小沢一郎氏、拉致解決よりも日朝改善がさき

(2009.11.13)

佐藤勝巳

 

 民主党の小沢一郎幹事長が、韓国民主党丁世均代表に対して12日に「私は内閣の構成員ではないが、日本は拉致問題の解決に拘束されず、朝日関係改善に結論を出すべきだと考えている」と答えた(韓国・中央日報13日付)という。この報道に私は、とうとう来るべきものが来た、と直感した。

 

 鳩山首相が「正常化交渉のプロセスの中で一つずつ解決していく方法もある」(11日付の本ネットで紹介)と発言した背景には、小沢氏の思惑があったのだ。中井拉致担当大臣も家族会・「救う会」代表に対して、救出方針について言及を避けた(11月10日全国協議会メールニュース西岡力会長代行発言)というのも、やはり小沢氏の思惑が関係しているにちがいない。

 

 また、横田滋氏が「民主党政権で拉致問題解決へのチャンスがあると述べ、『圧力を重視しながらも徐々に制裁を解除していく方法でやっていくしかない』との考えを示しました」(TBS News(電子版) ‎2009年9月21日月曜日)というのも、上記のことが明らかになってきた今では、なんら矛盾しない言動だ。

 

 民主党の鳩山、菅、岡田、平野各氏が何を言っても、利権の心配はないが、小沢一郎氏が動き出すとそうは行かない。小沢氏は、田中角栄、金丸信両先輩の政治手法を直接学んできた政治家であることは知られている。金丸信氏が、朝鮮問題に首を突っ込んできたのはまさに「利権」であったことを、当時自民党幹事長であった小沢一郎氏が知らないはずがない。

 

 すべてを知り尽くした小沢氏が、拉致問題の解決を正常化交渉の入り口から外すと言えば、金正日政権に感謝されること間違いなしと言える。別な言い方をすれば、将来高い報酬を手にするであろうということだ。冗談ではなく、自民党の悪しき「伝統」が、民主党の中に息づいているということを、私たちは肝に命じておかねばならない。

 

 拉致救出運動は、重大な局面に直面してきた。

更新日:2022年6月24日