総聯本部の土地・建物を国有化提案

佐藤勝巳

(2012.7.9)

 

総聯中央本部競売問題に再び触れる。関係者の間で、総聯系商工人が総聯本部土地・建物を競売で落札して総聯に賃貸するのではないか、という推測がささやかれている。

 

総聯、メンツ丸つぶれ

こうした推測の流れる根拠のひとつに、虚勢を張る総聯が中央本部を借金の形で失うことは、メンツ丸つぶれで、その精神的ダメージは計り知れないからだ。したがって、あらゆる手段を駆使してでも画策するであろう、という分析だ。

 

狙う一石二鳥 

今ひとつは、あの土地・建物の競売価格は、三十数億円と推定されている。総聯はこのカネを作ることが出来れば、借金の627億円から、競売金額を引いた借金は総聯に依然残るのだが、返済しなければ事実上ゼロに出来る。なお、同じ場所に居座ることが出来るからメンツも保てる。こんなうまい話はないから、総聯許宗満議長らが画策しないはずがないという見方だ。

 

公的資金効果

だが、許宗満らは、問題の三十数億円の資金(カンパ)を作ることが可能なのか。私は、難しいと見ている。その理由は、公的資金の入らない前の朝鮮信用組合(以下朝銀)なら、三十数億円程度のカネは容易に集めることが出来たが、今は朝銀と総聯は完全に切り離され、それが出来なくなったからだ。

 

世代交代でカンパは困難

そうなると総聯傘下商工人から直接集めるしかない。過去、金日成、金正日、総聯は、在日朝鮮人一世世代に対して「社会主義建設」「祖国統一」権力者の「生誕祝い」などと称して高額のカンパを割り当て、その代償に勲章(名誉)を与えてきた。また、帰国した在日朝鮮人に「優遇措置」の代償として、これまた高額のカンパを徴収してきた。

 

身内を人質にとられ上「祖国のため」「偉大な指導者のため」とカネを詐取されてきた親たちを見て育ったのが、在日の二、三世商工人である。彼らの「祖国観」は、一世のような思い入れはない。また、北が、国民生活を犠牲にして、核ミサイル開発で国際社会から孤立、最近、中国ともギクシャクしている。北を客観視出来る世代だ。何よりも日本の経済は慢性不況、金正恩や許宗満のために、三十数億円のカンパをするだろうか、考え難い。

 

総聯と日本公安の癒着

そう考えざるをえないような事件が既に起きている。2007年6月16日、総聯は東京地裁判決の敗訴を予測し、整理回収機構(RCC)に当該土地・建物の差押え回避のため、同年5月31日、元公安調査庁緒方重威長官が代表取締役をつとめる「ハーベスト投資顧問株式会社」所有に名義を書き換えていたことが判明(同年6月12日)し、大騒ぎとなった。

 

国辱

総聯の詐欺の相手が、なぜ公安調査庁元長官なのか。これは日本政府から見れば、総聯を監視する情報機関の元トップが、総聯とつるんで総聯に利益を供与するために詐欺の片棒を担ぐという国辱的な事件であった。法務省及び公安調査庁は、この事態を甘く考えてはならない。国民は決して忘れてはいない。

 

忠誠心欠如露呈

日本人にとって国辱的であった事件であるが、在日朝鮮人とっても「忠誠心」の中身が内外に露見した衝撃的な事件であった。総聯系在日朝鮮人から見れば、中央本部の土地・建物差押えで、総聯や金正日政権に自分たちが騙され、利用され続けてきたことが、さらに明らかになった。総聯中央の土地・建物を例え書類上であっても買い取るものがいなかった。不信は尋常ではない。

 

商工人たちは、日本経済に深く組み込まれて商売をしている。商売を犠牲にして、金正恩体制にカンパする酔狂な二・三世はいない、というのが現実である。

 

土地・建物の国有化

日本国家の安全保障という観点から「反日詐欺集団」や日本人売国奴の動きを事前に封殺するために、日本政府は総聯中央本部の土地・建物を国有財産に組み入れるべきだ。そうすれば策動の余地がなくなる。

 

野田政権の決断を望む

今回の事件で、反日集団を消滅させる絶好のチャンスが到来したのだ。安保費としては高くない。野田内閣の決断を強く望むものである。

更新日:2022年6月24日