クリントン国務長官を歓迎する

佐藤勝巳

(2009. 2.13)

 

 2月16日アメリカのクリントン国務長官が来日する。言うまでもなく金正日政権の非核化や日本人拉致の解決が話し合われるであろう。

 日本政府は、どういうスタンスで国務長官との会談に臨むのか。金正日政権に核を廃棄させるということでは、ブッシュ政権と言葉の上で一致していたように、容易に一致するであろう。

 だが、ブッシュ前大統領は、機会あるたびに「拉致は忘れない」と繰り返し口にしながら、日本人拉致解決に何の進展も見られないのに、昨年11月11日金正日政権に対して、テロ支援国家指定を解除した。

 ブッシュ政権は、日本の利益より、金正日独裁政権の要求を優先させた。これは同盟国日本に対する明白な裏切りであり、心ある日本人はアメリカ合衆国政府に強い不信感を抱いたことを、クリントン国務長官に正確に伝え欲しい。

 ブッシュ政権が、テロ支援国家指定解除をした直後、米国防総省は北朝鮮を核保有国として認める文書を発表し、問題が大きくなり慌てて取り消した。金正日政権は、アメリカに対して、核保有を認め、核軍縮交渉をしようと提案してきている。

 クリントン政権8年、ブッシュ政権8年、計16年間の北朝鮮に核を放棄させるという政策はことごとく失敗に終わった。

 その結果、日本の安全は重大な脅威に見舞われている。「アメリカ頼りにならず、日本の安全を護るために、日本の核武装の必要性が草の根で真剣に語られている」と中曽根外務大臣はクリントン国務長官に明確に伝える必要があろう。

 結局のところ、それぞれの国家は自国の国益を護るために外交を行っているのであるから、日本も外交の最重要課題である「核と拉致」を解決するために、小異を捨てて韓国と手を結ぶべきだ。

 6者協議の中で日韓が共同歩調を取ることができたなら、ヒル国務次官補のあのような勝手な振る舞いを許さないですんでいたはずだ。

 しかし、李明博政権になって、1月12日の日韓首脳会談、2月11日の日韓外相会談で、「核と拉致」で米国も加え、共同歩調を取ることが確認された。素晴らしい変化である。

 仮に、アメリカにヒル国務次官補やライス国務長官のような人物が再び現われても、日韓が同意しなかったら、勝手な振る舞いは出来ない。われわれは高い授業料を払って、アメリカから学習をしたことを、今後に生かさなければならない。

 今度こそ、自分の国は自分で守る、自分の国民は自分の手で救出すると言う、態度を基本に据えて、アメリカ合衆国との同盟を深めてゆきたい。クリントン国務長官の来日を心から歓迎する。

更新日:2022年6月24日