金正日政権に対する制裁延長決定

佐藤勝巳

(2008. 4.16)

 

 日本政府は、4月13日に切れる金正日政権に対する経済制裁を、4月11日(金)の閣議で延長することを決定した。官房長官は、閣議決定後の記者会見で以下のことを発表した。

 

★ 我が国が、2006年10月の北朝鮮の核実験を契機に実施してきている「北朝鮮籍船舶の入港禁止」の措置及び「北朝鮮からのすべての品目の輸入禁止」の措置の期限が4月13日(日)に到来するため、所要の手続きをとりました。 

 

★ これは、北朝鮮が、六者会合で2007年末までの実施を約束したすべての核計画「完全かつ正確な申告」をいまだ実施しておらず、また、拉致問題についても具体的対応をとっていないこと等、北朝鮮をめぐり諸般の情勢を総合的に勘案し、これらの措置の継続が必要と判断したのである。

 

★ 政府としては、日朝平壌宣言にのっとり、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝正常化を早期に実現するとの基本方針に変わりありません。

 

★ 今回延長される措置も含め、現在我が国が北朝鮮に対して採っている措置は、北朝鮮が拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向けた具体的行動をとる場合には何時でも、諸般の情勢を総合的に勘案して、その一部又は全部を終了することが出来ます。この機会に、改めて、北朝鮮が我が国と真摯な対話を行い、具体的な行動をとることを求めたいと思います。                             (了)

 

 救う会・家族会は、3月16日の全国幹事会と家族会の合同会議で、金正日政権に対して、①日本から北朝鮮への送金停止、②日本からの輸出品目の全面禁止、③北朝鮮のチャーター船の日本への入港禁止、の三点を運動方針として採択、政府に申し入れていたが、閣議では採用されなかった。

 金正日政権と総聯、それを支持する親朝派日本人は、福田内閣に制裁解除を期待していただけに失望落胆したと思われる。

 今、われわれは、国・県・救う会が一体となって全国で拉致救出の国民集会を開催している。拉致についての関心は被拉致者が帰ってきた頃に比較すれば、当然なことながら低下しているが、しかし、世の中に色々な運動があるが、全国各地で1000名以上の集会はそう簡単にはできない。

 拉致救出では、簡単ではないが、国・県・救う会がそれを目指して、和歌山、山口、熊本と成功してきた。今後も失敗しないよう努力するが、手ごたえとして伝わってくるのは、やはりこの10年で国民の意識が大きく変わったことである。これを救出にどう結集するかであろう。

 11年前、救出運動を相手にしてくれた勢力は、政府・諸政党をはじめ、労働組合は言うまでもなく、保守派も見向きもしなかった。例外は右翼であった、これが実態である。

 それが今はどうか。4月13日(日) 埼玉県戸田市の浅井隆夫市会議員の呼びかけで、拉致問題のテーマ一つで講演会が開かれた。会場に入って驚いた。主催者のご努力であるが、日曜日の夜だというのに、160名ほどの人達が市民会館の会場を埋めていた。講演の途中で帰る人は皆無。

 何処に行っても皮膚で感じることは、日本人の意識は「変わった」ということである。救う会の皆さんが、救出を積極的に訴えれば、国民は立ち上がる状況にあるという思いをますます深めている。

更新日:2022年6月24日