拉致担当大臣の出現を歓迎する

佐藤勝巳

(2008. 8. 4)

 

 内閣改造で、中山恭子拉致担当補佐官が拉致大臣で入閣することをテレビ報道で知り、びっくりした。

 内閣総理大臣は、従来通り拉致担当大臣を官房長官に兼任させても、また拉致担当大臣を新設しても、誰を大臣に任命するかは自由である。

 山崎拓衆議院議員を拉致担当大臣に選任することも、勿論可能である。しかし、福田康夫総理は、中山恭子参議院議員を大臣に選んだ。福田総理大臣の拉致問題に対する基本的スタンスが、何処にあるかを明確にしたと言える。

 中山大臣は、衆目の一致するところ、拉致被害者救出政策では、「圧力と対話」で一貫していることは広く知られた事実だ。相手を話し合いに引き出すために、援助が必要などと言っている山崎拓・加藤紘一両議員などとは正反対の考えを持った人である。

 福田首相の拉致救出についての考えは、中山大臣実現によって明白になったと見てよい。

 06年10月に決定された拉致対策本部の救出方針は、 

①拉致被害者の安全を確保し、帰国の実現、真相究明と実行犯の引渡しを求める。

②人道支援の凍結、万景峰号入港禁止、北のミサイルに関連する資金の移動防止、北朝鮮船籍の入港禁止、すべての品目の輸入禁止、北朝鮮の対応を見てさらなる対応措置を検討する。

③厳格な法の執行。

④拉致についての情報収集。

⑤特定失踪者を含め、捜査・調査を推進し、北に対して提起していく。

⑥国際的協調を強める。

 以上であるが、今後もこの政策は継承されていくものと思われる。

 実は、上記方針は、全国「救う会」が、過去9年間の実践のなかから導き出した要求の反映でもあり、国民の財産でもある。

 中山大臣実現によって、財産が担保された。また、6月13日の実務者協議の報告を、当時首相補佐官のため冒頭部分を聞けなかったと伝えられている。大臣になれば、拉致に関しては、専権事項であるから中山大臣の許可なく誰も何も出来ない。

 つまり、将来起こりうる拉致解決の協議内容は中山大臣が、交渉は外務省が、ということになろう。

 いまひとつ、拉致の担当大臣を設置したことが内外に与える影響であるが、一番脅威を感じているのは、金正日政権である。あまり知られてないことであるが、金正日政権は、中山大臣を指してジェンキンス氏救出当時「日本のサッチャー」と呼んでいた。金正日政権が中山大臣の豪腕を認めているのだ。

 しかし、国難が山積していることは変わりがない。が、ようやく政府が拉致担当大臣を置いて、拉致救出に本腰を入れ出した。

 10年前を考えると感無量である。拉致救出について言えば、政府は着実に前進を遂げてきているといえる。

 8月24日「国民大集会in富山集会」が富山市で開催される。この集会計画中に浜谷会長と共に、明日、何が起きるか分からないことを経験した。

 しかし、中山さんが首相補佐官ではなく、国務大臣の肩書きで「国民大集会」に参加するのは富山が最初となった。本当によかった。

 浜谷会長、武蔵野の片隅から、集会の成功を祈っています。

更新日:2022年6月24日