との関係がどうなるのか最大の注目点である。南北関係、米日関係はどうなるのか。

 

 それにしても、選ばれた政治局常務委員も政治局員も70歳を超えている人が多い。懐メロの感が否めない。27歳のジョンウンが、この老幹部達を指導することなど考えられない。困難はより一層増した。

更新日:2022年6月24日