朴槿恵大統領、あなたもですか

佐藤勝巳

(2013.3.5)

 

日本認識

 韓国の朴槿恵大統領が就任して1週間が過ぎた。

朴大統領が日本をどう認識しているかということが就任演説などから明らかになった。要約すれば、支配、被支配の関係があったことは永遠に消せない、善処せよ、そうしたら韓日関係は、未来志向で円滑に動くであろう、という主張である。

 

なぜ中国を批判しないのか

 確かに、日本と韓国のあいだには支配、被支配の歴史があったことは認める。だが、支配被支配の関係というなら、日本より中国と韓国の関係の方がはるかに長いのに、韓国は日本にだけ謝罪などあれこれ要求し、中国にはどうして要求しないのかと、日本人は非常に奇異な感じを常に持っている。朴槿恵氏はこの疑問に答えて欲しい。

 

 また、日本に向かって上からの目線で「歴史を直視せよ」と言っているが、全く同じことを韓国についても言いたい。韓国では、中国や日本からなぜ植民地支配を受けたのかという研究にほとんど興味がないように見える。例外的に朴正煕元大統領が「弱いから植民地にされた」という趣旨の話をされているが、朴槿恵大統領にお聞きしたい。大統領自身が韓国史を直視する必要がないとのお考えなのか。支配を受けた原因は何だと認識されているか、是非お聞かせ頂きたい。

 

日本は変わった

 長年日韓関係を見てきた人々のあいだで「日本は変わった」というのが最近の共通認識である。これまで韓国人が「36年の植民地支配を何と思うか」と大きな声でテーブルを叩くと、日本側は大体頭を下げて妥協したものだが、昨今の日本人は、そうされても誰も驚かない。また、過去、日韓間にトラブルが起きると、まあまあと言って仲裁する日本人がいた。ところが、昨年の李明博前大統領の竹島上陸などで日韓が緊張しても、未だ仲裁役が現れない。それどころか、日本側は「放っておけ」という態度である。

 

 朴槿恵大統領は、自分の発言で日本が大騒ぎになるだろうと考えていたとしたら、大変な事実誤認であるということを知ってほしい。正直言って私にとって「放っておけというよりも、うんざりである」と言いたい。

 

戦前の後始末が終わって46年

 それは、日本が韓半島を支配したのは35年間で、韓国は独立して67年になる。日韓基本条約と関連諸協定で植民地支配の後始末が終わってから46年である。にもかかわらず朴槿恵大統領は、「従軍慰安婦」など解決済みの問題を口にしている。これでは、韓国と条約や協定を締結しても意味がない。前政権もそうであったが、韓国は約束(条約・協定)を守るという近代国家ではないことを、改めてまた大統領自身が示したのである。

 

 いくら約束しても、大統領が変わるたびに「歴史を直視せよ」「正しい歴史認識」などと「訓辞」を垂れられたのではたまらない。批判の中身が間違っていても中国と日本を並列に批判するのならまだしも、中国には言わず、日本にだけ批判する朴槿恵大統領の非論理的な李朝が中国にとった従属政策そのもので、日本の価値観には到底受け入れられない。

 

みじめな自己規定

 はっき言えば弱いから他民族に支配を受けたのだ。恥ずべきことである。恥ずべきことを根拠に、自らを被害者と位置付け、「過去の傷が癒されるよう努力し、被害者の苦痛に心からの理解がなければならない」(麻生太郎氏との会談)と「理解」を関係改善の前提条件にして来た。あまりにもみじめで主体性がなさ過ぎはしないか。「日本など何考えていようと関係ない。国力増進、国民の幸せのために邁進する。安保のために核保有も辞さず」という、そんな韓国人に私は魅力を感じる。

 

日本の競争者足りえない

 「過去だ、歴史認識だ」と言う朴槿恵氏の発言は、自民族の弱点の検証・克服を放棄している証拠である。このままだと基本的には日本の競争者とはなりえない、というのが私の本音である。競争原理から言いば、日本とってプラスであり、韓国にとって不幸なことである。日本が、韓国を本当に警戒すべきは、他人が悪い(特に日本が悪いと)という主張が韓国の「文化革命」で姿を消した時である。反日をやっている限り、愉快ではないが、日本は大丈夫である。

更新日:2022年6月24日