朝高授業料無償化の無残

佐藤勝巳

(2010.12. 2)

 

 日本政府は11月30日、朝鮮総聯が朝鮮高校などの教育内容や財政、人事などに影響を及ぼしている旨の答弁書を閣議決定したという(12月1日産経新聞)。

 つまり、朝鮮高校などが特定の主義主張で運営をしてはならないという、教育基本法に違反した学校であることを民主党政権がようやく認めたことになる。教育基本法に違反している学校の生徒に授業料の無償化などありえない。民主党政権の朝鮮高校認識がようやくここまで来たか、とほっとしている。

 

 朝高生への授業料無償化問題が起きたのは、子ども手当てや高校生の授業料無償化を公約した民主党が権力を掌握したことに端を発している。 この政策はカネをばら撒けば民主党に票が集まるという大衆迎合、愚民政策の最たるものだ。この愚民政策に、それなら朝高生の授業料も無償化せよ、と総聯側が言い出したのだ。

 

 総聯の要求を知ったとき、わが目、わが耳を疑った。私の知っていた総聯の幹部活動家のほとんどは一世である。指紋押捺が問題になったとき、彼らは「俺が忠誠を誓っているのは共和国だ。そんな人間に日本政府が警戒して指紋押捺を迫るのは当たり前だろう。指紋押捺が人権侵害など何を甘えたことをいっているのか」と憤然として語っていた。

 

 勿論立場は違うが、私はこういう朝鮮人がたまらなく好きだった。今の総聯はなんだ。自国の政権に制裁を科している日本政府に、自分たちの子どもの授業料を援助して欲しいという。恥ずかしいと思わないのか。 民族の誇り以前に人間としての誇りすら失なっている。 この総聯の授業料要求は、民団の地方参政権要求とどこがちがうのか。

 

 日本が駄目になると同時に、在日韓国・朝鮮人たちも駄目になって行ったのだ。一方、金正日政権が延坪島を攻撃したら、菅直人政権は手のひらを返したように、朝高の授業料無償化を凍結すると言い出した。すると「 政治と教育は別だ」と朝高の校長達は記者会見で言い出した。

 

 教育は、金日成政権成立以来、朝鮮労働党の指導下にあったことは周知の事実。「政治と教育は別だ」という台詞は「反革命分子」の妄言ではないのか。いつから総聯は、首領様や将軍様と違うことを言えるようになったのか。愚民政策の民主党と、人間としての誇りを失った総聯の癒着は、金正日の蛮行によって破綻した。目を覆うばかりの悲惨さである。 

更新日:2022年6月24日