組織指導部の大幹部、交通事故で死亡

(2010. 6. 7)

佐藤勝巳

 

 韓国では、地方選挙で大方の予想を裏切って与党ハンナラ党が敗北した。日本では鳩山由紀夫首相と民主党小沢一郎幹事長が同時に辞任、菅直人氏が首相に就任する。

 こんな騒ぎで余り注目されていないが、朝鮮労働党組織指導部・李済剛(80)第1副部長が6月2日、交通事故で死亡したとの発表があった (朝鮮日報6月4日) 。この記事を目にしだ瞬間、「宮廷革命の始まりか」と思わず考えた。

 朝鮮労働党の組織指導部第1副部長なる職責は、党の中の党で、金正日を除く労働党のナンバー1である。自動車事故であれ、何であれ、李氏の死亡によって権力中枢におけるバランスに変化が生ずることは間違いない。

 前記朝鮮日報は、李氏は「キムジョンウン後継作業に深くかかわっていた」と書いている。色々なことが推測できるが、今後の推移を注視したい。

 また、5月14日、北の最高権力機関である国防委員会は、前キムイルチョル人民武力部長を高齢(80)を理由に国防委員からの解任をしたが、軍にも党にも80歳を越える高齢者は他にもいる。しかし解任はされていない。

 韓国哨戒艦撃沈、金正日訪中に対して中国の冷たい対応、後継者問題、組織指導部第1副部長の死亡などの「点」を繋いでいくとどんな事態が浮かんでくるのか、注視していきたい。

更新日:2022年6月24日