菅内閣は「殺人鬼集団」を支援するのか

佐藤勝巳

(2010. 8.10)

 

 菅直人政権が、朝鮮総聯所有の朝鮮高校に通う生徒に近く、わが国の税金で授業料を援助する決定をする旨の報道がなされている。 

 

 民主党菅直人政権は本気で援助を考えているのだからこわい。日本の左翼は「大資本擁護の自民党」と言って批判しているが、この筆法をもってすれば、「殺人鬼集団を擁護する民主党」ということになる。

 

 なぜなら、総聯は周知の通り金正日政権の下部組織である。総聯の中には「学習祖」と言う名の朝鮮労働党の非合法組織がある。この「学習組」、つまり朝鮮労働党が総聯を裏で指導しているのだ。その動かしがたい証拠は、金父子政権は1950年代後半から、総額で約460億円(2010年2月現在)の資金を朝鮮高校などに「教育資金」として送金してきている。朝鮮高校など民族学校は、労働党の教育機関の一つだからだ。民主党政権はこの事実を知ろうとしていない。無知と金正日政権を間違って捉えているからだ。

 

 金正日は、自国民を大量に殺戮し、日本人、韓国人などを暴力で拉致、核兵器とミサイルを実験、最近では、韓国の哨戒艦を攻撃撃沈し、50近い軍人の命を奪った。世界の平和と人権に対して公然と挑戦している平和の敵だ。だから、民主党政権も今年の4月、金正日政権への制裁を1年間延長したのではなかったのか。

 

 金正日政権と総聯は、われわれ日本国、日本国民にとって、共に天を戴くことのできないテロ国家であり、破防法を適用すべき対象である。しかるに菅内閣は朝鮮高校の生徒に授業料を援助するという。誰だって菅内閣、気は確かかと言いたくなる。

 

 7月26日洪熒・佐藤勝巳の対談「あの騒ぎはなんだ……キムヒョンヒ来日(上)」で触れているように、キムヒョンヒは金正日政権から見れば、殺しても飽き足らない「裏切り者」で、それを日本政府が招待した。金正日から見れば菅内閣の「反北朝鮮策動」そのものと映っている。

 

 拉致担当の中井大臣(兼国家公安委員長)、授業料担当の川端文部科学大臣がそれぞれ勝手な思惑で政策を遂行している。仙石由人官房長官は、日韓条約や協定とは別に、「戦後個人保障」の検討を表明した。これは条約や協定を否定するとんでもない誤った考えだ。各担当大臣が、思いつきや政治家個人の功名心から勝手なことをいったり、やったりしている。

 

 このように菅内閣の対北政策は支離滅裂で、そのいい加減さは鳩山由紀夫氏の普天間基地移設問題と同じだ。物事の本質を理解しようとしない、烏合の衆と言われても仕方があるまい。その結果、金正日や総聯などにつけ込まれ、国益を失うことになる。普天間移設問題もそうであったが、定見なき民主党内閣は本当に危険極まりない政権である。

 

 朝鮮高校は各種学校である。各種学校は自動車教習所、語学学校、医療看護学校など多数ある。朝鮮高校もその中の一つだ。なぜ、朝鮮高校の生徒だけに授業料援助ということになるのか。総聯が騒いでいるからであろうが、文部科学省はこんな特権要求に耳を貸してはならない。授業料を援助したら法の前の平等を文科省みずからが崩すことになる。民主党が主張してやまない政治主導で断固として、法の統治を平等に施行すべきである。

 

 自民党政府は、かつて朝銀に公的資金1兆4000億円を投入すると同時に、法改正を行い、朝銀に総聯が関与できないようにし、金正日政権と総聯に大きなダメージを与えた。菅内閣も授業料を援助するのであれば、朝鮮高校の教科書・教育内容に金正日政権と総聯が関与できないように法律を改正すべきだ。この措置を取るなら国益に合致する。

 教科書・教育内容を変えず、授業料援助など冗談ではない。われわれの税金で何故に日本人を拉致し、核開発を行なっているテロ国家を援助しなければならないのか。菅内閣、国を売ってはならない。

更新日:2022年6月24日