総選挙に思うこと

佐藤勝巳

(2012.12.4)

 

 いよいよ総選挙が始まった。エネルギー、社会保障など国内の大切な問題はあるが、それよりも何よりも、わが国の安全がどうなるのか、他国に侵略されたらすべてが無になるので、安保問題に限定して考えてみたい。

 

尖閣をどう守るのか

 中国が、尖閣諸島に押しかけてきている。わが国の領土をぶんどろうという意図は明白である。占拠されないためにどんな手段が必要なのか。わが国の領土を何によって守るのか、喫緊の大問題である。立候補者は尖閣諸島問題で自らの政策と手段を明示すべきだし、有権者は問うべきである。

 

 外交で(話し合い)解決という意見が根強くある。拉致の問題でも話し合い、という意見が今でも少なくない。だが相手が話し合いに応じなかったらどうするのか。尖閣諸島について言うなら、自国の領土なのに何故に、帰属問題を中国と話し合わなければならないのか。そもそも中国は、何を考えて、あのような軍事挑発を仕掛けて来たのか。

 

北のミサイル発射歓迎である

 北朝鮮はミサイル発射を実施する旨発表した。ミサイル発射には色々な政治的思惑が隠されているが、韓国大統領選挙に即して言うなら、相対的に北に厳しい朴槿恵候補が選挙戦を極めて有利に進め、当確と言ってよい。ミサイルで脅せば、韓国民は、北支持の文在寅候補支持に傾くだろう、という読みと思われる。しかし文在寅候補が、廬武鉉前大統領よりも北支持者であることが、次々と暴露され孤立しているところに、北からミサイルを発射されれば、文候補の孤立はよりー層深まるだけだ。日本の衆議院選挙の関係でいうなら、話し合い解決など唱えている共産党・社民党などの主張が、如何に観念論かを国民に広く知らせるために、発射して貰えばよい。

 

中国にノーと言える政治家を

 中国が尖閣諸島に挑発をかけてきているのは、日本は腰抜けだから軍事力で脅せば、容易に折れてくるという領土的野心と覇権の拡大だ。今回の総選挙で、中国にノーと言える政治家を選ばなければ、日本は侵略される危機に直面していることを有権者は厳しく認識すべきである。まさに日本人にとって重要な総選挙なのだ。

 

誤りは一度でよい

 2009年の総選挙で有権者が民主党を「烏合の衆」と正しく見抜いていれば、常軌を逸した鳩山由紀夫内閣は実現せず、日米関係は滅茶苦茶にならなかったはずだ。その責任は挙げて有権者の無責任な選択にあったと私は見ている。当時、尖閣、竹島、北方領土は先鋭化していなかった。3年半近くの民主党政権下で、日米間に亀裂が生まれ、わが国を取り巻く安保問題は激変したのだ。

 

 われわれ有権者は、誤った選択(投票)をしたことによって、高い授業料を払うことになった。だったら自民党や公明党、その他の政党に期待が持てるのか、ということであるが、有権者の質が変わらない限り、期待の持てる政治集団は生まれようがない、というのが私の持論である。最大の問題点は、有権者のエゴイズム(自分の利益しか考えない)である。

 

エゴが国を滅ぼす

 その典型例が、東北の震災地の瓦礫を全国の多くの自治体があれこれ理由をつけて引き受けないことだ。「住民の意見を聞いて」などという寝言を口にせず、率先して瓦礫の処分を引き受けた石原慎太郎東京都知事(当時)を私は評価する。どんな能書きを並べようと実行しなかったら、「絆」だ「連帯」するなどと叫んでみても、所詮「欺瞞」に終わる。切れば血が流れるような人間関係は、どこに行ってしまったのだろうか。

 

 日本は、世界で有数な豊かな国である。その国の女性が子ども手当を貰わないと子供を産めないし、育てることが出来ないとして手当を出した。子どもを預けて働けるシステムを整えることにカネを使うのならまだしも、要するにこのやり方は票の売り買いではないのか。最近、親の死を隠し、親の年金を受給していたとの報道がなされた。が、またかと誰も驚かなくなっている。「社会保障・福祉ボケ」が極限に達している、恐ろしいまでの退廃である。

 

勤労意欲の喪失

 社会主義が崩壊した重要な理由は、働かなくとも最低生活が保障されたことにあった。労働者は、搾取が厳しく取り分が少ないため、勤労意欲を喪失していった。体制は当然崩壊した。生活保護を不正に受給するのは、勤労意欲を喪失している現れだ。政府は1200兆円の赤字を抱えている。日本国民は、国民一人当り940万円の借金を背負っているのだ。どうやって返済するのか。消費税を値上げして、社会保障費をカットしなければ返済できない金額だ。それなのに野党政家も国民の一部も、まだ政府にお金があると思って、消費税値上げ反対を唱えている。国家財政を破綻させる無責任な政党に有権者は騙されてはならない。有権者が賢くなれば政治家は変わる。

 

媚びない政党

 破綻寸前の国家財、危機的なまでのエゴイズムが蔓延するなかで、有権者に媚びず、核保有を含む相互抑止力でわが国の安全を提起している石原慎太郎党首の「維新の会」を私は、将来はわからないが、この度の選挙では断固支持する。

 

 

 追伸:原発問題についてあえて触れないのでしょうか。もしそうであれば、ちょっと断わって、安全保障の重要性を述べたらどうでしょうか。

更新日:2022年6月24日